趣向しゆかう)” の例文
A 馬鹿ばかつちやいかん。統計とうけい神聖しんせいだ。勝手かつて算出さんしゆつしてたまるもんか。それよりかきみおれ今度こんど年賀状ねんがじやう趣向しゆかうせてやらう。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
お妙がその上へ横乘りになつて、江口の遊女姿で、精一杯の色氣をき散らす趣向しゆかうと聽いて、あつしはもう、可笑しくて、可笑しくて、ウ、フ、フ、フ
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
したがつて残りの百話の中にかへつて面白いものが有ると云ふやうなわけで、お上品に出来過ぎてしまつて、応接間向きの趣向しゆかういとしても、あきたらないことおびただしい。
本心ほんしんにはるまじきふみ趣向しゆかう案外あんぐわいのことにて拍子へうしよくき、文庫ぶんこをさたまひしとはがもの、と一たびいさみけるが、それよりのち幾度いくど幾通いくつうかきおくりしふみに一たび返事へんじもなく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大陰暦たいゝんれき毎月まいげつ十五日のまろつき趣向しゆかうなれども、みぎの二十九日と十三ときを十二あはせて十二箇月かつきとしては三百六十五日にらず、すなはつきすでに十二地球ちきう周圍まはりまはりたれども
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
年賀にはひとふしかはりたる趣向しゆかうといひ、順礼じゆんれいに五放舎とたはふれたる名もおもしろく、友人とともにおどろきかんじ、宿やど施行せぎやうせん、ゆる/\ものがたりせんなど、友人もさま/″\にすゝめたれど
いま、『鱧の皮』を讀みかへして見ると、この小説は、書き方は、そのころ流行してゐた自然主義の小説と共通した、寫實的ではあるが、さうして、趣向しゆかうふるめかしくて通俗的なところさへあるけれど
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
隨分ずゐぶんねんつた趣向しゆかうだね。一體いつたいだれかんがへだい」とあにいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
茶々風茶ちや/\ぷうちやたらば女は吾儕われの物ときはめてはゐるが手段にこまり其所で兄貴に相談に來たが趣向しゆかう無物なきものかと問はれて元益笑ひ出し世に自惚うぬぼれ瘡氣かさけのない者はないとぞ言にたがはずお光は未だ手に入ねば此婚禮こんれい破談はだんに成てもお主の方へ來るか來ねへか其所の所はわからぬが是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「聽いたやうな氣もするが、花見の趣向しゆかうの一つだらうと思つて、あまり氣にも留めなかつたよ」
年賀にはひとふしかはりたる趣向しゆかうといひ、順礼じゆんれいに五放舎とたはふれたる名もおもしろく、友人とともにおどろきかんじ、宿やど施行せぎやうせん、ゆる/\ものがたりせんなど、友人もさま/″\にすゝめたれど
あのときいらがつたら、横町よこてう横町よこてう趣向しゆかうがありませうなんて、おつなことひやがつて、正太しようたばかりきやくにしたのもむねにあるわな、いくらかねるとつて質屋しちやのくづれの高利貸かうりかしなんたらさま
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その一方には踊屋臺があつて、とむらひの儀式が一わたり濟めば、其處では江戸中の人氣者を集めた餘興を、取つかへ引つかへお目にかけて、酒宴の興を添へようといふ趣向しゆかうです。
「親分、待つておくんなさい、——花見のお茶番の趣向しゆかうが出來たんだ」
銭形平次捕物控:050 碁敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)