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傲岸
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ごうがん
ふりがな文庫
“
傲岸
(
ごうがん
)” の例文
「そのご不審は、座主にお目にかかってお話する。座主がお会いできなければ、それに代わるお方でもよろしい」
傲岸
(
ごうがん
)
な態度である。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、かの
傲岸
(
ごうがん
)
なるスターベア大総督は、少数の幕僚と共に
辛
(
かろ
)
うじて一台の飛行機を手に入れ、一路本国さして
遁走中
(
とんそうちゅう
)
だとのことである。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼の性質は
傲岸
(
ごうがん
)
で、みずから直情径行を誇り、いかなるばあいにも、自分で「よし」と信ずることを
枉
(
ま
)
げたためしはなかった。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
傲岸
(
ごうがん
)
、丹波の顔は汗だ。そのうめき声を後に……触るまいぞえ手を出しゃ痛い——唄声が、植えこみを縫って遠ざかっていく。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ぼくを見下ろすような姿勢のまま、山口はなぜか
不遜
(
ふそん
)
な、
傲岸
(
ごうがん
)
な、まるで狂信者みたいな態度で、肩口ではねかえすようにそうくりかえした。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
▼ もっと見る
お秀に何か詰られるのに対して、彼はもじ/\して頭を掻いてみたり、耳を擦ってみたり、ふだん
傲岸
(
ごうがん
)
な彼に似合わしからぬ様子を見せました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あの
傲岸
(
ごうがん
)
不遜
(
ふそん
)
のニイチエ。自ら称して「人類史以来の天才」と傲語したニイチエが、これはまた何と悲しく、痛痛しさの眼に
沁
(
し
)
みる言葉であらう。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
舞台上の翁を見た人は翁を全面的に、
傲岸
(
ごうがん
)
不屈な一本槍の頑固親爺と思ったかも知れぬが、それは大変な誤解であった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
たちまち狙を外らすや否や、大夫人を射て、倒して、
硝薬
(
しょうやく
)
の煙とともに、蝕する日の
面
(
おもて
)
を仰ぎつつ、この
傲岸
(
ごうがん
)
なる統領は、自からその脳を貫いた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夕方福岡からきて、明日は鹿児島へゆき、数日後はまた熊本へもどって、古藤たちの学校で講演するというこの男は、無口で、ひどく
傲岸
(
ごうがん
)
にみえた。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
大井は四杯目のウイスキイを命じた頃から、次第に平常の
傲岸
(
ごうがん
)
な態度がなくなって、酔を帯びた眼の中にも、涙ぐんでいるような光が加わって来た。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は、娘を呼び寄せてから、改めて瑠璃子に挨拶させた後、勝平はその見るからに
傲岸
(
ごうがん
)
な顔に、恥しそうな表情を浮べながら、自分の息子を紹介した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
表面
(
うわべ
)
は円転滑脱の八方美人らしく見えて、その実椿岳は容易に人に
下
(
くだ
)
るを好まない
傲岸
(
ごうがん
)
不屈の
利
(
き
)
かん
坊
(
ぼう
)
であった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
そういう下賤な徒輩の
傲岸
(
ごうがん
)
な叫び声と暴力的な戦いをなすのを好まないで、ただその熱烈な専心的な歌を、自分のためと自分の神のためとに歌いつづけていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
別に証拠はないけれどもあるいはこれが最も
穿
(
うが
)
った観察であるかも知れないけだし春琴が居常
傲岸
(
ごうがん
)
にして芸道にかけては自ら第一人者をもって任じ世間もそれを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
傲岸
(
ごうがん
)
と、
矜特
(
きょうじ
)
とが作りだす頑固一徹の虚栄心が、歪曲されたヒロイズムとなって、男性的と錯覚される。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
彼は、
贔屓
(
ひいき
)
の女客を
反
(
そ
)
らさないようにしながらも、なかなか
傲岸
(
ごうがん
)
