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有徳
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うとく
ふりがな文庫
“
有徳
(
うとく
)” の例文
文字通りにきつと彼は唯渇仰する爲めにのみしか生活してゐないのであつた——確かに、
有徳
(
うとく
)
で偉大であつたものゝ後を追つて。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
僕のような
有徳
(
うとく
)
の君子は貧乏だし、彼らのような愚劣な
輩
(
はい
)
は、人を苦しめるために金銭を使っているし、困った世の中だなあ。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
前に述べた金神もその一つだが、このほかに
歳徳
(
としとく
)
と申すものがある。これは年中第一の
有徳
(
うとく
)
の方角にして、万徳の集まる吉方といわれている。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
こういう生きた道場があるのに、前人
有徳
(
うとく
)
の聖者たちが、誰ひとりあって、土と汗の中で、こういう生きた教化に従事した例があるだろうか。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仲間の重立つたものと
賭
(
か
)
けをして、江戸の第一流中の一流といふ大町人、
有徳
(
うとく
)
の有名人、お役付の武家などを百人選び
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
路地の最も長くまた最も錯雑して、恰も迷宮の観あるは
葭町
(
よしちやう
)
の芸者家町であらう。路地の内に
蔵造
(
くらづくり
)
の質屋もあれば
有徳
(
うとく
)
な人の
隠宅
(
いんたく
)
らしい板塀も見える。
路地
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
なすに右門の申
樣
(
やう
)
は
我等
(
われら
)
同職
(
どうしよく
)
の
中
(
うち
)
にて
有徳
(
うとく
)
なるは
肥前
(
ひぜん
)
なり此者を
引入
(
ひきいれ
)
なば金子の
調達
(
てうだつ
)
も致すべし此儀如何
有
(
あら
)
んと申ければ彌次六も大いに
悦
(
よろこ
)
び
早々
(
さう/\
)
夫となく
彼
(
かの
)
肥前を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、いずれにしたところで
有徳
(
うとく
)
の知識とは申されぬのである。寺へ酒肴持参の花見も
異
(
い
)
なものである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
さへ
取
(
と
)
りあげもせず
錦野
(
にしきの
)
が
懇望
(
こんまう
)
恰
(
あたか
)
もよし
彼
(
か
)
れは
有徳
(
うとく
)
の
醫師
(
いし
)
なりといふ
故郷
(
こきやう
)
某
(
なにがし
)
の
地
(
ち
)
には
少
(
すくな
)
からぬ
地所
(
ぢしよ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今西村
(
いまにしむら
)
に
兵右衛門
(
へいゑもん
)
と云へる
有徳
(
うとく
)
なる百姓ありけるが、かの家にめし使ふ女、みめかたち人にすぐれ、心ざまもやさしかりければ、
主
(
あるじ
)
の兵右衛門おりおり
忍
(
しの
)
びかよひける。
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それはとにかく、この老人はこの煙管と灰吹のおかげで、ついぞ家族を殴打したこともなく、また他の器物を
打毀
(
うちこわ
)
すこともなく温厚篤実な
有徳
(
うとく
)
の紳士として生涯を終ったようである。
喫煙四十年
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
法体
(
ほったい
)
と装ひて諸国を渡り、
有徳
(
うとく
)
の家を
騙
(
たばか
)
つて金品を
掠
(
かす
)
め、児女を
誘
(
いざな
)
ひて行衛を
晦
(
くら
)
ます、不敵無頼の
白徒
(
しれもの
)
なる事、天地に照して明らかなり、汝空を
翹
(
かけ
)
り土に
潜
(
ひそ
)
むとも今は
遁
(
のが
)
るゝに道あるまじ
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
やはり彼は非凡人であったと心から考え出して、そういう
有徳
(
うとく
)
の僧に毒矢をつがえた身のほどが恐ろしくなってしまった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路地の最も長くまた最も錯雑して、あたかも迷宮の観あるは
葭町
(
よしちょう
)
の芸者家町であろう。路地の内に
蔵造
(
くらづくり
)
の質屋もあれば
有徳
(
うとく
)
な人の
隠宅
(
いんたく
)
らしい板塀も見える。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
早く女房に死に別れて、跡を継ぐべき子供もなかったので、二人の
姪
(
めい
)
——お道、お杉——を養って淋しいが、しかし満ち足りた暮しをしている、
