差當さしあた)” の例文
新字:差当
何分なにぶんをとこづくであつてれば、差當さしあた懷中ふところ都合つがふわるいから、ばしてくれろともへなからうではないか。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
以上いじやう大體だいたい化物ばけもの概論がいろんべたのであるが、これ分類ぶんるゐしてるとどうなるか。これはなはだ六ヶしい問題もんだいであつて、見方みかたによりおの/\ことなわけである。差當さしあた種類しゆるゐうへからの分類ぶんるゐべると
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
何を措いても差當さしあたり明日のくらしをどうにかしようとして——云はゞどうにもならないことを、どうにかしようとして、とりとめもないかんがへをたどりながら、さつきから朱雀大路すじやくおはぢにふる雨の音を
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
けれど、わたくし大佐たいさいま境遇きやうぐういては、一言いちげんとひはつしなかつた。差當さしあたつてたづねる必要ひつようく、また容易ようゐならざる大佐たいさ秘密ひみつをば、輕率けいそつひかけるのは、かへつれいしつするとおもつたからで。
頼んで江戸町の玉屋山三郎方へうりわけまことに申わけ御座らぬと申せば長兵衞よし/\お幸は不便ふびんなれ共今更いまさら詮方せんかたなし其中には受出す樣に仕やう先夫はあとの事差當さしあたつて文右衞門樣の一けん片時かたときすてては置れず早々さう/\願書を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかも、先方さきは、義理ぎり首尾しゆびで、差當さしあたつてはわるところを、お前樣まへさま突詰つきつめて、つて、かきへいも、押倒おしたふ突破つきやぶる、……ちからで、むね掻毮かきむしるやうにあせるから、をなごせまつて
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
認めさせ早々もつゆかねば後藤が又々踏込ふみこんで來たると云しかば是は差當さしあたつての難儀と思ひ若旦那々々と二かいへ連れ行きさてほかの事にてもなく今日御前おまへさんのお留守にお秀さんの伯父をぢなりとて後藤半四郎と云ふ浪人者が來り斯樣々々かやう/\の掛合になり是非離縁状を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
進め別段べつだん何も珍らしき事も御座らぬが差當さしあた不思議ふしぎと申は私が江戸表にて千しん萬苦ばんくしてたくはへた金子が一昨夜紛失ふんじついたしました其譯は定めし皆々樣も御きゝなされたで御座らうが其金子は島田宿しまたじゆくの水田屋へ預け置右の代りに持て參りし證據しようこ日蓮樣にちれんさま直筆ぢきひつ曼陀羅まんだら一昨夜ちうに私が所で紛失ふんじつし誠に五年の辛苦は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)