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鎧戸
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よろいど
ふりがな文庫
“
鎧戸
(
よろいど
)” の例文
日はもう暮れかけていましたが、大屋敷の窓にはまだ
鎧戸
(
よろいど
)
が下してありませんでしたので、
内部
(
なか
)
の様子をちらと覗くことが出来ました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
不在のときには、きわめて巧妙に、細枝でつくった
紐
(
ひも
)
でしっかりとドアの取っ手をしばりつけ、
鎧戸
(
よろいど
)
には心張棒がかってあった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
これがためにたとえば
鵞鳥
(
がちょう
)
の声から店の
鎧戸
(
よろいど
)
の音へ移るような音のオーバーラップは映像のそれよりも容易でありまた効果的でありうる。
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
博物館の
鎧戸
(
よろいど
)
は下りていたが、裸の大工が二十人(いずれも腰のまわりに布をまいている)テーブルや陳列箱の細工をしていた。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
晩方
(
ばんかた
)
に窓掛を締めてやれば、その人のためには夜になり、
午前
(
ひるまえ
)
に窓の
鎧戸
(
よろいど
)
を明けてやれば、その人のためには朝になるでしょう。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
▼ もっと見る
「ははあ」と検事は頷き乍ら「それではお嬢さん、お宅では、夜も此様に窓掛も閉めず、
鎧戸
(
よろいど
)
も
卸
(
おろ
)
さないのでございますか?」
西班牙の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
旅館でも病院でも学校でも、
鎧戸
(
よろいど
)
の入った窓がバタンバタンと外へ開かれ、遠くの方からバスのエンジンの音が地響をうって聞えてくる。……
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
フォーゲル夫人はそれらの人々といっしょにみずから慰めていた。若い寡婦について、
鎧戸
(
よろいど
)
の間からのぞき得た一日のことを皆で言い合った。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして道の両側に人家やまたは壁だけでもある間は、かなり元気に進んでいった。時々彼女は、
鎧戸
(
よろいど
)
のすき間から
蝋燭
(
ろうそく
)
の光がもれるのを見た。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
やがて、密生した
西洋蘆
(
キャンヌ
)
の奥の闇の中におぼろに白い姿をさらし、死せるがごとくに固く
鎧戸
(
よろいど
)
を閉ざした城のような一棟の建物の前にゆきあたった。
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
小さい窓の
鎧戸
(
よろいど
)
はとじられて、火を焚くところもなく、私たちが今はいって来た入り口のほかには、ドアもなかった。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
しかしトニオ・クレエゲルは、そっとその場をはずして廊下へ忍び出ると、両手をうしろに廻したまま、そこの
鎧戸
(
よろいど
)
の下りた窓の前へ行って立った。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
廊下の窓も四つの寝室の窓も、窓という窓は
鎧戸
(
よろいど
)
を閉め切った上、ガラス戸は
凡
(
すべ
)
て
釘着
(
くぎづ
)
けにしてしまった。廊下の端には、交替で寝ずの番が立った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が、ヴェランダに面した窓には、丈夫な
鎧戸
(
よろいど
)
が
掩
(
おお
)
われていた。彼女は、死物狂いになって、再び
扉
(
ドア
)
の所へ帰って来た。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ある店の主人が
鎧戸
(
よろいど
)
を閉める時に老人につきあたったが、その瞬間、強い
戦慄
(
せんりつ
)
が彼の体じゅうを走るのを私は見た。
群集の人
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
とにかく、老爺は突然目にも耳にも口にも、或いは心に迄、厚い
鎧戸
(
よろいど
)
を
閉
(
た
)
てて
了
(
しま
)
った。彼は今や古い
石の神像
(
クリツツム
)
だ。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
よほど時間が立ってからマリイは目を
醒
(
さ
)
ました。部屋は気持ちの
好
(
い
)
い薄明りになっている。
鎧戸
(
よろいど
)
を締めた窓から日の光が狭い筋になって差し込んでいる。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
窓の
鎧戸
(
よろいど
)
の破れから覗いてみると、なかの薄暗がりに
