大名だいみやう)” の例文
けれどもぼく故郷くに二萬石にまんごく大名だいみやう城下じやうかで、縣下けんかではほとんどふにらぬちひさまちこと海陸かいりくとも交通かうつう便べんもつとかいますから、純然じゆんぜんたる片田舍かたゐなか
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
多田院ただのゐん日光につくわう徳川家とくがはけ靈廟れいべうで、源氏げんじ祖先そせんまつつてあるから、わづか五百石ひやくこく御朱印地ごしゆいんちでも、大名だいみやうまさ威勢ゐせいがあるから天滿與力てんまよりきはゞかなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
おそれながら御前ごぜんさまはお大名だいみやう御身おみりながら、お月さまとおほせられましては、小児せうに童子わらべことにて、歌俳諧うたはいかいにでも月は月で事はますやうぞんじます。
昔の大名の心意気 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
おなことです、大名だいみやう子孫しそん華族くわぞくなら、名家めいか御子孫ごしそん先生せんせいです。とくわたくしまをさなければりません。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とうさんの幼少ちひさ時分じぶんには、むかしのお大名だいみやう木曽路きそぢとほときまつたといふふる部屋へやまでのこつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
見透みすかさるゝ樣な物なり夫共事成就の上此伊賀亮は五萬石の大名だいみやうに御取立になり貴殿は三千石の御旗本位おはたもとぐらゐこれが御承知ならば伊賀亮何樣いかやうにも計ひ對面すべしと云に強慾がうよく無道ぶだうの大膳是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
孤獨こどくしもよけの花檀くわだんきくか、だけ後見うしろみともいふべきは、大名だいみやう家老職かろうしよく背負せおをてたちし用人ようにんの、何之進なにのしん形見かたみせがれ松野雪三まつのせつざうとてとし三十五六、おやゆづりの忠魂ちうこんみがきそへて
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大名だいみやう行列ぎやうれつても、五々々/\とほれるといふほどの權威けんゐのあるものに、玄竹げんちく藥箱くすりばこ出世しゆつせした。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
今や/\と待程に其後岡山侯よりむかへの人來り大名だいみやう小路こうぢの上屋敷へ三人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きず大小だいせう三ヶしよだ。‥‥大名だいみやうといふものは、子供こどものやうなものだなう。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)