で、しゃれのめしていたのだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼は多年の習練によって、自己に不利な情報を受取った場合には、
傲岸
(
ごうがん
)
な落ちつき払った微笑を浮べる術を会得していた。今もその微笑が彼の口辺にただよっているのである。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その光景は正三に何かやりきれないものをつたえた。だが、翌朝になると順一は作業服を着込んで、せっせと疎開の荷造を始めている。その顔は一図に
傲岸
(
ごうがん
)
な殺気を含んでいた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
そう云った途端に、
扉
(
ドア
)
が外側から引かれた。そして、二人の
召使
(
バトラー
)
が
閾
(
しきい
)
の両側に立つと見る間に、その間から、オリガ・クリヴォフ夫人の半身が、
傲岸
(
ごうがん
)
な威厳に充ちた態度で現われた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
師匠も芸にかけては恐しく
傲岸
(
ごうがん
)
で、人を人とも思わず、時には意地の悪い、眼に余るような仕打ちもあったそうだから、そこらから案外他人の恨みを買ったのではないかとも思われる。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
ベートーヴェンの
傲岸
(
ごうがん
)
さは数限りなく逸話を持っている。が、その性格の底流を成すものは、人並すぐれた「人間愛」であり、人なつかしさであったということも見逃してはいけない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
植民地常識から考えれば、之は、呆れる方がよっぽどおかしいのかも知れないが、彼はむきになって、遥かロンドン・タイムズに寄稿し、島の此の状態を訴えた。白人の横暴、
傲岸
(
ごうがん
)
、無恥。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その唇にはさっきのにくにくしげな、ほとんど
傲岸
(
ごうがん
)
な微笑がしぼり出された。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ジロリと
傲岸
(
ごうがん
)
な横ざまの
一瞥
(
いちべつ
)
をくれながら出て行ったが、日本人タチバナ氏の方も別段将来英国大使館と御懇意に願おうとは思わなかったから、反っくり返って絨緞磨きの靴で
闊歩
(
かっぽ
)
しながら
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
彼らは獣力に
荒
(
すさ
)
まず。野猪の族と異りて、
放肆
(
ほうし
)
なる残虐また悪戯を楽しみとせずといえども、なおその限られたる勢力を行わんことを喜びとなし、
傲岸
(
ごうがん
)
尊大にして、子分に対しての親分たるを好む。
武士道の山
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
私は
傲岸
(
ごうがん
)
な男だ。私が彼女達を愛するのは女達の男道楽さめやすい色恋をシャム料理法と
珈琲
(
コーヒー
)
色の皮膚に
刺繍
(
ししゅう
)
した。いまでは犬でさえ逃げ出す女達に、私は容易に身を
委
(
まか
)
すことができるようになった。
恋の一杯売
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
勿論さういふ少年もその時はじめて、そして最後に、従姉の裸身を目のあたりにしたのである。神聖といふ感じはなかつた。それよりも、人を人とも思はぬ
傲岸
(
ごうがん
)
な権威が、全裸の後姿にあふれてゐた。
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
傲岸
(
ごうがん
)
と人見るまゝに老の春
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
直木のこの手を喰うと、私はまんまと、武蔵以上
傲岸
(
ごうがん
)
で
不遜
(
ふそん
)
で
仮借
(
かしゃく
)
のない彼の木剣を、そら商売と大上段から貰ったに違いない。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
傲岸
(
ごうがん
)
な丹波が、どうしてこう急に恐れ入ったのだろう……何かこの植木屋、おまじないでもしたのかしら、と、ふしぎに思って見ている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「むかしから
傲岸
(
ごうがん
)
な男だったが、おれがめをかけてやるようになってからまるで
摂関
(
せっかん
)
きどりだ、しかし、まあよい、そこが彼の役に立つところでもある」
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大杉は直情径行でスパイの勤まる
柄
(
がら
)
ではない。もしその
一本気
(
いっぽんぎ
)
な
肝癪
(
かんしゃく
)
や
傍若無人
(
ぼうじゃくぶじん
)
な
傲岸
(
ごうがん
)