椅子
(
いす
)
テーブルが片寄せに積みあげられ、
鼠
(
ねずみ
)
が喰ひ散らしたらしい古新聞や
空罐
(
あきかん
)
などがちらばつてゐる。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
近寄ってみると
鎧戸
(
よろいど
)
があいて、細目にあけたカーテンの
隙間
(
すきま
)
からダイヤモンドの光りがわたしの眼を射た。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
わたしは自分の通りかかった邸宅という邸宅の窓の
鎧戸
(
よろいど
)
やカーテンを見透すように眼をくばりました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
ある日——五月九日から三週間ほどたった日のこと——この傍屋の窓におりていた
鎧戸
(
よろいど
)
があいて、女の顔がちらほらしたのは——どこかの家族が越して来たものと見えた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
この七輪で、女中が自分の食べるのだけ煮たきをするのだと云うことだ。まるで廃屋のような女中部屋である。黒い
鎧戸
(
よろいど
)
がおりていて
石鹸
(
せっけん
)
のような外国の臭いがしている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
通りには一人の通行人も、一台の辻馬車も見えなかった。けばけばした黄色に塗った木造の家々は、窓の
鎧戸
(
よろいど
)
をしめたまま、ものうげにきたならしいかっこうをしていた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
こうして六カ月たつと、彼女はやっと喪章をはずして、窓の
鎧戸
(
よろいど
)
もあけはなすようになった。
可愛い女
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
西日が強いので、左側はすっかり
鎧戸
(
よろいど
)
を上げてある。それで残念なことには海岸が見えない。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
仁科少佐はツカツカと宏壮な洋館の
傍
(
そば
)
に近づきました。そうして、ああ、何たる乱暴! 手に持っていた太いステッキで、窓にピタリと締っている
鎧戸
(
よろいど
)
を力任せに叩きました。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ドスン……と
階下
(
かいか
)
で
破目板
(
はめいた
)
をたたき
破
(
やぶ
)
る音がした。つづいて、
窓
(
まど
)
ガラスがやぶられた。しかし、一階の窓には、のこらず
鎧戸
(
よろいど
)
がつけてある。かんたんには
侵入
(
しんにゅう
)
できないだろう。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
鎧戸
(
よろいど
)
のすきまを洩れる光線は、鎧戸そのものが全然とりのけられればもはや記憶されないであろう。いかなる方法も修練も常住に見張っていることの必要をなくすることはできない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
鎧戸
(
よろいど
)
を降ろして
灯
(
ともしび
)
を消してもはやまったく沈々たる闇の中に眠っていたのであった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
しかも両側の窓の
鎧戸
(
よろいど
)
や、入口の扉が、固く
鎖
(
とざ
)
されておりまするために、この部屋の闇黒の度合は極めて深くなっておりますので、あの汚物の燐光が辛うじて認められます以外には
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
高楼の
鎧戸
(
よろいど
)
がとざされると、サキソフォンが夜の花のようにひらいて、歩きながら白粉を鼻につける夜の女が、細路地の
暗
(
やみ
)
の中から、美しい脚をアスファルトの大通りにえがきだした。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
窓と云う窓には
鎧戸
(
よろいど
)
がおろしてあるけれど、その隙間からさし込んで来る初夏らしい真昼のあかりが、色ガラスを透して来たような赤味を帯びてどんより物の
輪廓
(
りんかく
)
を
縁取
(
ふちど
)
っている部屋の中で
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私はまず窓ぎわへ行って、明かりを入れるために戸をあけたが、外の
鎧戸
(
よろいど
)
の蝶つがいが錆びているので、それを外すことが出来ない。剣でこじあけようとしたが、どうもうまくゆきませんでした。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「
鎧戸
(
よろいど
)
が閉めてあっても?」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
彼らは窓を開いたかと思うとすぐに、
風邪
(
かぜ
)
にかかりはしないかと恐れてる
老婆
(
ろうば
)
のように、その
鎧戸
(
よろいど
)
を閉めてしまった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
