言下ごんか)” の例文
言下ごんか勿焉こつえんと消えしやいばの光は、早くも宮が乱鬢らんびんかすめてあらはれぬ。啊呀あなやと貫一のさけぶ時、いしくも彼は跂起はねおきざまに突来るきつさきあやふはづして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
素戔嗚は言下ごんかに意を決すると、いきなり相手を引っ立てながら、あの牛飼いの若者がたった一人住んでいる、そこを余り離れていない小家こいえの方へ歩き出した。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
てるわ』とあいちやんは言下ごんかこたへて、『屹度きつと——屹度きつとわたしとほりにちがひないわ——さうでせう、ねえ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それ故に大梅和尚たいばいおしょう馬祖大師ばそだいしに問うて如何いかなるかれ仏、馬祖答えて即心即仏という、大梅が其の言下ごんか大悟だいごしたという、其の時に悟ったじゃ、此の世は実に仮のものじゃ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれは実際、事の本末もとすえを、ひややかに判ずるよりも、お米が身に関する故をもって、むしろ情において激せざるを得なかったから、言下ごんかに打出して事理を決する答をば、与え得ないで
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前の抱かれてゐるは誰君どなた、知れるかへと母親の問へば、言下ごんか兄様にいさんで御座りませうと言ふ、さうわかればもう子細はなし、今話して下された事覚えてかと言へば、知つてゐまする
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
父が上京して何をりたいのだと言った時にも、言下ごんかに政治学と答えた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
言下ごんかに、粕谷の彼は、彼の園内の梅の下に立ち白い花を折って黒髪にすお馨さんの姿をまざまざと眼の前に見た。本当に彼女は人になった梅の花であった。だから其花を折ってかんざしにしたのだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「遠慮はいらないから死ぬさ」と迷亭が言下ごんか道破どうはする。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
言下ごんか手品づまの狐光が言った。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
お美夜ちゃんは言下ごんか
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その面色、その声音こわね! 彼は言下ごんか皷怒こどして、その名にをどかからんとするいきほひを示せば、愛子はおどろき、狭山はおそれて、何事とも知らず狼狽うろたへたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
利仁の命令は、言下ごんかに行はれた。軒からとび下りた狐は、直に広庭で芋粥の馳走に、あづかつたのである。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
多勢おほぜいのものはのこらず言下ごんかに、ねずみ中心まんなかにしておほきなつくつてすわりました。あいちやんは怪訝けゞんかほしながらはなさずました、でも早速さつそく乾燥かわかさなければ屹度きつとわる風邪かぜくとおもひましたから。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
馭者は言下ごんかに莨入れとマッチとを手渡して
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「無論」と言下ごんかに余は答えた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
だから自分は言下ごんかに悪作だとけなしつけた。成瀬も読んで見て、やはり同感は出来ないと云つた。
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
言下ごんかに老婦人は色をしぬ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
騎兵は言下ごんかに刀をかざすと、一打ひとうちに若い支那人をった。支那人の頭は躍るように、枯柳の根もとにころげ落ちた。血は見る見る黄ばんだ土に、大きい斑点はんてんを拡げ出した。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
坊主ばうず言下ごんかくうした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
言下ごんかに正体を道破していはく、「小金こがねをためた玉ボオイだらう。」
病牀雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
婦人おんな言下ごんか打解うちとけて
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
野口君は言下ごんかにかう云つた。
婦人をんな言下ごんか打解うちとけて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私は言下ごんかに答えました。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
言下ごんか
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)