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唐櫃
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からびつ
ふりがな文庫
“
唐櫃
(
からびつ
)” の例文
小堀平治はお園が探して居た
唐櫃
(
からびつ
)
に近付きました、馴れた眼で一と通り眺めると、何れの品に手を触れたか直ぐ判ってしまいます。
新奇談クラブ:05 第五夜 悪魔の反魂香
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
中
(
うち
)
に最も人間に近く、
頼母
(
たのも
)
しく、且つ奇異に感じられたのは、
唐櫃
(
からびつ
)
の上に、一個八角時計の、
仰向
(
あおむ
)
けに乗っていた事であった。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは古代の
唐櫃
(
からびつ
)
といったものの形に相違ないが、底辺に楕円形の孔があいていて、そこから紐を通すようになっている。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大弐
(
だいに
)
の夫人の贈った衣服はそれまで、いやな気がしてよく見ようともしなかったのを、女房らが香を入れる
唐櫃
(
からびつ
)
にしまって置いたからよい香のついたのに
源氏物語:15 蓬生
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
馬七頭と、大きな
唐櫃
(
からびつ
)
が五つ、かなり大量の荷であったが、それらが十一棟ある土蔵へ納められるのか、またそこからよそへ移されるのかわからなかった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
それが一種の神事となって今も
廃
(
すた
)
れず、大祭当日には赤飯を入れた白木の
唐櫃
(
からびつ
)
を舟にのせて湖心に漕ぎ出で、神官が
祝詞
(
のりと
)
を唱えてそれを水中に沈めるのを例とし
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三ツ
鱗
(
うろこ
)
の大紋打った
素襖
(
すおう
)
、
烏帽子
(
えぼし
)
の奉行の駒を先にして、貝桶、
塗長持
(
ぬりながもち
)
、
御厨子
(
みずし
)
、黒棚、
唐櫃
(
からびつ
)
、
屏風箱
(
びょうぶばこ
)
、
行器
(
ほかい
)
など、見物の男女は何度も羨望の溜息をもらしていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——二個の
唐櫃
(
からびつ
)
あずかりたる者、木地師の頭領富士見の将右衛門——さよう、こんなようにな」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
満廷の朝臣たちが
戦
(
おのゝ
)
き恐れ、或は板敷の下に
這
(
は
)
い入り、或は
唐櫃
(
からびつ
)
の底に隠れ、或は畳を
担
(
かつ
)
いで泣き、或は
普門品
(
ふもんぼん
)
を
誦
(
ず
)
しなどする中で、時平がひとり
毅然
(
きぜん
)
として剣を抜き放ち
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
四
旒
(
りゅう
)
の
生絹
(
すずし
)
、供えものの
唐櫃
(
からびつ
)
、
呉床
(
あぐら
)
、
真榊
(
まさかき
)
、
根越
(
ねごし
)
の
榊
(
さかき
)
などがならび、萩乃とお蓮さまの
輿
(
こし
)
には、まわりに
簾
(
すだれ
)
を下げ、白い房をたらし、司馬家の
定紋
(
じょうもん
)
の、雪の輪に覗き蝶車の金具が
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
闇太郎、浪路のなき
骸
(
がら
)
を入れた
唐櫃
(
からびつ
)
の蓋に手をかけたが、三斎隠居を見て
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
慶長
(
けいちょう
)
十八年四月に頓死したが、
本多上野介正純
(
ほんだこうずけのすけまさずみ
)
が石見守に陰謀が有ったと睨んで、直ちに
闕所
(
けっしょ
)
に致し置き、
妾
(
めかけ
)
を詮議して白状させ、その寝所の下を調べさしたところが、二重の石の
唐櫃
(
からびつ
)
が出て
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
とうとう最後の
唐櫃
(
からびつ
)
が開かれたのだった。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
三日前奥蔵の二階の
唐櫃
(
からびつ
)
に入れてあった御朱印を取出し、その代り偽の御朱印を入れておいたので、泥棒はその偽物を盗んで行ったよ
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
舞台の左右に奏楽者の天幕ができ、庭の西と東には料理の箱詰めが八十、
纏頭
(
てんとう
)
用の品のはいった
唐櫃
(
からびつ
)
を四十並べてあった。午後二時に楽人たちが参入した。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
千住を出てから、その荷駄には紀州家御用の
標
(
しるし
)
が立てられた。休之助がいったように、日光廟へ奉納の品だという名目で、馬七頭に大きな
唐櫃
(
からびつ
)
が五
棹
(
さお
)
あった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
鮮血地にして余りに
悲惨
(
ひさん
)
な、殉難宗徒のありさまを見、唯一なるものを疑うようになり、おりから負傷した天童もろとも、戦死といつわって
