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うちわす
ふりがな文庫
“
打忘
(
うちわす
)” の例文
と云ったが、額の
疵
(
きず
)
があるから出られません。けれども忠義の人ゆえ、殿様の御用と聞いて額の疵も
打忘
(
うちわす
)
れて出て参りました。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
慶三は気まりの悪い事も何も彼も
打忘
(
うちわす
)
れて、曲角の酒屋でそれとなく引越先を聞くと、四十ばかりの
内儀
(
かみ
)
さんが訳もなく
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しばらくの
間
(
あいだ
)
私
(
わたくし
)
は
全
(
まった
)
くすべてを
打忘
(
うちわす
)
れて、
砂丘
(
すなやま
)
の
上
(
うえ
)
に
立
(
た
)
ち
尽
(
つく
)
して、つくづくと
見惚
(
みと
)
れて
了
(
しま
)
ったのでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
棄たるは則ち私しなり
其事情
(
そのことがら
)
は
云々
(
しか/″\
)
斯樣々々
(
かやう/\
)
の
貧苦
(
ひんく
)
に
迫
(
せま
)
り
現在
(
げんざい
)
我が子を棄たりと我が身の罪をも
打忘
(
うちわす
)
れて
懺悔
(
ざんげ
)
なすにより和尚も
奇異
(
きい
)
の
事
(
こと
)
に思ひ夫より別して吉兵衞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
友人達が二人の間を祝福している頃、女優はチャイコフスキーのことなどは
打忘
(
うちわす
)
れて、ポーランドで一座の男の歌手と結婚してしまった。チャイコフスキーは怒るよりも驚いていた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
▼ もっと見る
他人の事と思はれず、
我身
(
わがみ
)
の
誉
(
ほまれ
)
と
打忘
(
うちわす
)
れられて
嬉
(
うれ
)
しく
独
(
ひとり
)
笑
(
ゑみ
)
する心の
中
(
うち
)
には、
此群集
(
このぐんしふ
)
の人々にイヤ御苦労さま
抔
(
など
)
と
一々
(
いち/\
)
挨拶
(
あいさつ
)
もしたかりし、これによりて
推想
(
おしおも
)
ふも
大尉
(
たいゐ
)
が
一族
(
いちぞく
)
近親
(
きんしん
)
の
方々
(
かた/″\
)
はいかに
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
やがて娘の母
皈
(
かへ
)
り来りおはたやに娘のをらぬを見ていぶかり、しきりにその名をよびければ、かの木小屋にきゝつけて
遽驚
(
あはておどろ
)
き男は
逃去
(
にげさ
)
り、娘は
心
(
こころ
)
顛倒
(
てんだう
)
して
身
(
み
)
を
穢
(
けがし
)
たるも
打忘
(
うちわす
)
れおはたやにかけ入り
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そこで
彼
(
か
)
の
權官
(
けんくわん
)
は
首尾
(
しゆび
)
よく
天下
(
てんか
)
の
名石
(
めいせき
)
を
奪
(
うば
)
ひ
得
(
え
)
てこれを
案頭
(
あんとう
)
に
置
(
おい
)
て
日々
(
ひゞ
)
眺
(
なが
)
めて居たけれども、
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
きし
靈妙
(
れいめう
)
の
働
(
はたらき
)
は少しも見せず、雲の
湧
(
わく
)
などいふ
不思議
(
ふしぎ
)
を
示
(
しめ
)
さないので、
何時
(
いつ
)
しか石のことは
打忘
(
うちわす
)
れ
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
新三郎とお露と並んで坐っているさまは
真
(
まこと
)
の夫婦のようで、今は耻かしいのも何も
打忘
(
うちわす
)
れてお互いに
馴々
(
なれ/\
)
しく
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私
(
わたくし
)
は
室
(
へや
)
を
出
(
で
)
たり、
入
(
はい
)
ったり、しばらく
坐
(
すわ
)
ることも
打忘
(
うちわす
)
れて
小娘
(
こむすめ
)
のようにはしゃいだことでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
云から待てゐよ必ず忘るゝ事
勿
(
なか
)
れと
憤怒
(
ふんぬ
)
の
目眥
(
まなじり
)
逆立
(
さかだ
)
つて
礑
(
はつ
)
たと
白眼
(
にらみ
)
兩の手をひし/\と
握
(
にぎ
)
りつめ
齒
(
は
)
を
喰
(
くひ
)
しばりし
恐怖
(
おそろ
)
しさに忠兵衞夫婦は
白洲
(
しらす
)
をも
打忘
(
うちわす
)
れアツと云樣立上り
迯
(
にげ
)
んとするを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
どうも御贔屓になりましたる先生のことを騙りなどと
悪口
(
あっこう
)
するとは不埓至極な奴、
大方
(
おおかた
)
友之助は
食酔
(
たべよ
)
って前後も
打忘
(
うちわす
)
れ、左様なる悪口を申したに相違ございません
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
して他國へ行し故是も今度の用に立ず斯
打臥
(
うちふし
)
居て御兄弟樣の
遁
(
のが
)
れ來らるゝを
待事
(
まつこと
)
本意なさよと宵より頻に聞耳を立てゝ枕をもたげ我身の病苦は
打忘
(
うちわす
)
れて
幾度
(
いくたび
)
となく家内のものを門へいだしては氣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
只
(
たゞ
)
存ぜぬ知らんと云って済むと思うかえ、
不埓
(
ふらち
)
な奴だ、
己
(
おれ
)
が是程目を懸けてやるにサ、其の恩義を
打忘
(
うちわす
)
れ、金子を盗むとは
不届
(
ふとゞき
)
ものめ、手前ばかりではよもあるまい、
外
(
ほか
)
に同類があるだろう
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
忘
常用漢字
小6
部首:⼼
7画
“打”で始まる語句
打
打擲
打棄
打捨
打殺
打倒
打明
打付
打笑
打毀