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萬端
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ばんたん
子守がまた
澤山寄つて
居た。
其中に
年嵩な、
上品なのがお
守をして
六つばかりの
女の
兒が
着附萬端姫樣といはれる
格で
一人居た。
立伊賀亮事
俄に
癪氣差起り明日の所
全快覺束なく候間
萬端宜敷御頼み申也と云
送り
部屋へ
引籠り居たりける
扨其夜も
明辰の
上刻と成ば天一坊には八山を
幸ひ
妻の
兄は
本國で
相當の
軍人であれば、
其人の
手許に
送つて、
教育萬端の
世話を
頼まうと、
餘程以前から
考へて
居つたのですが、どうも
然る
可き
機會を
得なかつた。
男にてもあれかしと
敢果なき
事を
占なひて、
表面は
無情つくれども、
子安のお
守り
何くれと、
人より
聞きて
來た
事を
其まゝ、
不案内の
男の
身なれば
間違ひだらけ
取添へて、
美尾が
母に
萬端を
頼めば
家事
萬端の相談をしたりするのであった。
扨又徳太郎君には道中も
滯ほりなく同年
霜月加納將監
御供にて江戸麹町
紀州家上屋敷へ
到着と相成り夫より左京太夫殿
家督相續萬端首尾よく相濟せられたり。
窻の
硝子越しに
海上を
眺めると、
電光艇は
星の
光を
浴びて
悠然と
波上に
浮んで
居る、あゝ
此艇もかく
竣成した
以上は、
今から
一週間か、十
日以内には、
萬端の
凖備を
終つて
入れ則ち借主は常樂院請人は紅屋庄藏として
調印し
宿老へも相屆け
萬端事も相濟たれば常樂院は
尚も紅屋方に
逗留し翌日より大工
泥工の
諸職人を雇ひ
破損の處は
修復を