用捨ようしや)” の例文
茫然ぼんやりしてると、木精こだまさらふぜ、昼間ひるまだつて用捨ようしやはねえよ。)とあざけるがごとてたが、やがいはかげはいつてたかところくさかくれた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうして又調子の高い管絃楽のつむじ風が、相不変あひかはらずその人間の海の上へ、用捨ようしやもなく鞭を加へてゐた。
舞踏会 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
きはめて押出おしだ門口かどぐち慈悲じひ一言ひとことれをとわびるもくもなん用捨ようしやあらくれしことばいかりをめてよめでなししうとでなし阿伽あか他人たにんいへでなしなんといふとももうはぬぞ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
左樣さうさとられたからは百年目ひやくねんめこの一件いつけん他人たにんもらすものならば、乃公おれかさだいぶはれたこと左樣さうなればやぶれかぶれ、おまへ御主人ごしゆじんいへだつて用捨ようしやはない、でもかけて
出しければ勘解由はまゆしわよせ扨々さて/\是は餘り大金もし此事世間へ相知れ候時は双方さうはう共宜からず此儀は御用捨ようしやあづかり度と申けるを兩人は聞て大にいきどほり然らば勝手次第如何樣とも仕つる三千三百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
分たず人に代つてうすづくとあるも此等のおもかげかしばしと立寄りたれど車なれば用捨ようしやなく駈けくだる下れば即ち筑摩川ちくまがはにて水淺けれど勇ましく清く流れて川巾は隅田川ほどあり船橋掛るなかば渡りて四方を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
客樣きやくさませやうが空車からときだらうがやとなると用捨ようしやなくやになりまする、あきれはてるわがまゝをとこ愛想あいそきるではりませぬか、さ、おりなされ、おともをしますとすゝめられて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はじめのうちは一まはりふとつたやうにおもはれてかゆさがたまらなかつたが、しまひにはげつそりせたと、かんじられてづきづきいたんでならぬ、其上そのうへ用捨ようしやなく歩行あるうちにも入交いりまじりにおそひをつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さてこそ雪に成りぬるなれ、伯母様さぞや寒からんと炬燵こたつのもとに思ひやれば、いとど降る雪用捨ようしやなく綿をなげて、時の間に隠くれけり庭もまがきも、我がひぢかけ窓ほそく開らけば一目に見ゆる裏の耕地の
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)