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対峙
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たいじ
ふりがな文庫
“
対峙
(
たいじ
)” の例文
旧字:
對峙
と、
対峙
(
たいじ
)
の陣を
布
(
し
)
いた上、こう外交折衝に努めたので、呉もついに、火事泥的な手を出し得ずに、やがて一応、国境から兵を退いた。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし何か優越感に似たものをもって彼と
対峙
(
たいじ
)
していたのであったが、しばらくすると秋本は葉子にそこまで送られて帰って行った。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それでも
頑強
(
がんきょう
)
なときわ葉で光線をさえぎり、それらトド松の間に散在する濶葉樹に対してたけだけしい勢いで
対峙
(
たいじ
)
し、圧迫していた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「粋な浮世を恋ゆえに野暮にくらすも心から」というときも、恋の現実的必然性と、「いき」の超越的可能性との
対峙
(
たいじ
)
が明示されている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
七匹いる猫のうち、勇敢で忠実な数匹が、怪しい
闖入
(
ちんにゅう
)
者に向かって、背の毛を逆立ちにし、歯をむきだして、唸りながら、
対峙
(
たいじ
)
していた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
▼ もっと見る
彼の運命と本心とは、突然やみにおおわれてしまった。パリーと同じく彼についても、二つの主義が相
対峙
(
たいじ
)
していると言い得るのだった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
画は
却々
(
なかなか
)
うまい。
優
(
ゆう
)
に初子さんの小説と
対峙
(
たいじ
)
するに足るくらいだ。——だから、辰子さん。僕が
好
(
い
)
い事を教えて上げましょう。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
観測所のある山稜は、今一つの高山、一万三千七百フィートのマウナ・ケアとちょうど
対峙
(
たいじ
)
した形になっていて、その間に広い
鞍部
(
あんぶ
)
地帯がある。
黒い月の世界
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
答える暇などはない、そのとき彼は二人の敵と
対峙
(
たいじ
)
していた。一人は槍、一人は刀で、刀を持ったほうは相当達者だった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
九代目X十郎と十一代目X十郎との
勧進帳
(
かんじんちょう
)
を聞く事も可能であり、同じY五郎の、若い時と晩年との二役を
対峙
(
たいじ
)
させることも不可能ではなくなる。
ラジオ・モンタージュ
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
斯くて敵味方は互に不安に駆られながら四日の間
対峙
(
たいじ
)
していたが、五日目になって寄手は遂に城の囲みを解き、陣を拂って引き揚げたのであった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また「藝術家」‘Artist’に対し「職人」‘Artisan’という言葉を
対峙
(
たいじ
)
的に用いるようになりました。
民芸の性質
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
その
後
(
のち
)
のこと、
我
(
わ
)
が
軍
(
ぐん
)
は、
河
(
かわ
)
をはさんで
敵
(
てき
)
と
対峙
(
たいじ
)
したのでした。その
結果
(
けっか
)
、
敵前上陸
(
てきぜんじょうりく
)
を
決行
(
けっこう
)
しなければならなかった。
とびよ鳴け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ただ、前述の助演者の一団と、狂言方の一団とは、主演者の一団と相
対峙
(
たいじ
)
して、それぞれ専門的の研究を遂げ、一家を成している事を付言しておく。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかるに官僚と政党とは代議政治の採用されている今日なお依然として国民の上に立ち、平氏と源氏、新田氏と足利氏の関係を以て
対峙
(
たいじ
)
しております。
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
一八八九年の三月、アピア湾内には、米艦二隻英艦一隻が独艦三隻と
対峙
(
たいじ
)
し、市の背後の森林にはマターファの率いる叛軍が虎視
眈々
(
たんたん
)
と機を
窺
(
うかが
)
っていた。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
声のない気合い、張りきった
殺剣
(
さつけん
)
の感がどこからともなくただよって、忠相は、満を持して
