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滝壺
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たきつぼ
ふりがな文庫
“
滝壺
(
たきつぼ
)” の例文
旧字:
瀧壺
桃太郎の桃でも
瓜子姫
(
うりこひめ
)
の瓜でも、ともに川上から流れ下り、
滝壺
(
たきつぼ
)
の
淵
(
ふち
)
には竜宮の
乙媛
(
おとひめ
)
が
機
(
はた
)
を織っておられるようにも伝えている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
滝壺
(
たきつぼ
)
のような波に洗われた甲板や、ところどころの船腹の隙間から噴き出す水の修理作業で、不眠不休の活動がつづけられた。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
と声をかけながら、ズーと岩の根へひき寄せると、
滝壺
(
たきつぼ
)
のなかのものはプーッと水を吹きながら、けんめいにはい
上
(
あ
)
がろうともがくのである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おそい月はまだ出ない。星ばかりが今にもこぼれそうに、空いっぱいにもりあがっている。
滝壺
(
たきつぼ
)
のまわりは岩組みである。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ナイアガラ見物の際に
雨合羽
(
あまがっぱ
)
を着せられて
滝壺
(
たきつぼ
)
におりたときは、暑い日であったがふるえ上がるほど「つめたかった」だけで涼しいとはいわれなかった。
涼味数題
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
滝壺
(
たきつぼ
)
の
裾
(
すそ
)
の流れの一筋として白絹の帯上げの結び目は、
水沫
(
みなわ
)
の如く奔騰して、そのみなかみの
鞺々
(
とうとう
)
の音を忍ばせ、そこに大小三つほどの水玉模様が
撥
(
は
)
ねて
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
熊も穴をいでゝ
滝壺
(
たきつぼ
)
にいたり水をのみし時はじめて熊を見れば、犬を七ツもよせたるほどの大熊也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私
(
わたくし
)
は
直
(
ただ
)
ちに
統一
(
とういつ
)
を
止
(
や
)
めて、
急
(
いそ
)
いで
滝壺
(
たきつぼ
)
の
上
(
うえ
)
に
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ますと、
果
(
はた
)
してそこには一
体
(
たい
)
の
白竜
(
はくりゅう
)
……
爛々
(
らんらん
)
と
輝
(
かがや
)
く
両眼
(
りょうがん
)
、すっくと
突
(
と
)
き
出
(
だ
)
された二
本
(
ほん
)
の
大
(
おお
)
きな
角
(
つの
)
、
銀
(
しろがね
)
をあざむく
鱗
(
うろこ
)
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と
仰山
(
ぎょうさん
)
に二人が
怯
(
おび
)
えた。女弟子の驚いたのなぞは構はないが、読者を
怯
(
おびやか
)
しては
不可
(
いけな
)
い。
滝壺
(
たきつぼ
)
へ
投沈
(
なげしず
)
めた同じ
白金
(
プラチナ
)
の釵が、其の日のうちに再び紫玉の黒髪に戻つた仔細を言はう。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
岡田はそのどれかの
滝壺
(
たきつぼ
)
へ飛込んで、自殺をとげたのだ。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
およそ五十メートルほどの幅の滝が、直下三十メートルほどの所に
深淵
(
しんえん
)
をたたえた
滝壺
(
たきつぼ
)
に、
濛々
(
もうもう
)
と、霧のような
飛沫
(
ひまつ
)
をあげて、落下しているのだった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
二度目に掴まれた襟元を引ッぱずして、あッという間に男は女滝の
滝壺
(
たきつぼ
)
目がけて、ポーンと跳び降りてしまった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飛行船の横腹と横腹との間の狭い空間を電光のごとくかすめては
滝壺
(
たきつぼ
)
のつばめのごとく舞い上がる光景である。
からすうりの花と蛾