たちまちのうちに街路の奥も右も左も、商店、仕事場、大門、窓、
鎧戸
(
よろいど
)
、屋根窓、あらゆる雨戸、すべてが一階から屋根に至るまで閉ざされてしまった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして、暫くすると、パッと照明が消えて、ショウ・ウインドウの前面の重い
鎧戸
(
よろいど
)
が、ガラガラとおり始めた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もちろん
鎧戸
(
よろいど
)
の外には
硝子戸
(
ガラスど
)
を閉めていただきます。それから扉の隙間などには、
眼張
(
めばり
)
をしていただきます。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それと同時に私は
起
(
た
)
ちあがった。真っ暗のなかを窓の方へ突進して、カーテンを引きめくって、
鎧戸
(
よろいど
)
をはねあけた。まず第一に外部の光線を入れようと思ったのである。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
ほのぼのと夜が明けかかると、我々はその古い建物の重々しい
鎧戸
(
よろいど
)
をみんなしめてしまい、強い香りの入った、無気味にほんのかすかな光を放つだけの
蝋燭
(
ろうそく
)
を二本だけともす。
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
いつもは美しく飾り立てた小売り店の表には、実に見すぼらしい明治時代の雨戸がしめてある。大商店のショウウィンドウにははげさびた
鎧戸
(
よろいど
)
か、よごれた
日除幕
(
ブラインド
)
がおりている。
銀座アルプス
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と突然ラシイヌは鋭い忍び
音
(
ね
)
で注意した。で、レザールは立ち止まって前方の闇をすかして見た。窓々へ
鎧戸
(
よろいど
)
を厳重に下ろして、屋内の燈火を遮断した、小柄の
洋館
(
いえ
)
が立っている。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
窓の外には
幽
(
かすか
)
に物音がしている。二人は窓から外を
覗
(
のぞ
)
いて見た。向いの家は明りも点いていない。
総
(
すべ
)
てひっそりしている。男は
長椅子
(
ながいす
)
に腰を掛けた。女は窓の
鎧戸
(
よろいど
)
を締めて窓掛を引いた。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
半開のビルデングの
鎧戸
(
よろいど
)
を汚れた袴をはいた女事務員がくぐり、表情の失せた勤め人たちが、破れたわい
襯衣
(
シャツ
)
から栄養不良の皮膚をのぞかせて鏡のように磨かれた石造の建物に吸いこまれた。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
その家の
鎧戸
(
よろいど
)
は、いつも閉まっている。住み手が光を欲しがらないからである。彼らには光がいらないのだ。窓にしても、ついぞ開かれたためしがない。住み手が新鮮な空気を好まないからである。
嫁入り支度
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼女はそれに手を触れず、後ろを振り返りもせず、家の中に逃げ込んで、すぐに踏段の所の入り口に、
鎧戸
(
よろいど
)
をしめ
閂
(
かんぬき
)
をさし
鐉
(
かけがね
)
をした。彼女はトゥーサンに尋ねた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「どうです、親方。この汽車は今夜中このとおり、
鎧戸
(
よろいど
)
をおろし、まっくらにして走るんですかね」
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
次には、とある店先のショーウィンドウの
鎧戸
(
よろいど
)
が引き上げられる、その音のガーガーと鵞鳥のガーガーが交錯する。そうしてこの窓にヒロインの絵姿のビラがはってあるのである。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかし窓の
隅
(
すみ
)
に多くの鏡がある。通り過ぎるときには、
鎧戸
(
よろいど
)
の開け閉めされるきつい音が聞こえる。だれも諸君のことを気にしてはいず、諸君を見知ってる者もいないようである。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
窓は大きくて、高さも十分であり、
鎧戸
(
よろいど
)
もあり大きな窓ガラスの
框
(
かまち
)
もついていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“鎧戸(シャッター)”の解説
シャッター(英語:window shutter)は、何枚もの細長い部材をすだれのように連接し、それを枠体に巻き取ったり片側に寄せることで収納することができるようにした建具。シャッターを構成する細長い部材をスラット(鎧)という。日本語では「鎧戸」と訳されることがある。ただし、「鎧戸」はルーバーを意味することもある。
(出典:Wikipedia)
鎧
漢検準1級
部首:⾦
18画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
“鎧”で始まる語句
鎧
鎧櫃
鎧扉
鎧通
鎧武者
鎧甲
鎧袖
鎧橋
鎧兜
鎧師