対峙
(
たいじ
)
している
光景
(
さま
)
を思いやると、われ知らず口調が鋭かった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうなると今
対峙
(
たいじ
)
している敵味方の間の勝敗などは、どうでもよくなってしまう。今までの軍国主義者や愛国狂は顔を
蒼
(
あお
)
くしてすみの方へ引き込んで行く。
世界の変革と芸術
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
今
Rouart
(
ルアール
)
氏の所蔵せる東都名所
御廐川岸驟雨
(
おんまやがししゅうう
)
の図を見るに、前方に
大
(
だい
)
なる雨傘さして歩める人物をして対岸の遠景と
対峙
(
たいじ
)
せしめたる
処
(
ところ
)
奇抜なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
啓吉は、草の繁った小暗いところまで行って、離れたまま
対峙
(
たいじ
)
している蟋蟀たちの
容子
(
ようす
)
をじいっと見ていた。
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
殺気をはらんだこの
対峙
(
たいじ
)
を前にして、これはまた何としたことか、
鷹揚
(
おうよう
)
そのものといいたいふところ手で、ぬうッと立っているのを見定めた瞬間、何思ったか
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それに和して、今まで彼と
対峙
(
たいじ
)
して止どまっていた耶馬台の左翼の軍勢も、一時に
鯨波
(
とき
)
の声を張り上げて彼の方へ押し寄せた。長羅の一団は彼を捨てて崩れて来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ようやく事態を察して兵を収めた平家と、高見の嘲笑を投げていた宮側とは川をはさんで
対峙
(
たいじ
)
した。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
古今東西の歴史の示すところ、絶対平和を持する国が他の強国と
対峙
(
たいじ
)
して優勝を制した例はない。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
さて、本日出口をさぐりさぐりやっと地上へ出たが、やはりパ、ア両軍の
対峙
(
たいじ
)
は続いている。ダイヤをやって、ロイスへの伝達を頼んだが、あの男はやってくるだろうか。
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
工場が工場なだけに(軍需品工場なので)これらの組織が作られ易い危険な条件をそなえている。私たちは今三方の路から、敵の勢力と
対峙
(
たいじ
)
していると云わなければならない。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
この女ふたりが拳銃を構えて
対峙
(
たいじ
)
した可憐陰惨、また奇妙でもある光景を、
白樺
(
しらかば
)
の幹の蔭にうずくまって見ている、れいの下等の芸術家の心懐に
就
(
つ
)
いて考えてみたいと思います。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
煎餅
(
せんべい
)
の一枚ずつもあたえては、また克子と遊んでくれと頼むのであったが、相手は子供であると知りながら、なお腹にすえかねる思いで、大人げなく敷居をへだてて
対峙
(
たいじ
)
していた。
赤いステッキ
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
新撰隊長近藤勇に隠然として
対峙
(
たいじ
)
する御陵衛士隊長伊東甲子太郎が出来上ったとは前巻に見えたし、伊東が近藤の謀計で
誘
(
おび
)
き寄せられて、木津屋橋で殺された顛末も前冊にあるはず。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
陳独秀の率いた工人と苦力の暴民を合して南北の橋路に支那軍隊と衝突して河畔に
対峙
(
たいじ
)
し遂に市街戦となり、各国の陸戦隊が出動して共産軍は撃退され、一時間後上海は平穏に還った。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
ブラゴウエシチェンスクと黒河を
距
(
へだ
)
てる黒竜江は、海ばかり眺めて、育った日本人には馬関と門司の間の海峡を見るような感じがした。二ツの市街が岸のはなで睨み合って
対峙
(
たいじ
)
している。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
または甲斐駒山脈と並行している、この大火山線、純粋なる水成岩の大山脈(白峰山脈)と両々
対峙
(
たいじ
)
しているところは、日本山岳景でも、他に比類のないほど、水火両岩の区別が鮮明に
日本山岳景の特色
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
一代の奇賊
烏啼天駆
(
うていてんく
)
と、頑張り探偵
袋猫々
(
ふくろびょうびょう
)
との
対峙
(
たいじ
)
も全く久しいものだ。
奇賊は支払う:烏啼天駆シリーズ・1
