使者つかひ)” の例文
ミカエルその使者つかひを率ゐて龍とたたかふ、龍もまたその使者を率ゐて之と戦ひしが、勝つこと能はず且ふたたび天に居ることを得ず
ミケル祭の聖者 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
えゝも、乳母うばめは跛足ちんばぢゃ! こひ使者つかひには思念おもひをこそ、思念おもひのこよるかげ遠山蔭とほやまかげ追退おひのける旭光あさひはやさよりも十ばいはやいといふ。
「見よ地に立てる一の梯子あり、その頂天に達し神の使者つかひ昇降のぼりくだりす、また見よ主その上に立ち給ふ」云々(創世、二八・一二—一三)
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ここに言擧して詔りたまひしく、「この白猪になれるは、その神の使者つかひにあらむ。今らずとも、還らむ時にりて還りなむ」
「だがお断りをすると云ふだけでは君もお困りだらうから、つまんで理由わけをいふと——」といぬのやうに冷さうな鼻をした使者つかひの顔を見た。
いいえ、今日は何とも無いんですけれど、昨晩恰度お腹が少し変だつた所でしたから……折角お使者つかひを下すつたのに、済みませんでしたわねえ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それでは、稻妻いなづま私共わたくしどもわかれて、單獨ひとりで、このさびしい、おそろしいやまえて、大佐たいさ叔父おぢさんのいへへお使者つかひくのですか。
ちつとも恐がることもなければ、吃驚びつくりなさることもありません。わたしは竜宮から来た使者つかひでございます。正助さんを竜王さま、乙姫おとひめさまが御召おめしでございます。
竜宮の犬 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
斯うなると車の庄から長鍬の長者がところへ『何故、白鳥を殺したか』と談判かけあひ使者つかひが来た
黄金の甕 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
宵は師走霜月の、いかに日短なこの頃とても。点燈頃まで、旦那様、お帰宅かへりなからふものならば、三方四方へお使者つかひの、立つても居ても居られぬは、傍で見る眼の侍女こしもとまで。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
其處そこへですよ、奧深おくふかかほせない、むすめ哥鬱賢こうつけんから、こしもと一人ひとり使者つかひました……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何處からか、救ひのお使者つかひがありさうなものだ。
子をつれて (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
「その使者つかひはどうした」
しかしてたとへば報告しらせをえんとて橄欖をもつ使者つかひのもとに人々むらがり、その一人ひとりだに踏みあふことを避けざるごとく 七〇—七二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
床屋は言ひ付けられたやうにあくる日の午過ぎ、その姿で恐る/\公爵邸のしきゐまたぐと、昨日きのふ使者つかひが出て来て一に案内した。
……おゝ、脊中せなかが、脊中せなかが! ほんに貴孃こなたうらめしいわいの、とほとほところ太儀たいぎ使者つかひさッしやって、如是こんぬるやうなおもひをさすとは!
是に於いてこの大なる龍すなはち悪魔と呼ばれサタンと呼ばるる者、全世界の人を惑はす老蛇地に遂ひ下さる、その使者つかひもまた共に遂ひ下ろされたり。
ミケル祭の聖者 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
父の信之、祖父の勘解由かげゆ、母お柳、その三人と松原家の使者つかひとは奥の間で話してゐる。叔母も其席に出た。静子は今更の様に胸が騒ぐ。兄の居ないのが恨めしい。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
使者つかひが帰つて、その通り話すと、車の庄の長者は『白鳥を射殺しておきながら、けしからん言分いひぶんぢや』と怒つて了つたのぢや。それがもとで、たうとういくさになつたのぢや。いいか。
黄金の甕 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
天守てんしゆのお使者つかひ天守てんしゆのお使者つかひ。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
第七の輪これに續いて上方うへにあり、今やいたくひろがりたれば、ユーノの使者つかひ完全まつたしともこれをるゝに足らざるなるべし 三一—三三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
カピ妻 方法てだて自身じしん工夫くふうしやれ、使者つかひわしさがしませう。それはさうと、めでたい報道しらせってたぞや。
理髪床かみゆひどこの主人は謹んでお受けをした。そして使者つかひが帰つたあとで、土間に突立つゝたつて大きな咳払せきばらひをした。
到頭肺病になつて了つた山内には、無論使者つかひを遣らなかつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
底のかたをもみるをえたりき、こはたふときみかど使者つかひなる誤りなき正義がその世に名をしるせる驅者かたり等を罰する處なり 五五—五七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
コスチウスコオがある時、隣り村の僧侶ばうさんのところへ葡萄酒の進物をしようとした事があつた。その使者つかひとして馬丁べつたうが呼び出された。馬丁べつたうは御主人の命令いひつけで、その飼馬かひうまを引き出してそれに乗る事にした。
しかしてそのうちより使者つかひとみゆるものふたり、こなたにはせ來り、我等にこひていふ。汝等いかなるものなりや我等に告げよ。 二八—三〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
埃及王の使者つかひはそこまで尋ねて往つて使ひのおもむきを通じた。
われまことを汝に告げむ、汝これを生者しやうじやに傳へよ、神の使者つかひ我を取れるに地獄の使者よばはりて、天に屬する者よ 一〇三—
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
使者つかひは小鳥のやうに頼りなささうな目付をした。