いは)” の例文
申さば父の越度をちどとなりまたいはずば吉三郎は殺さるべし兩方まつたきやうには何事もゆかざれども能々よく/\かんがへてこゝろしづかに双方さうはう無事になるやうの御答おこたへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
地獄の關に刻めりといふ銘は、全篇を讀む間、我耳に響くこと、世の末の裁判の時、鳴りわたるらん鐘の音の如くなりき。その銘にいはく。
思邈しばくいはく。八九月に多く食へば、春にいたりて眼を病む。寿いのちを損じ筋力を減らす。妊婦はらみをんなこれを食へばその子六指むつゆびならしむ』
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
力に右の足のみにて飛び/\に歩く苦しさいはん方なし小松交りの躑躅つゝぢの花の美しきも目にはらず十間歩くを一里とも二里とも思ひなせど痛き顏を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
つてもつ乳媼うばをして妹妃まいひせしむ。嬌嫉けうしつごとく、のゝしつていはく、えゝうどうしようねと、やまひえたりとふ。あへせつあることなし、われくのみ。
聞きたるまゝ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其頃そのころ着手きての無いインパネスのもう一倍いちばいそでみじかいのをて雑誌を持つてまわる、わたしまたむらさきヅボンといはれて、柳原やなぎはら仕入しいれ染返そめかへしこんヘルだから、日常ひなたに出ると紫色むらさきいろに見えるやつ穿いて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あやまつた/\いまのはみんなうそうして中村なかむら令嬢れいぢやう千代子君ちよこくんともいはれるひとがそんな御注文ちうもんをなさらうはずがない良之助りやうのすけたしかにうけたまはつてまゐつたものは。ようございますなにりません。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
物のわけをもしらぬ者ども、小肘こひぢつかんで引立ひつたて、車一両に二三人づゝ引のせ奉るさへに、若君姫君の御事さま、さても/\といはぬ者なく、其身の事は不申、見物の貴賤もどつなき
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ねがはれ何卒なにとぞわたく御役御免下ごめんくださるべしといはれしかば何故退役たいやくねがはるゝやと申さるゝに大岡殿此度このたび煙草屋たばこや喜八裁許さいきよちがとがなき者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
のぼる時は直立して天に向ふこゝは危なしおりんと云へど聞かぬ顏にていよ/\飛ばす山は恰もかけるが如く樹は飛が如くに見ゆ快といはば快爽と云ば爽なれどハツ/\と魂を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ころして我も死ぬ覺悟かくごなりとよばはらせ其處へ我々駈込かけこみ種々しゆ/″\詮議せんぎして菊が口より云々しか/″\いはせんは如何にやと申ければ三人是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つけて一軒の茶店ある所まで連れ行きこゝにて待たれよ我は先へ行きて車を見つけ迎ひによこすべければと頼もしくいはるれどたつきも知らぬ山中やまなかに一人殘されては車を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)