唐櫃
(
からびつ
)
へ隠れ、原の城を脱出し
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
石の
唐櫃
(
からびつ
)
に
籠
(
こも
)
ったように、
我
(
われ
)
と我を、手足も縛るばかり、
謹
(
つつし
)
んで
引籠
(
ひきこも
)
ってござったし、
私
(
わたくし
)
もまた油断なく見張っていたでございますが、
貴下
(
あなた
)
、
聊
(
いささ
)
か目を離しました
僅
(
わずか
)
の
隙
(
ひま
)
に
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先には、二、三人が
松明
(
たいまつ
)
を持ってあるいてゆくのである。貝桶だの、
屏風箱
(
びょうぶばこ
)
だの、
唐櫃
(
からびつ
)
だのという華やかな祝言の荷は何もないが、
鎧櫃
(
よろいびつ
)
一つに衣裳箱ひとつは
担
(
にな
)
わせている。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこに据えてある
唐櫃
(
からびつ
)
の蓋をあけようとするところを、半七はうしろからその腕を取った。
半七捕物帳:26 女行者
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
白黒の
鯨幕
(
くじらまく
)
、四
旒
(
りゅう
)
の
生絹
(
すずし
)
、
唐櫃
(
からびつ
)
、
呉床
(
あぐら
)
、
真榊
(
まさかき
)
、四方流れの屋根をかぶせた
坐棺
(
ざかん
)
の上には、紙製の
供命鳥
(
くめいちょう
)
をかざり、棺の周囲には
金襴
(
きんらん
)
の幕……昔は神仏まぜこぜ、仏式七分に神式三分の様式なんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
丹塗
(
にぬ
)
りに、
高蒔絵
(
たかまきえ
)
で波模様を現した、立派やかな、
唐櫃
(
からびつ
)
だった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
林太郎と同じ寶物藏のこれは階下の
唐櫃
(
からびつ
)
の中に入れられてゐたのを救ひ出して身を
淨
(
きよ
)
めさせ、
身扮
(
みなり
)
を改めてこゝへ呼出したのです。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
蔵
(
くら
)
の中も別段細かなものがたくさん置かれてあるのでなく、香の
唐櫃
(
からびつ
)
、お置き
棚
(
だな
)
などだけを体裁よくあちこちの
隅
(
すみ
)
へ置いて、感じよく居間に作って宮はおいでになるのである。
源氏物語:40 夕霧二
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「されば」といったのは長崎左源太、一膝ズルよう進み出たが、「万事掛け合いは率直がよろしい。で、率直に申し入れる。二
棹
(
さお
)
の
唐櫃
(
からびつ
)
頂戴に参った」
威嚇
(
いかく
)
するような調子である。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
土蔵の二階は暗かった、番札を
貼
(
は
)
った
長持
(
ながもち
)
や
唐櫃
(
からびつ
)
や、小道具を入れる
用箪笥
(
ようだんす
)
などが、南の片明りを受けて並んでいる。お美津は北側の隅へ正吉を
伴
(
つ
)
れて行って、
溜塗
(
ためぬり
)
の
大葛籠
(
おおつづら
)
の蔭を
覗
(
のぞ
)
きこんだ。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
三斎、パタリと、
唐櫃
(
からびつ
)
の
蓋
(
ふた
)
をとざして、叫ぶ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
林太郎と同じ宝物蔵のこれは階下の
唐櫃
(
からびつ
)
の中に入れられていたのを救い出して身を
浄
(
きよ
)
めさせ、
身扮
(
みなり
)
を改めてここへ呼出したのです。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
櫛箱
(
ぐしばこ
)
、お手箱、
唐櫃
(
からびつ
)
その他のお道具を、それも仮の物であったから袋くらいに皆詰めてすでに運ばせてしまったから、宮お一人が残っておいでになることもおできにならずに
源氏物語:40 夕霧二
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
人々困難したため、我ら二、三の重役どもが、表面には
件
(
くだん
)
の盃を
御嶽山
(
おんたけさん
)
の頂きに埋めたと云いふらし、実は
窃
(
ひそ
)
かに宝蔵へ
蔵
(
しま
)
い、盃を納めた
唐櫃
(
からびつ
)
へは、
八百万
(
やおよろず
)
の神々を
勧請
(
かんじょう
)
して堅く封印を施したため
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「武庫の二階にある
唐櫃
(
からびつ
)
でございますか」
落ち梅記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「もう一つ訊くが、この押入の
唐櫃
(
からびつ
)
に隱してあつた小判、支配人のお前は知つてゐるだらうな。——あれは何處から入つた金だ」
銭形平次捕物控:155 仏像の膝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これまでから恋をささやく明らかな
証
(
あかし
)
の見える手紙などは来ていぬかとお思いになり、夫人の居間の中の飾り
棚
(
だな
)
や小さい
唐櫃
(
からびつ
)
