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溷濁
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こんだく
ふりがな文庫
“
溷濁
(
こんだく
)” の例文
陰鬱
(
いんうつ
)
な事件です、人心が
溷濁
(
こんだく
)
し、血で『一掃する』という文句が到るところに引用され、全生活が
安逸
(
コムフォート
)
を旨とする現代のでき事です。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
何が故に、此の
溷濁
(
こんだく
)
なる社会を憤り、此の
紛擾
(
ふんぜう
)
たる小人島騒動に激し、以て痛切なる声を思想界の一方に放つことを得ざるか。
兆民居士安くにかある
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
明
(
あか
)
るい
光
(
ひかり
)
に
滿
(
み
)
ちた
田圃
(
たんぼ
)
を
其
(
そ
)
の
惑亂
(
わくらん
)
し
溷濁
(
こんだく
)
した
心
(
こゝろ
)
を
懷
(
いだ
)
いて
寂
(
さび
)
しく
歩數
(
あゆみ
)
を
積
(
つ
)
んで
行
(
ゆ
)
く
彼
(
かれ
)
は、
玻璃器
(
はりき
)
の
水
(
みづ
)
を
日
(
ひ
)
に
翳
(
かざ
)
して
發見
(
はつけん
)
した一
點
(
てん
)
の
塵芥
(
ごみ
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
旅客機自体が
溷濁
(
こんだく
)
したものの中にすっぽりと沈みこんでしまい、うごめく雲の色のほか、なにひとつ眼に入るものもない。
雲の小径
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
時にはまたこんなところにと思はれるやうに
溷濁
(
こんだく
)
した空気の中に、知らん顔をして芸術が
蹲踞
(
うずくま
)
つてゐるやうなこともある。
黒猫
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
▼ もっと見る
この偏光の度や配置を種々の天候の時に観測して見ると、それが空気の
溷濁
(
こんだく
)
を起すようないわゆる塵埃の多少によって系統的に変化する事が分る。
塵埃と光
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
……その正木博士を奇怪にも、既に一箇月前に自殺していると明言した若林博士の意識
溷濁
(
こんだく
)
的、心理状態の秘密……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
白眼の表面は、灰色の
斑点
(
はんてん
)
で、殆ど
覆
(
おお
)
い尽され、黒目もそこひの様に
溷濁
(
こんだく
)
して、
虹彩
(
こうさい
)
がモヤモヤとぼやけて見えた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いつか
縊死
(
いし
)
をしようとしたが、それから眼に見えて衰弱し、いまでは食事もとらず、意識もしだいに
溷濁
(
こんだく
)
するばかりである、というようなことであった。
赤ひげ診療譚:08 氷の下の芽
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そんな風にして、とうとう
巴里
(
パリ
)
の半ばを横ぎって、セーヌ
河岸
(
がし
)
までやって来ると、暫く立ちどまって、その緩やかな、
溷濁
(
こんだく
)
した水面をじっと見まもった。
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
日蔭は
日表
(
ひなた
)
との対照で闇のようになってしまう。なんという雑多な
溷濁
(
こんだく
)
だろう。そしてすべてそうしたことが日の当った風景を作りあげているのである。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
え? その時にも安死術を行ったのですって? いいえ、腸窒扶斯の重いのでして、意識が
溷濁
(
こんだく
)
しておりましたから妻は何の苦痛もなく死んで行きました。
安死術
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
笹村はちょうどまた注射の後の血が
溷濁
(
こんだく
)
したようになって、頭が始終重く
慵
(
だる
)
かった。酒も禁じられていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私は自分の中にある不純の分子や
溷濁
(
こんだく
)
の残留物を知っているので時々自信を失いかけると、彼女はいつでも私の中にあるものを清らかな光に照らして見せてくれた。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
