“ふじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
43.4%
富士21.4%
不尽10.3%
不二9.7%
不時6.9%
不治2.1%
布士1.4%
不盡0.7%
富時0.7%
扶持0.7%
無事0.7%
膚膩0.7%
臨時0.7%
藤花0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
庭にはふじが咲き重つてゐた。築山つきやまめぐつてのぞかれる花畑にはヂキタリスの細いくびの花が夢のほのおのやうに冷たくいく筋もゆらめいてゐた。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
いままどの右手にえぞ富士ふじが見える。火山だ。頭がひらたい。いた枕木まくらぎでこさえた小さな家がある。熊笹くまざさしげっている。植民地しょくみんちだ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
また、無名氏の反歌、「不尽ふじに降り置ける雪は六月みなづき十五日もちに消ぬればその夜降りけり」(巻三・三二〇)も佳い歌だから、此処に置いて味っていい。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
見るからに画家らしい二人の男は川口亜太郎とその友人の金剛蜻治こんごうせいじ、女は亜太郎の妻不二ふじ、やがて三人が岳陰荘の玄関に着くと
闖入者 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
階段の下は錠口になっていて、不時ふじの攘夷派の襲撃にそなえるために、車びきの重い、土扉つちどが閉まり、出入のたびに、いちいち鍵で開閉することになっている。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
不治ふじの病気に悩まされているという御縫さんについての報知たよりが健三の心をやわらげた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
高く貴き 駿河するがなる 布士ふじ高嶺たかね
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
といふは春海はるみのなりしやに覺え候。これは不盡ふじの裾より見上げし時の即興なるべく生も實際に斯く感じたる事あれば面白き歌と一時は思ひしが今ま見れば拙き歌に有之候。
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
だから貧時ひんじにはひんばくせられ、富時ふじにはに縛せられ、憂時ゆうじにはゆうに縛せられ、喜時きじにはに縛せられるのさ。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
朕祖宗ちんそそう遺列いれつ万世一系ばんせいいっけい帝位ていいちんカ親愛スル所ノ臣民しんみんすなわチ朕カ祖宗ノ恵撫慈養けいぶじようシタマヒシ所ノ臣民ナルヲおも康福こうふくヲ増進シ其ノ懿徳良能いとくりょうのうヲ発達セシメムコトヲ願ヒ又其ノ翼賛よくさんともともニ国家ノ進運しんうん扶持ふじセムコトヲ望ミすなわチ明治十四年十月十二日ノ詔命しょうめい履践りせんここ大憲たいけんヲ制定シ朕カ率由そつゆうスル所ヲ
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
すずめは、もうこれから、ながをなんのかげも、またこえくことがないとおもいました。どうか、今夜こんや無事ふじごしたいものだとおもって、じっとしてじてねむ用意よういをしたのです。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
女の膚膩ふじの健康な血をとおしている具合とを合体せしめる感覚にも感心せしめられるし、「誰が笥か持たむ」という簡潔で、女の行為が男に接触する程な鮮明を保持せしめているいい方も
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
然程さるほど光陰くわういんの如く傳吉は四五年勤めしが四季の給金臨時ふじもらひもの等ちりつもり山となりて百廿兩程になりし故宿願しゆくぐわんすでに成就したりとしきりに古郷が懷敷なつかしく主人の機嫌を伺ひ越後へ歸り度旨を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かんむりには、插頭花かざしを付け、藤花ふじかおりをたもとに垂れ、おもてに、女のような粉黛ふんたいをなすくって、わいわいいっている公卿朝臣たちの——その何分の一かの人間は、要するに