が世間や同志を欺くの仮面であるなら、それは芝居が余り巧み過ぎる。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と、大井も角帽をかぶったなり、ちょいと
顋
(
あご
)
でこの挨拶に答えながら、妙に
脂下
(
やにさが
)
った、
傲岸
(
ごうがん
)
な調子で
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
昼間見た時の同大佐はヒンデンブルグ将軍を小型にしたような、イヤに
傲岸
(
ごうがん
)
、冷血な人間に見えた。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
虚心平気に、勝平の云い分を聴けば、
無躾
(
ぶしつけ
)
なところは、あるにせよ、成金らしい
傲岸
(
ごうがん
)
な無遠慮なところはあるにせよ、それほど、悪意のあるものとは思われなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
二百七十一名という絶対多数を占めている会心と
傲岸
(
ごうがん
)
の活気が、どの代議士の表情にも見える。吉田磯吉の精悍な顔にも、我が天下を誇る得意満面の色が掩いがたい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
傲岸
(
ごうがん
)
不屈当代比類なき大政治家ではあったが、流石の大河原伯爵も、こんな
変挺
(
へんてこ
)
れんな、どんな悪夢の中にも滅多に出て来ない様な、奇怪事に出くわしたのは生れて初めてだった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
聞くところによれば、彼女の技量はかの大独奏者、クルチスをも
凌駕
(
りょうが
)
すると云われているが、それもあろうか演奏中の態度にも、
傲岸
(
ごうがん
)
な気魄と妙に
気障
(
きざ
)
な、誇張したところが
窺
(
うかが
)
われた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
流派を超越せりと好みて
傲岸
(
ごうがん
)
を
装
(
よそお
)
う者
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
で——とにかく、小次郎の顔いろと態度は、すぐいつもの
傲岸
(
ごうがん
)
な
風
(
ふう
)
の
裡
(
うち
)
へかえしてしまったが、一瞬は、しどろもどろだった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつもお城で、
大老
(
たいろう
)
など鼻であしらって、
傲岸
(
ごうがん
)
そのもののような愚楽が、どうしたのか、ちゃんと座蒲団をおり、両手をついて、泰軒のまえに頭をさげている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
おそらく気候風土の関係もあるのだろうが、一般に
傲岸
(
ごうがん
)
粗暴であり、きわめて排他的な気分が強かった。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「うむ! 自殺かね。」
遉
(
さすが
)
に荘田も、一寸誘われて眉をひそめたが、
直
(
す
)
ぐ
傲岸
(
ごうがん
)
な笑いで打ち消した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すると、クリヴォフ夫人は俄然
傲岸
(
ごうがん
)
な態度に返って
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
身の丈七尺、眼は黄、
面
(
おもて
)
は黒く、腰は熊のごとく背中は虎に似ている。しかもそれに
盛装環帯
(
せんそうかんたい
)
して、
傲岸
(
ごうがん
)
世に人なきが如き大風貌をしている。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
常陸の府中の宿で、大助と応対したときの
傲岸
(
ごうがん
)
なようすは、今の新島八十吉には
微塵
(
みじん
)
もなかった。呼びかけられて抜き合せるかたちだけはみせたが、心はまるで闘志を失っている。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
天才的で
傲岸
(
ごうがん
)
な山野が、桑田に相槌を打ったっけ。
無名作家の日記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
才気と
羽振
(
はぶり
)
にまかせて、随分あぶない利得を
窺
(
うかが
)
ったり、気は弱いくせに、
傲岸
(
ごうがん
)
に人を見たり、世間を
弄
(
もてあそ
)
ぶ
質
(
たち
)
の良人を、程よく締めて来た内助だった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
訪れた八百助の顔を、出平は
傲岸
(
ごうがん
)
にじろじろ眺めまわした
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
傲
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
岸
常用漢字
小3
部首:⼭
8画
“傲岸”で始まる語句
傲岸不遜
傲岸不屈
傲岸唾棄
傲岸奸略