彼は太い磨きのかかった淡紅色の大理石の円柱に片手をつき、千鶴子の現れるのを探しながらも、傍の真紀子の不機嫌さにホールの美しさも今は
溷濁
(
こんだく
)
して感じられた。
旅愁
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
世の
溷濁
(
こんだく
)
と諸侯の無能と孔子の不遇とに対する
憤懣
(
ふんまん
)
焦躁
(
しょうそう
)
を幾年か
繰返
(
くりかえ
)
した後、ようやくこの頃になって、漠然とながら、孔子及びそれに従う自分等の運命の意味が判りかけて来たようである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
溷濁
(
こんだく
)
した恋情と、ねばねばする空気……
古傷
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
ああ、アヴドーチャ・ロマーノヴナ、現代は何もかもが
溷濁
(
こんだく
)
してしまってるんですよ。もっとも、今までだって、特にきちんとしていたことはありませんがね。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
私は自分の中にある不純の分子や
溷濁
(
こんだく
)
の残留物を知つてゐるので時々自信を失ひかけると、彼女はいつでも私の中にあるものを清らかな光に照らして見せてくれた。
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
これはたぶんまつ毛のためやまた眼球光学系の
溷濁
(
こんだく
)
のために生ずるものかと思われる。それで、事によると「火の玉」の正体がこれであったかもしれないとも思われる。
人魂の一つの場合
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼
(
かれ
)
は
只管
(
ひたすら
)
肘
(
ひぢ
)
の
瘡痍
(
きず
)
の
實際
(
じつさい
)
よりも
幾倍
(
いくばい
)
遙
(
はるか
)
に
重
(
おも
)
く
他人
(
ひと
)
には
見
(
み
)
せたい一
種
(
しゆ
)
の
解
(
わか
)
らぬ
心持
(
こゝろもち
)
を
有
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
寸暇
(
すんか
)
をも
惜
(
をし
)
んだ
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
從來
(
これまで
)
になく、
自分
(
じぶん
)
の
損失
(
そんしつ
)
を
顧
(
かへり
)
みる
餘裕
(
よゆう
)
を
有
(
も
)
たぬ
程
(
ほど
)
惑亂
(
わくらん
)
し
溷濁
(
こんだく
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
久美子は重苦しい意識の
溷濁
(
こんだく
)
の中で覚醒した。
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
不思議な事には巻物の初めの方に朽ち残った絵の色彩は眼のさめるほど美しく保存されているのに、後の方になるほど絵の具の色は
溷濁
(
こんだく
)
して、次第に鈍い灰色を帯びている。
厄年と etc.
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そろそろ彼の心を圧迫し
溷濁
(
こんだく
)
させていた、たとえようもない嫌悪の情が、今はものすごく大きな形に成長して、はっきりその正体を示してきたので、彼は悩ましさに身の置場もないような気がした。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
然
(
しか
)
し
樹木
(
じゆもく
)
が
吸收
(
きふしう
)
して
獲
(
え
)
た
物質
(
ぶつしつ
)
の一
部
(
ぶ
)
を
地
(
つち
)
及
(
およ
)
び
空氣
(
くうき
)
に
還元
(
くわんげん
)
せしめようとして
凡
(
すべ
)
ての
葉
(
は
)
を
梢
(
こずゑ
)
から
奪
(
うば
)
つて、
到
(
いた
)
る
處
(
ところ
)
空濶
(
くうくわつ
)
で
且
(
かつ
)
簡單
(
かんたん
)
にすることを
好
(
この
)
む
冬
(
ふゆ
)
の
目
(
め
)
には、
櫟
(
くぬぎ
)
の
枯葉
(
かれは
)
は
錯雜
(
さくざつ
)
し、
溷濁
(
こんだく
)
して
見
(
み
)
えねばならぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
“溷濁”の意味
《名詞》
溷 濁(こんだく)
混濁の別表記。
(出典:Wiktionary)
溷
漢検1級
部首:⽔
13画
濁
常用漢字
中学
部首:⽔
16画
“溷”で始まる語句
溷
溷鼠
溷沌
溷泥
溷際
溷鼠染