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
人が
瓠
(
ひさご
)
やうつぼ舟に乗って、
浪
(
なみ
)
に
漂
(
ただよ
)
うて浜に寄ったという東方の昔語りは、しばしば桃太郎や
瓜子姫
(
うりこひめ
)
のごとき、川上から流れ下るという形に変り、深山の洞や
滝壺
(
たきつぼ
)
には
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
白金
(
プラチナ
)
の
羽
(
はね
)
の散る
状
(
さま
)
に、ちら/\と映ると、
釵
(
かんざし
)
は
滝壺
(
たきつぼ
)
に
真蒼
(
まっさお
)
な水に沈んで行く。……あはれ、呪はれたる
仙禽
(
せんきん
)
よ。
卿
(
おんみ
)
は熱帯の
鬱林
(
うつりん
)
に放たれずして、
山地
(
さんち
)
の
碧潭
(
へきたん
)
に
謫
(
たく
)
されたのである。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山半
(
やまのなかば
)
は
老樹
(
らうじゆ
)
条
(
えだ
)
をつらね
半
(
なかば
)
より上は
岩石
(
がんぜき
)
畳々
(
でふ/\
)
として
其形
(
そのかたち
)
竜躍
(
りようをどり
)
虎怒
(
とらいかる
)
がごとく
奇々怪々
(
きゝくわい/\
)
言
(
いふ
)
べからず。
麓
(
ふもと
)
の左右に
渓川
(
たにがは
)
あり
合
(
がつ
)
して
滝
(
たき
)
をなす、
絶景
(
ぜつけい
)
又
言
(
いふ
)
べからず。
旱
(
ひでり
)
の時此
滝壺
(
たきつぼ
)
に
雩
(
あまこひ
)
すればかならず
験
(
しるし
)
あり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
可成り広い池の
対岸
(
むこうがわ
)
に、
自然石
(
じねんせき
)
を畳んで、幅二間、高さ四間ほどの岩組とし、そこへ、幅さだけの滝を落としているのであって、
滝壺
(
たきつぼ
)
からは、霧のような
飛沫
(
しぶき
)
が立っていたが、池の水は
平坦
(
たいら
)
に澄返り
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
木々のあいだを
縫
(
ぬ
)
っていく、
松明
(
たいまつ
)
のあかい光について
伊那丸
(
いなまる
)
も
忍剣
(
にんけん
)
も
滝壺
(
たきつぼ
)
のほとりへ向かって
歩
(
ほ
)
をはやめる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もっと気味のわるい方法としては、ふだんは見ることもない牛や馬の首をきったのを、ある神聖なる滝の
滝壺
(
たきつぼ
)
へしずめに行くというなども、わたしの子どものころまではあった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
北海道では
熊
(
くま
)
におびやかされたり、食糧欠乏の難場で肝心の貯蔵所をこの「山のおじさん」に略奪されて二三日絶食した人もある。道を求めて
滝壺
(
たきつぼ
)
に落ちて危うく助かった人もある。
地図をながめて
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
場所もあろうに、
深夜
(
しんや
)
の
滝壺
(
たきつぼ
)
から、
法師野
(
ほうしの
)
いらい、久しく
姿
(
すがた
)
を見うしなっていた竹童をすくいだそうとは、なんたる
奇蹟
(
きせき
)
! あまりのことにあきれるばかりであった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤ん坊は
滝壺
(
たきつぼ
)
の上の
梢
(
こずえ
)
に
引懸
(
ひっかか
)
って死んでいたという話である。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“滝壺(
滝
)”の解説
滝(瀧、たき)とは、河川や湖の一部が段差になっているため、水が落下している場所を言う。瀑布(ばくふ)、飛瀑(ひばく)とも言う。なお、水の落下開始場所を滝口(たきぐち)と言い、水の落下点の水深が深くなっている場所を滝壺(たきつぼ)と言う。
日本においては、
国土地理院の定めた定義
によると、「流水が急激に落下する場所で落差が5メートル以上で、常時水が流れているもの」とされているが、歴史的に有名な滝や地理上の好目標となる滝については例外もある。
(出典:Wikipedia)
滝
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
壺
漢検準1級
部首:⼠
12画
“滝”で始まる語句
滝
滝津瀬
滝川一益
滝縞
滝口
滝夜叉
滝川
滝田樗陰
滝上
滝夜叉姫