トップ
>
面魂
>
つらだましい
ふりがな文庫
“
面魂
(
つらだましい
)” の例文
新の
相貌
(
そうぼう
)
はかくのごとく威儀あるものにあらざるなり。渠は千の新を合わせて、なおかつ
勝
(
まさ
)
ること千の新なるべき異常の
面魂
(
つらだましい
)
なりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
色の浅黒い、眼に剣のある、一見して一癖あるべき
面魂
(
つらだましい
)
というのが母の人相。
背
(
せい
)
は自分と
異
(
ちが
)
ってすらりと高い方。言葉に力がある。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
自家
(
うち
)
まで
尾
(
つ
)
いて来られては、父母や女房の手前もある。ましてこの為体のしれない
物騒
(
ぶっそう
)
な
面魂
(
つらだましい
)
、伝二郎は
怖気
(
おぞけ
)
を振ったのだった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
第一、
面魂
(
つらだましい
)
がなんとも物凄くて癪にさわるから、是が非でもモリモリ食ってやりたいと思うね。切身を買ってきて大いに食うべきであったよ。
安吾の新日本地理:05 消え失せた沙漠―大島の巻――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
三十前後の眼尻の切れあがった、何様一くせあり気な
面魂
(
つらだましい
)
である。後から誰かに追いかけられてでもいる態度で、もう一度
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
▼ もっと見る
「みな、あっぱれな
面魂
(
つらだましい
)
。競って家名を揚ぐる事であろう。行末、頼朝も目をかけて進ぜるゆえ、老台にご
安堵
(
あんど
)
あるがよい」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
以前の負けず
嫌
(
ぎら
)
いな
精悍
(
せいかん
)
な
面魂
(
つらだましい
)
はどこかに
影
(
かげ
)
をひそめ、なんの表情も無い、
木偶
(
でく
)
のごとく
愚者
(
ぐしゃ
)
のごとき
容貌
(
ようぼう
)
に変っている。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
第一そういう
面魂
(
つらだましい
)
が尋常じゃなかったよ。お
乳母日傘
(
んばひがさ
)
でハトポッポーなんていった奴とは育ちが違うんだからね……。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
平次は
屹
(
きっ
)
と言い切りました。
沓脱
(
くつぬぎ
)
の上にこそ
膝
(
ひざ
)
を突きましたが、挙げた
面魂
(
つらだましい
)
は、
寸毫
(
すんごう
)
も引きそうになかったのです。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
見たところ柔和なうちに精悍な
面魂
(
つらだましい
)
と、油断のない歩きぶりと、殺気を帯びた歯切れのよい挨拶ぶりを聞いて、なんだか一種異様な印象を与えられました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
つづいて
神戸
(
こうべ
)
の造船所ではたらいている正が、これはいかにも労働者らしく
鍛
(
きた
)
えられた
面魂
(
つらだましい
)
ながら、人のよい笑顔で頭をさげ、きまりわるげに耳のうしろをかいた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
なるほど、一男は十七という年齢にあわせては、小柄なばかりでなく
痩
(
や
)
せている方だった。しかし、潮風にやけたその
面魂
(
つらだましい
)
には、どこかしっかりしたところがあった。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
赤手にして一千万円を超ゆる暴富を、二三年の
裡
(
うち
)
に、
攫取
(
かくしゅ
)
した
面魂
(
つらだましい
)
が躍如として、その顔に動いた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と、ぬけぬけと並べる盗賊の、赧らめもせぬ
面魂
(
つらだましい
)
を、三斎隠居は、まんじりともせず眺めたまま
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
精悍な
面魂
(
つらだましい
)
に欠けた前歯——これがふと
曲物
(
くせもの
)
のようなのだ。いずれにしても一風変っている。
四月馬鹿
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
短い髪を水引即ち
水捻
(
みずより
)
にした
紙線
(
こより
)
で巻き立て、むずかしい眼を一
ト
筋縄でも二
タ
筋縄でも縛りきれぬ
面魂
(
つらだましい
)
に光らせて居たのだから、異相という言葉で昔から形容しているが
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
此等は随分博文館の天下をも争いかねぬ
面魂
(
つらだましい
)
であるから、樗牛も油断することは出来まい。
鴎外漁史とは誰ぞ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鬼気を含んで陰々たる大悪無双の
面魂
(
つらだましい
)
! 誠や後年本朝における三大盗の一人として、太閤秀吉を桃山城の、寝所に刺さんと忍び入り、見現わされて捕えられ、三条河原に引き出され
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
支倉喜平は一癖ある
面魂
(
つらだましい
)
に一抹の不安を漂わせながら、書斎に這入って来た。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
僕の本名の弱々しげなのにひきかえて、なんと悪びれぬ
面魂
(
つらだましい
)
をしていることよ。わが運勢よ、竹庵先生が治療の手腕に似て、強引に逞しくあれ! 人は僕のことを「ばか図々しい。」と云います。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
ああ、それこそ
淫婦
(
いんぷ
)
の
面魂
(
つらだましい
)
を遺憾なく
露
(
あら
)
わした
形相
(
ぎょうそう
)
でした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
水の色の
碧
(
みどり
)