などというものの中をそれとなくお捜しになるのであったが
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
おや? と思ひながら奧へ入つて行くと、空箱や
筵
(
むしろ
)
を取除けた後に、見たこともない石の
唐櫃
(
からびつ
)
があつて、その
蓋
(
ふた
)
に挾まれて——
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平生からこの人の夏物、冬物を幾
襲
(
かさね
)
となく作って用意してある養母であったから、香の
唐櫃
(
からびつ
)
からすぐに品々が選び出されたのである。朝の
粥
(
かゆ
)
を食べたりしたあとで夫人の居間へ夕霧ははいって行った。
源氏物語:39 夕霧一
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
もとの土蔵の中へ引返すと、弥三郎は後ろの方にハネのけた
唐櫃
(
からびつ
)
の蓋の下から、ほんの少しばかりはみ出している品物を指さしているのです。
銭形平次捕物控:127 弥惣の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
殺すつもりで土藏に仕掛けた
唐櫃
(
からびつ
)
、お琴さんが氣分が惡くて、お前の娘のお萬が行つたばかりに、あの
虐
(
むご
)
たらしい死にやうをしたのを忘れはしまい
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お萬殺しの證據が見付かつたとか、何んとか言やあいゝ、家中の者が來たら、その
唐櫃
(
からびつ
)
を落した仕掛けの綱を見せて、馬鹿なことでも
喋舌
(
しやべ
)
つてゐてくれ
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「この通りだ。煙草入は若主人を怨む者が、後で差し込んだのさ。その證據は皆んな揃つてゐる。それから、この蓋を
唐櫃
(
からびつ
)
の上へのせて貰ひたいが——」
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「この通りだ。煙草入は若主人を
怨
(
うら
)
む者が、後で差し込んだのさ。その証拠はみんな揃っている。それから、この蓋を
唐櫃
(
からびつ
)
の上へ載せて貰いたいが——」
銭形平次捕物控:127 弥惣の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
は『御藥草』と書いた御用の
唐櫃
(
からびつ
)
、力任せに
蓋
(
ふた
)
をハネると、中から
燦
(
さん
)
として
金色
(
こんじき
)
無垢
(
むく
)
の
處女
(
をとめ
)
の姿が現はれます。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐櫃
(
からびつ
)
、大地の下——と隱す場所はいろ/\あつたことでせうが、その大部分は本人或は子孫に取り出され、再び流通貨幣の役目に就いたにしても、その幾部分かは
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それから、駿府から持って来た藤太の煙草入を貸して貰おうか。お吉の帯の間には紙入があるはずだ。それと、殺された主人の煙草入があれば、五千両の
唐櫃
(
からびつ
)
は開くだろう」
銭形平次捕物控:089 百四十四夜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お今の答へから、
唐櫃
(
からびつ
)
を落した仕掛けの綱の結び目のことを、平次は考へてゐたのです。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お今の答えから、
唐櫃
(
からびつ
)
を落した仕掛けの綱の結び目のことを、平次は考えていたのです。
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
本來ならば
守隨
(
もりずゐ
)
の家の大難だが、有難いことに、此處に居る錢形の親分の注意で、三日前奧藏の二階の
唐櫃
(
からびつ
)
に入れてあつた御朱印を取出し、その代り僞の御朱印を入れて置いたので
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その頃の相場では少し
薹
(
とう
)
が立ちましたが、とにもかくにも、美しい娘盛りのお万が、土蔵の中、——ちょうど
梯子段
(
はしごだん
)
の下のあたりで巨大な
唐櫃
(
からびつ
)
の下敷になって、石に打たれた花のように
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
細腕を取って
引退
(
ひきの
)
け、荒海の衝立をサッと前へ引倒すと、その
背後
(
うしろ
)
にあるのは「御薬草」と書いた御用の
唐櫃
(
からびつ
)
、力任せに蓋をハネると、中から
燦
(
さん
)
として
金色無垢
(
こんじきむく
)
の
処女
(
おとめ
)
の姿が現われます。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その支配人の彌惣が、今朝小僧の定吉が土藏を開けて見ると、思ひも寄らぬ長持の奧——、
曾
(
かつ
)
てそんな物があるとも知らなかつた石の
唐櫃
(
からびつ
)
の蓋に首を挾まれて、蟲のやうに死んでゐたのです。
銭形平次捕物控:127 彌惣の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ここへ来て
唐櫃
(
からびつ
)
を開けたくらいですから、知っていたに違いありません」
銭形平次捕物控:127 弥惣の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
櫃
漢検1級
部首:⽊
18画
“唐櫃”で始まる語句
唐櫃二合