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くわんさつ
別に
苦にもならず
總てを
義母にお
任して
茶ばかり
飮んで
内心一の
悔を
懷きながら
老人夫婦をそれとなく
觀察して
居た。
先刻宗助の
樣子を、
氣の
毒に
觀察した
同僚は、
彼の
質問の
奧に
雜談以上のある
意味を
認めたものと
見えて、
前よりはもつと
親切に
其方面の
話をして
聞かした。
社會的に
觀察すれば、
嫁にもらひ
手のない
女文士の
救濟家(この一
句、
失言、
取消し。こんな
事もあらうかと、
初めに、
皆美人だと、
御世辭をいつておいたのだが)
……
故柳川春葉と、
私とが
編輯に
携はつて
居た、
春陽堂の
新小説、
社會欄の
記事として、
中京の
觀察を
書くために、
名古屋へ
派遣といふのを、
主幹だつた
宙外さんから
承つた
時であつた。
宗助はつく/″\
此織屋の
容貌やら
態度やら
服裝やら
言葉使やらを
觀察して、
一種氣の
毒な
思をなした。
然らば
化物の
考へはどうして
出て
來たか、
之を
研究するのは
心理學の
領分であつて、
吾々は
門外漢であるが、
私の
考へでは「
自然界に
對する
人間の
觀察」これが
此根本であると
思ふ。
其内小六の
噂が
出た。
主人は
此青年に
就いて、
肉身の
兄が
見逃す
樣な
新らしい
觀察を、二三
有つてゐた。
宗助は
主人の
評語を、
當ると
當らないとに
論なく、
面白く
聞いた。