の深さ、ただならぬ妖怪じみた色をしており、主でも
棲
(
す
)
むという
面魂
(
つらだましい
)
、三輪の神様に結びついた伝説があって、水の
涸
(
か
)
れることがないそうだ。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
父子の間に、かほどまでな
確執
(
かくしつ
)
は信じられない気もするが、少年武蔵の
不逞
(
ふてい
)
な
面魂
(
つらだましい
)
は想い見るべきである。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
面魂
(
つらだましい
)
にもその言葉つきにも、悟空が自己に対して抱いている信頼が、生き生きと
溢
(
あふ
)
れている。この男は
嘘
(
うそ
)
のつけない男だ。誰に対してよりも、まず自分に対して。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
水茶屋の
茶汲女
(
ちゃくみおんな
)
で年を喰って、酔っ払いも武家も、御用聞も
博奕打
(
ばくちうち
)
も、物の数とも思わぬ
面魂
(
つらだましい
)
です。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
近藤勇は
精悍
(
せいかん
)
そのものの如き
面魂
(
つらだましい
)
の持主ではあるが、副将の土方歳三は、小柄で色が白く、それに当人もなかなかお
洒落
(
しゃれ
)
なので、見たところ色男の資格は充分である。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
巨眼鋭く人を射し、薄い唇は
緊張
(
ひきし
)
まり、風雨雪霜に鍛え尽くした
黝色
(
ゆうしょく
)
の顔色は鬼気を帯び、むしろ修験者というよりも夜盗の頭領と云った方が、似つかわしいような
面魂
(
つらだましい
)
に二人はちょっと
躊躇
(
ちゅうちょ
)
した。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一個白面の貴公子であった彼は、今や
赭
(
あかぐろ
)
い男性的な顔色と、隆々たる筋肉を持っていた。見るからに、
颯爽
(
さっそう
)
たる
風采
(
ふうさい
)
と
面魂
(
つらだましい
)
とを持っていた。その昔ながらに美しい
眸
(
ひとみ
)
は、自信と希望とに燃えていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私には親爺が思い違いをしたというよりは、私を
憫
(
あわれ
)
んで金を
呉
(
く
)
れたとしか思えなかった。六区をぶらつきながらも、その親爺の彫りの深い
一癖
(
ひとくせ
)
ありげな
面魂
(
つらだましい
)
が、しばらくは目のあたりを去らなかった。
朴歯の下駄
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
糞マヂメで、横柄で、威張り返つて、いつ横からポカリと僕を殴るか分らぬやうな油断のならぬ
面魂
(
つらだましい
)
だ。この看護人は毎日必ずバイブルを片手にぶらさげてをつた。
二十一
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「ふうむ……
面魂
(
つらだましい
)
の強そうなことをいう。して、生命がけで帰ったら、どれ程な効があると存じてか」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこでか見たことのあるような男である。どうも見覚えのあるような
面魂
(
つらだましい
)
——そうだそうだ、土佐の坂本竜馬だ、あの男によく似ている、見れば見るほど坂本竜馬に似ている。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
沓脱
(
くつぬぎ
)
の上にこそ膝を突きましたが、擧げた
面魂
(
つらだましい
)
は、
寸毫
(
すんがう
)
も引きさうになかつたのです。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうか、どれを見ても、たのもしい
面魂
(
つらだましい
)
、早速、われわれの旗挙げに、加盟をゆるすが、しかしわれらの志は、黄巾賊の輩の如く、野盗掠奪を旨とするのとは違うぞ。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
品物の
面魂
(
つらだましい
)
を見てごらん。ジッとイノチを狙っているね。そういうのが三十や五十はあるだろう。
明治開化 安吾捕物:19 その十八 踊る時計
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼は精悍な
面魂
(
つらだましい
)
をして、多田嘉助が睨み曲げたという松本城の天守閣を横に睨み
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そんな事だろうな、あの
面魂
(
つらだましい
)
じゃ」
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
土民の中にもよい
面魂
(
つらだましい
)
の子があるもの——と武蔵はなお
惚々
(
ほれぼれ
)
と見るのであった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これも四十がらみであるが、何百人叩き斬ったか分らないという
面魂
(
つらだましい
)
である。
現代忍術伝
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
精悍
(
せいかん
)
な
面魂
(
つらだましい
)
、グロな骨柄、どう見たって見損うはずはない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
やっぱりそれだけの
面魂
(
つらだましい
)
を持たなきゃならねえ。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小つぶのくせに、
面魂
(
つらだましい
)
を備えているからである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ビクともしない
面魂
(
つらだましい
)
は見上げたものである。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その
面魂
(
つらだましい
)
、ちっとも油断がならなかった。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
魂
常用漢字
中学
部首:⿁
14画
“面”で始まる語句
面
面白
面影
面目
面持
面喰
面倒
面色
面長
面当