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戸惑
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とまど
ふりがな文庫
“
戸惑
(
とまど
)” の例文
背の
軽桟
(
かるさん
)
を突きとばされて、よろよろと、強右衛門は柵の中に入っていた。ほっとした余り、少し
戸惑
(
とまど
)
っていたとみえて、彼が歩き出すと
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうしたらそのお医者の
宗近
(
むねちか
)
どんが、
戸惑
(
とまど
)
いをして私の家へ参りましたので「呉さんの
処
(
とこ
)
だ呉さんの
処
(
とこ
)
だ」と追い遣りました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お村が
虐殺
(
なぶりごろし
)
に遭ひしより、
七々日
(
なゝなぬか
)
にあたる
夜半
(
よは
)
なりき。お春は
厠
(
かはや
)
に
起出
(
おきい
)
でつ、
帰
(
かへり
)
には
寝惚
(
ねぼ
)
けたる眼の
戸惑
(
とまど
)
ひして、
彼
(
かの
)
血天井の部屋へ
入
(
い
)
りにき。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
はじめお客は、どこかの子供たちが
暗闇
(
くらやみ
)
に
戸惑
(
とまど
)
いして、この部屋へまぎれ
込
(
こ
)
んだのかも知れないと思いました。それで
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
私達
(
わたくしたち
)
でさえ、すでにこれなのでございますから、
現世
(
げんせ
)
の
方々
(
かたがた
)
が
戸惑
(
とまど
)
いをなさるのも
或
(
あるい
)
は
無理
(
むり
)
からぬことかも
知
(
し
)
れませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
その愚な奴が随分世の中にゃあるから仕方がない。現に金田の妻君もそう解釈しているのさ。
戸惑
(
とまど
)
いをした
糸瓜
(
へちま
)
のようだなんて、時々寒月さんの悪口を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お涌はにはかに
赧
(
あか
)
くなつた。それが、お涌の少女の気もちに何か
戸惑
(
とまど
)
つたやうな
口惜
(
くや
)
しささへ与へた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
いくら中国の
字典
(
じてん
)
を引いて見ても、菫をスミレとする解説はいっこうにない。昔の日本の学者が何に
戸惑
(
とまど
)
うたか、これをスミレだというのはばからしいことである。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
見処
(
みどころ
)
がありそうに思って、つれて来てなにかと世話をしてやろうと来て見れば、殿様は甲州
勤番
(
きんばん
)
、わたしもこれからどうして世渡りをしようかと
戸惑
(
とまど
)
いをしていたところへ
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ところが或る日のこと、サナトリウムの前まで来かかった時、私の行く手の
小径
(
こみち
)
がひどく
何時
(
いつ
)
もと変っているように見えた。私はちょっとの間、それから受けた異様な印象に
戸惑
(
とまど
)
いした。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ルンペンどもも命は
惜
(
お
)
しいのである。これがあの浅草公園だろうか。
戸惑
(
とまど
)
いをして飛んでもないところへ来たんじゃないかしら。それともおれは、今わるい夢を見ているのではなかろうか。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わたしの眼はただこの広大な建物に
戸惑
(
とまど
)
いしているばかりであります。幾多の円柱、歩廊、階段の交錯、その
荘厳
(
そうごん
)
なる豪奢、その幻想的なる壮麗、すべてお
伽噺
(
とぎばなし
)
にでもありそうな造りでした。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
履
(
はき
)
て
逃去
(
にげさら
)
んとする時馬鹿息子の五郎藏が小便に
起
(
おき
)
戸惑
(
とまど
)
ひなしつゝ
暗紛
(
くらまぎ
)
れに久兵衞へ
突當
(
つきあた
)
りしかば久兵衞は驚きながら
透
(
すか
)
し見てモシ若旦那
御靜
(
おしづ
)
かに成れましと云ば五郎藏も大いに驚きヤア貴樣は久兵衞か
草鞋
(
わらんぢ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と云われ、なんの話かと
戸惑
(
とまど
)
っていると
朴歯の下駄
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
戸惑
(
とまど
)
うわれらをのせてめぐる宇宙は
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
次郎の感情は
戸惑
(
とまど
)
いした。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
暗いし、
戸惑
(
とまど
)
い気味でもあった。何やら、足の先に、金属的な物音を
蹴
(
け
)
のこしたまま、逃げるように、戸口を出た。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたし
)
は
一人
(
ひとり
)
、おれぢやあない、おれぢやあない、と、
戸惑
(
とまど
)
ひをして
居
(
ゐ
)
たが、
出
(
で
)
しなに、
踏込
(
ふみこ
)
んだに
相違
(
さうゐ
)
ない。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
斯
(
かか
)
るときに
於
(
おい
)
てはじめて芸術は人類に
必需
(
ひつじゅ
)
で、
自他
(
じた
)
共に
恵沢
(
けいたく
)
を与えられる
仁術
(
じんじゅつ
)
となる。一時の人気や
枝葉
(
しよう
)
の美に
戸惑
(
とまど
)
ってはいけない。いっそやるなら、ここまで踏み
入
(
い
)
ることです。
巴里のむす子へ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
誰もが
戸惑
(
とまど
)
うように、新九郎も、ここがどこか、どうしてどうなって来ている自分かを、しきりに考え出そうと努めたが、あたりは暗いし、
寂
(
せき
)
として物音もないので
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
譬
(
たと
)
へば
城
(
じやう
)
ヶ
沼
(
ぬま
)
を
裏返
(
うらがへ
)
して、
空
(
そら
)
へ
漲
(
みなぎ
)
らした
夜
(
よる
)
の
色
(
いろ
)
——
寝
(
ね
)
をびれて
戸惑
(
とまど
)
ひをしたやうな
肥
(
ふと
)
つた
月
(
つき
)
が、
田
(
た
)
の
水
(
みづ
)
にも
映
(
うつ
)
らず、
山
(
やま
)
の
姿
(
すがた
)
も
照
(
て
)
らさず……
然
(
さ
)
うかと
言
(
い
)
つて
並木
(
なみき
)
の
松
(
まつ
)
に
隠
(
かく
)
れもせず
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
戸惑
(
とまど
)
つた私の魂はとき/″\その人の唇とか
額
(
ひたい
)
とかに向つても打ち当つて行くやうです。アーク燈に弾ね返される夜の
蝉
(
せみ
)
のやうに私の魂は滑り落ちてはにじむやうな声で鳴くやうです。
愛
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
といったので、眠っているとのみ思っていた
宿直
(
とのい
)
の侍はすこし
戸惑
(
とまど
)
いしたらしい。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半兵衛重治は、何か、
欣
(
うれ
)
しいとも悲しいともつかない
戸惑
(
とまど
)
いを心におぼえた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
久米之丞もこれには少々
戸惑
(
とまど
)
いの形です。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
惑
常用漢字
中学
部首:⼼
12画
“戸惑”で始まる語句
戸惑面喰