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よびおこ
ふりがな文庫
“
喚起
(
よびおこ
)” の例文
彼女の周囲を渦巻きめぐっているであろう幾多の現実的な危険さに対する私等のアラユル常識を
喚起
(
よびおこ
)
して、一種のローマンチックな
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
午前十一時頃、見張の者から巡察官の一行が二里程先の「五本松」の出端に見えたとの報せは、殆んど万歳を
喚起
(
よびおこ
)
す程の感激を生じた。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
新しいものを築き
創
(
はじ
)
めるのに多分の興味と
刺戟
(
しげき
)
とを感ずる彼女は、
際
(
きわ
)
どいところで、思いもかけない生活の弾力性を
喚起
(
よびおこ
)
されたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
自分はこの声の持主に、かつて着た
久留米絣
(
くるめがすり
)
やフランネルの
襦袢
(
じゅばん
)
を縫って貰った事もあるのだなとふと
懐
(
なつ
)
かしい記憶を
喚起
(
よびおこ
)
した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
喚起
(
よびおこ
)
す袈裟治の声に驚かされて、丑松は銀之助が来たことを知つた。銀之助ばかりでは無い、例の準教員も
勤務
(
つとめ
)
の儘の
服装
(
みなり
)
でやつて来た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
余は今車の上から見𢌞して、當年のわびしい記憶を
喚起
(
よびおこ
)
さうとしたが、明治四十三年の旭川から七年前の旭川を見出すことは成功しなかつた。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
余は今車の上から
見廻
(
みまわ
)
して、当年のわびしい記憶を
喚起
(
よびおこ
)
そうとしたが、明治四十三年の旭川から七年前の旭川を見出すことは成功しなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
少
(
しばら
)
く楽まされし貫一も、これが為に
興冷
(
きようさ
)
めて、
俄
(
にはか
)
に重き
頭
(
かしら
)
を花の前に支へつつ、又かの
愁
(
うれひ
)
を徐々に
喚起
(
よびおこ
)
さんと為つ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
圖
(
はが
)
らず
迷信家
(
めいしんか
)
の
信仰心
(
しんこうしん
)
を
喚起
(
よびおこ
)
し、
或
(
あるひ
)
は
又
(
また
)
山師輩
(
やましはい
)
の
乘
(
じやう
)
ずる
處
(
ところ
)
となつて、
忽
(
たちま
)
ちの
間
(
うち
)
に
評判
(
ひやうばん
)
大評判
(
おほひやうばん
)
『お
穴樣
(
あなさま
)
』と
呼
(
よ
)
び『
岩窟神社
(
がんくつじんじや
)
』と
唱
(
とな
)
へ、
參詣人
(
さんけいにん
)
引
(
ひ
)
きも
切
(
き
)
らず。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
嬉笑
(
きしょう
)
にも相感じ
怒罵
(
どば
)
にも相感じ、愉快適悦、不平
煩悶
(
はんもん
)
にも相感じ、気が気に通じ心が心を
喚起
(
よびおこ
)
し決して
齟齬
(
そご
)
し
扞格
(
かんかく
)
する者で無い、と今日が日まで文三は思っていたに
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
吾々が初めて通る難路のことであるから、
一層
(
いっそう
)
に吾々の好奇心を
喚起
(
よびおこ
)
したのであった。
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
これより
私
(
わたくし
)
が
予
(
かね
)
て聞きおぼえたる記憶を
喚起
(
よびおこ
)
して、後の文治の伝記を伺います。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
折柄
(
おりから
)
向うから来たのは、
靜修庵
(
せいしゅうあん
)
の若い尼であった。阿Qはふだんでも彼女を見るときっと悪態を
吐
(
つ
)
くのだ。ましてや屈辱のあとだったから、いつものことを想い出すと共に
敵愾心
(
てきがいしん
)
を
喚起
(
よびおこ
)
した。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
青年の血気盛んな人が老人に向ってどうすることも出来ないという。これはなんとしても病的状態である。この国民を病的状態から健康体に復して、
而
(
しか
)
して大活動を
喚起
(
よびおこ
)
すことが必要であると思う。
政治趣味の涵養
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
と
唱
(
とな
)
へ
出
(
いだ
)
す
節
(
ふし
)
は
泣
(
な
)
くがごとく、
怨
(
うら
)
むがごとく、いつも(
應
(
おう
)
)の
來
(
きた
)
りて
市街
(
しがい
)
を
横行
(
わうかう
)
するに
從
(
したが
)
うて、
件
(
くだん
)
の
童謠
(
どうえう
)
東西
(
とうざい
)
に
湧
(
わ
)
き、
南北
(
なんぼく
)
に
和
(
わ
)
し、
言語
(
ごんご
)
に
斷
(
た
)
えたる
不快
(
ふくわい
)
嫌惡
(
けんを
)
の
情
(
じやう
)
を
喚起
(
よびおこ
)
して、
市人
(
いちびと
)
の
耳
(
みゝ
)
を
掩
(
おほ
)
はざるなし。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
村の人々の頭に
喚起
(
よびおこ
)
されたが、その
最中
(
さなか
)
に突然、一知青年が自宅から本署へ拘引されて行ったので、村の人々は青天の
霹靂
(
へきれき
)
のように仰天した。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
丁度その図面にあらわれているのも岸本が旅で
逢
(
あ
)
ったと同じ季節の秋で、よく行って歩き廻ったヴィエンヌ河の
畔
(
ほとり
)
の旅情を
喚起
(
よびおこ
)
すに十分であった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
山の町の人達の
噂
(
うわさ
)
も、彼等の口に
上
(
のぼ
)
ったが、浜屋々々と云う
辞
(
ことば
)
が、一層お島の耳についた。汽車の窓から、首をのばして彼等の見ている山の形が、ふと浜屋の記憶を彼等に
喚起
(
よびおこ
)
したのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何時来るかも知れないような春を
待侘
(
まちわ
)
び、身の行末を案じ
煩
(
わずら
)
うような異郷の旅ででもなければ、これほど父の愛を
喚起
(
よびおこ
)
す事もあるまいかと思われた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ソックリそのままに
喚起
(
よびおこ
)
された
刹那
(
せつな
)
であったろうという事も、併せて想像されて来るではないか
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
丑松は
未
(
ま
)
だ寝床を離れなかつた。下女が
枕頭
(
まくらもと
)
へ来て
喚起
(
よびおこ
)
した時は、客の有るといふことを半分夢中で聞いて、苦しさうに
呻吟
(
うな
)
つたり、手を延ばしたりした。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
モノスゴイ反響を
喚起
(
よびおこ
)
すに違いない重大事件ですから、万一、公表でもされますと、私を中心とする一切合財が、破滅に陥るかも知れないと思われるのですが、しかし私自身の一生涯が
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その辺をよく見て置いて、青年時代の記憶を
喚起
(
よびおこ
)
して行こうとしたからでもあった。日暮時の
谷間
(
たにあい
)
の方から起って来る寺の鐘も、往時を思出すものの一つであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
深い感動として残っていた心の壁の画が捨吉の胸に
喚起
(
よびおこ
)
された。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼の胸に
喚起
(
よびおこ
)
した。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“喚起”の意味
《名詞》
喚 起(かんき)
(注意などを)呼び起こすこと。
(出典:Wiktionary)
喚
常用漢字
中学
部首:⼝
12画
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
“喚”で始まる語句
喚
喚声
喚出
喚上
喚叫
喚問
喚子鳥
喚鐘
喚発
喚覚