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ぼくは幾度か一線で
対峙
(
たいじ
)
した中国兵に、上官の気を損ねまいと、正確な射撃を送り、四人まで殺し、十人ばかりの人々を傷つけたが、その戦闘後、自分の殺した生温かい中国の青年の死体の顔を
さようなら
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
そして、彼女はじっと目を閉じていると、隣室で父の喜平と
対峙
(
たいじ
)
している正勝がその口辺をもぐもぐさせながら、いまにも叫び出そうとしているさまがはっきりと見えるような気がするのだった。
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
イタリー歌劇の
鬱然
(
うつぜん
)
たる巨頭、伝統を
護
(
まも
)
って、ワグナーと
対峙
(
たいじ
)
したが、この人のイタリー歌劇は、その豊かな創作力と、変化きわまりなき種々相と、感銘の深さにおいて、何人も及ぶところでない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
互に
対峙
(
たいじ
)
して各多数の卒業生を出しておった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
剣閣の
嶮
(
けん
)
に拠って、
鍾会
(
しょうかい
)
と
対峙
(
たいじ
)
していた
姜維
(
きょうい
)
も、成都の開城を伝え聞き、また勅命に接して、魏軍に屈伏するのやむなきにいたった。
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
両軍の両翼は、ジュナップの道とニヴェルの道との左右に延びている、そしてエルロンはピクトンに
対峙
(
たいじ
)
し、レイユはヒルに対峙している。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
軍門に降ったとは云うものの、一度は憎しみをもって
対峙
(
たいじ
)
した薩摩の人間であった。時代は変ったにしても、その間わずかに二年しか経ていない。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
庸三は長いあいだの荷物を卸して、それだけでもせいせいした気持だったが、当惑したのは子供のために
頑張
(
がんば
)
ろうとした姉と葉子との
対峙
(
たいじ
)
であった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
こうして、一間四方の湯槽の中で、両派を代表する親分と云われる二人の男は無造作のごとく
対峙
(
たいじ
)
したのである。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
絶望した私は遂に
潔
(
いさぎよ
)
く天罰応報と相い争い、相い
対峙
(
たいじ
)
しようと思うようになってしまいました。私の父は厳格な人です。勤勉な人です。悪を憎む事の激しい人です。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この
傲慢
(
ごうまん
)
と屈辱との
対峙
(
たいじ
)
から、どうして労働への喜悦があり、作物への愛情が起ろう。そうしてこの冷たさの中から、どうして正しい工藝を期待することができよう。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ある
日
(
ひ
)
のこと、これも
山岳地帯
(
さんがくちたい
)
であったが、わずかに
谷
(
たに
)
をへだてて
敵
(
てき
)
と
対峙
(
たいじ
)
したことがあります。
しらかばの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それらが互いに
対峙
(
たいじ
)
し
啀
(
いが
)
み合って世界人類の平和と個人の平和とを破ることになります。
三面一体の生活へ
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その昔、独断と
畏怖
(
いふ
)
とが
対峙
(
たいじ
)
していた間は今日の「科学」は存在しなかった。
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
あるいはまた陸軍側の論者は清国の大動乱の時、列国と
対峙
(
たいじ
)
して勢力を張るがため、我は満州
直隷
(
ちょくれい
)
、
福建
(
ふっけん
)
等に大兵を駐屯せしむる必要があるというそうであるが、そんなことをしては大変である。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
いいか——右地点において、敵の怪物部隊に
対峙
(
たいじ
)
して奮戦中なり。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この庭のむこうに
対峙
(
たいじ
)
している、伊賀侍のしわざにきまっている。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
“対峙”の意味
《名詞》
対 峙 (たいじ)
向かい合って立つこと。
(出典:Wiktionary)
対
常用漢字
小3
部首:⼨
7画
峙
漢検1級
部首:⼭
9画
“対峙”で始まる語句
対峙中