有徳
(
うとく
)
の米屋でした。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
茲に説出すに頃は
享保
(
きやうほ
)
年中
甲州
(
かふしう
)
原澤村
(
はらざはむら
)
に佐野
文右衞門
(
ぶんゑもん
)
と
言
(
いひ
)
て
有徳
(
うとく
)
に
暮
(
くら
)
す百姓あり或時文右衞門は甲府表に出て所々見物なし日も西山に傾むきける故に
佐倉屋
(
さくらや
)
五郎
右衞門
(
ゑもん
)
といふ穀物問屋へ一
泊
(
ぱく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
頭巾
(
ずきん
)
を
冠
(
かむ
)
り手に
数珠
(
じゅず
)
を持ち
杖
(
つえ
)
つきながら行く
老人
(
としより
)
は
門跡様
(
もんぜきさま
)
へでもお
参
(
まい
)
りする
有徳
(
うとく
)
な隠居であろう。小猿を背負った猿廻しの
後
(
あと
)
からは
包
(
つつみ
)
を背負った
丁稚
(
でっち
)
小僧が続く。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
家人
(
けにん
)
眷族
(
けんぞく
)
の
慴伏
(
しょうふく
)
の上に坐し、
有徳
(
うとく
)
な長者の風を示している大掾国香も、常南の地に、今日の大をなすまでには、その半生涯に、信義だの慈悲だの情愛などというものは
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
谷中三崎町に、小大名の下屋敷ほどの構へで、
界隈
(
かいわい
)
を
睥睨
(
へいげい
)
してゐる
有徳
(
うとく
)
の町人
丁子屋
(
ちやうじや
)
善兵衞。
銭形平次捕物控:223 三つの菓子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
つぐなうとあれば
聖人
(
せいじん
)
の
掟
(
おきて
)
にも有事なり然らば
惡
(
あし
)
き
御政事
(
ごせいじ
)
にてはなきと决せり又
非學者
(
ひがくしや
)
の
難
(
なん
)
じて
曰
(
いは
)
く文王は
有徳
(
うとく
)
な百姓町人の
罪
(
つみ
)
死
(
し
)
けいに
非
(
あらざ
)
るものを
過料
(
くわれう
)
を
出
(
だ
)
させて其金銀を以て
道路
(
だうろ
)
にたゝずみ
暑寒
(
しよかん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
隣町に住んでいる
有徳
(
うとく
)
の浪人者、小金などを廻して
呑気
(
のんき
)
に暮している中年過ぎの男が踊りの師匠のところに出入するというのは腑に落ちませんが、
先刻
(
さっき
)
小唄の師匠のお組が
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「どんじき、などと、お書きくださって、なんの意味か、通じはしませぬが、そういう
有徳
(
うとく
)
なお方の看板でも出しておいたら、少しは貧乏神の
魔除
(
まよ
)
けになるかと思いましてな」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここで
有徳
(
うとく
)
の町人の倅が殺されたというのは平次の鑑定も嘘のような気がしてなりません。
銭形平次捕物控:244 凧の糸目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
隣り町に住んでゐる
有徳
(
うとく
)
の浪人者、小金などを廻して呑氣に暮してゐる中年過ぎの男が踊りの師匠のところに出入りするといふのは
腑
(
ふ
)
に落ちませんが、
先刻
(
さつき
)
小唄の師匠のお組が
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三尊の
來迎
(
らいがう
)
が拜まれるといふ俗説があり、江戸の海邊や高臺は凉みがてらの人の山で、
有徳
(
うとく
)
の町人や風流人は、雜俳や腰折を應酬したり、中には僧を招じて經を讀ませる者もあり
銭形平次捕物控:255 月待ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
半左衞門は言ひかけて口を
緘
(
つぐ
)
みました。世にあり勝ちの
有徳
(
うとく
)
な町人達のやうに、自分の施した善根などを、岡つ引相手に吹聽するのが、さすがに大人氣ないと思ひ付いたのでせう。
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
世の
有徳
(
うとく
)
人と言はれ、義理堅いと言はれ、慈悲善根が好きだと言はれる人の中には、
斯
(
か
)
う言つた自己紹介の好きな、ひどい宣傳癖のある人の多いことを、平次はよく知つて居りますが
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
江戸屋敷の正妻の外に國許に妾を置き、それを見慣ふ
有徳
(
うとく
)
な武家、好色の大町人は申すまでもなく、甚しきに至つては學者僧侶に至るまで、公然妾を蓄へて
聊
(
いさゝ
)
かも恥ぢる色がなかつたのです。
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
徳
常用漢字
小4
部首:⼻
14画
“有徳”で始まる語句
有徳人
有徳院
有徳院殿
有徳者
有徳院吉宗公
有徳院御実記