子供心こどもごゝろ)” の例文
すみべにながしてめた色紙いろがみ、またはあかあを色紙いろがみ短册たんざくかたちつて、あのあをたけあひだつたのは、子供心こどもごゝろにもやさしくおもはれるものです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
わたし子供心こどもごゝろに、父親のことを考へた。国のために死んだえらい父親! その墓のあるところはどんなところだらうと思つた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
それにはべつ理由りいうなにも無い、究竟つまり学校が違つてしまつた所から、おたがひ今日こんにちあつて昨日さくじつ明日みやうにちも無い子供心こどもごゝろに、漠然ぼうつわすれてしまつたのです、すると、わたしが二きふつたとき
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
美登利みどりさらこたへもおさゆるそでにしのびなみだ、まだひこめぬ前髮まへがみれてゆるも子細わけありとはしるけれど、子供心こどもごゝろ正太しようたなんなぐさめの言葉ことばいでたゞひたすらにこまるばかり
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日出雄少年ひでをせうねん特更ことさら子供心こどもごゝろ愉快ゆくわい愉快ゆくわいたまらない、丁度ちやうど牧塲まきばあそ小羊こひつじのやうに其處此處そここゝとなくんであるいて、折々をり/\わたくしそばはしつてては甲板かんぱんうへ裝置さうちされた樣々さま/″\船具せんぐについて疑問ぎもんおこ
とうさんは馬車ばしやうへからそれをながめて、子供心こどもごゝろにめづらしくおもつてきました。伯父をぢさんのはなしで、そこが上州じやうしう松井田まつゐだといふまちだといふこともりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
壁に張つてあるすゝけた西南戦争の錦絵にしきゑわたし子供心こどもごゝろによく覚えてた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
伯父をぢさんにはれて、とうさんは子供心こどもごゝろにも東京とうきやうのやうなところへかれることをたのしみにおもひました。とうさんより三つ年長としうへ友伯父ともをぢさんが、そのときやうやく十二さいでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)