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一倍
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いちばい
三日目の
午過ぎ、やれ
粥を
煮ろの、おかう/\を
細くはやせの、と
云ふ
病人が、
何故か
一倍氣分が
惡いと、
午飯も
食べないから、
尚ほ
打棄つては
置かれない。
まアまア
何しろ
斯う
歇みなしに雪が
降つては
為方がない、
此家の
檐下を
拝借しようか……エー
最う日が
暮れたからな、
尚ほ
一倍北風が身に
染むやうだ、
坊は寒くはないか。
其頃は
着手の無いインパネスの
最一倍袖の
短いのを
被て雑誌を持つて
廻る、
私は
又紫ヅボンと
云れて、
柳原仕入の
染返の
紺ヘルだから、
日常に出ると
紫色に見える
奴を
穿いて
然し
此日は、
無論空腹の
儘に
暮れて、
夜は
夢の
間も、
始終食物の
事を
夢て
居るといふ
次第、
翌日になると
苦さは
又一倍、
少年と
二人で
色青ざめて、
顏を
見合はして
居るばかり
是はまた
格別の
賑はひ、
郡司大尉の
壮行をまのあたり見て、子や
孫に
語りて
教草にせんと、
送別の
外の
遊人も多くして、
帰さは
筇を
此に
曳きしも
少からで、また
一倍の
賑はひはありしならん
何も、
油堀だつて、そこにづらりと
並んだ
藏が——
中には
破壁に
草の
生えたのも
交つて——
油藏とも
限るまいが、
妙に
油壺、
油瓶でも
積んであるやうで、
一倍陰氣で
「すつかり
消えて
居る。あゝ、」と
尚ほ
一倍、
夜の
更けたのが
身に
染みた。
と
爰に
於て、
色を
變へて、
手代に
向ひ、
一倍低聲で
“一倍”の意味
《名詞》
一倍(いちばい)
ある数に一をかけること。
(文語的)ある数を倍すること。ある数の2倍。
(語義2より、副詞的用法として)さらに、一層。
(出典:Wiktionary)