肩先かたさき)” の例文
引からげ堪忍かんにんしろとうしろからあびせ掛たるこほりやいば肩先かたさきふかく切込れアツとたまきる聲の下ヤア情けなや三次どの何でわらは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
日はくれるししかたがないから夕日を受けて金色に光った高い王子の立像の肩先かたさきに羽を休める事にしました。
燕と王子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
地蔵じぞうさまと毘沙門びしゃもんさまのおぞうの、あたまにもむねにも、手足にも、肩先かたさきにも、幾箇所いくかしょとなくかたなきずやきずがあって、おまけにおあしにはこてこてとどろさえついておりました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
武村兵曹たけむらへいそう、おまへ鬼神きじんゆうがあればとて、あの澤山たくさん猛獸まうじうたゝかつてなにになる。』と矢庭やにわかれ肩先かたさきつかんでうしろ引戻ひきもどした。此時このとき猛犬稻妻まうけんいなづまは、一聲いつせいするどうなつて立上たちあがつた。
ちひさいとき祖父ぢゞいからいたはなしに、あるさむらひうまつて何處どこかへ途中とちゆうで、きふこの早打肩はやうちかたをかされたので、すぐうまからんでりて、たちま小柄こづかくやいなや、肩先かたさきつてしたため
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と言いながら眼をげて源三が眼の行くかたを見て、同じく禽の飛ぶのを見たお浪は、たちまちにそのこころさとって、えられなくなったか泫然げんぜんとして涙をおとした。そして源三が肩先かたさきとらえて
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たゞそのしろかほあたりから肩先かたさきへかけてやなぎれたうすひかりおだやかにちてる。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
上げ柏原かしはばらと申す所へ用有つて早朝さうてうより罷り出しなりと申立れば越前守殿疵所きずしよは如何なりしやと申さるゝに憑司娘は肩先かたさきより切付られ疵は數ヶ所ござりましてくび
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
水兵すいへいヒラリとかはすよとに、こし大刀だいたう※手ぬくてせず、猛狒ゴリラ肩先かたさき斬込きりこんだ。
一人の賊は後より小手こてのばして袈裟掛けさがけに左の肩先かたさき四五寸ばかりエイト云樣切下れば左仲はアツと反返そりかへるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)