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松野雪三
孤獨の
身は
霜よけの
無き
花檀の
菊か、
添へ
竹の
後見ともいふべきは、
大名の
家老職背負てたちし
用人の、
何之進が
形見の
息松野雪三とて
歳三十五六、
親ゆづりの
忠魂みがきそへて
生涯の
保護者とはなるべきにや、
思へばいとも
覺束なきことなり、
我れに
主從の
關係なくば、
我れ
松野雪三ならずは、
青柳いと
子孃の
手を
取りて、
生涯の
保護者とならんもの
天が
下に
又とはあるまじ
誰れにもあらず、
松野雪三即ち
斯くいふ
小生