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居候
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いそうろう
ふりがな文庫
“
居候
(
いそうろう
)” の例文
しかもこの老貴婦人の憐れな話し相手リザヴェッタが、
居候
(
いそうろう
)
と同じような
辛
(
つら
)
い思いをしていることを知っている者は一人もなかった。
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
科学がキャピタリズムやミリタリズムやないしボルシェヴィズムの
居候
(
いそうろう
)
になっているうちは、まあ当分見込がなさそうに思われる。
電車と風呂
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「わたしは
居候
(
いそうろう
)
です、わたしも弁信さんも、それから吉田先生も、三人ともにこのお寺の居候で、あの娘さんだけがお寺の人なんです」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
砂糖屋を出てから、いわゆる「主義者」の間を一、二ヶ所
居候
(
いそうろう
)
して歩いた
揚句
(
あげく
)
、とうとうまた
三
(
み
)
の
輪
(
わ
)
の大叔父の家へ転がり込んだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
そこには
樋口十郎左衛門
(
ひぐちじゅうろうざえもん
)
のような
真庭流
(
まにわりゅう
)
の剣客ですらしばらく
居候
(
いそうろう
)
として来て、世が世ならと嘆き顔に身を寄せていたという話も出た。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
「こっちで言いたい言葉じゃ、貴公、山県狂介のところで、
下男
(
げなん
)
のような
居候
(
いそうろう
)
のような
真似
(
まね
)
をしておるとかいう話じゃが、まだいるのか」
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
平常
(
ふだん
)
から天地の間に
居候
(
いそうろう
)
をしているように、小さく構えているのがいかにも
憐
(
あわ
)
れに見えたが、今夜は憐れどころの
騒
(
さわ
)
ぎではない。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大酒家
(
たいしゅか
)
ではあり、
居候
(
いそうろう
)
は先方がいるなり次第に置きほうだいであったその人の、綾之助は三女に生れ、本名はお園さんである。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
僕は二度も
罹災
(
りさい
)
して、とうとう、故郷の津軽の家の
居候
(
いそうろう
)
という事になり、毎日、浮かぬ気持で暮している。君は未だに帰還した様子も無い。
未帰還の友に
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一寸したしくじりがありまして、職に離れたものですから、どうにも仕様がなくて、一時のしのぎに、早くいえば
居候
(
いそうろう
)
をきめ込んだ訳ですね。
盗難
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
船長は僕のこの向う見ずな考えを
諫止
(
かんし
)
しようと
努
(
つと
)
めたが、僕は高級船員の
居候
(
いそうろう
)
を断わって、かの一室を独占することにした。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
「僕の
標札
(
ひょうさつ
)
を門へ出させて戴きたいんです。名刺に書くのに、大谷方では如何にも
居候
(
いそうろう
)
のようで具合が悪いというんです」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
堅気
(
かたぎ
)
の旦那で納まッているおめえの所へ、迷惑な
居候
(
いそうろう
)
だろうが、当分世話になるかも知れない。そのつもりで、ゆっくりと今日はひとつ……」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
買出しの方はカチェリーナ自身がどういうわけか、リッペヴェフゼル夫人のところに
居候
(
いそうろう
)
している
惨
(
みじ
)
めなポーランド人を助手にして取りしきった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「なに。払わない。じゃ払わなくてもよろしい。その代り君はこの家の借り手じゃなくなるぞ。君は僕の
居候
(
いそうろう
)
だ!」
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「
居候
(
いそうろう
)
のことでしょ」とおりうが答えた、「あの人も権八をきめこんだわ、あの人こそ本当の権八よ、それであたしすっかり嫌いになってしまったの」
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
聞くところによると、彼はこの邸の
居候
(
いそうろう
)
のようなもので、表むきは、村の住人だが、自分の家にいるときよりも、地主の邸の台所にいるほうが多かった。
クリスマス・イーヴ
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「ナニサわしは
居候
(
いそうろう
)
だ。日本の国の居候で、そうしてこの方の居候だ。……いったいなんだな、お前の身分は?」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
先生が
居候
(
いそうろう
)
をきめこんでいるこの作爺さんの家には、とんがり長屋の連中が、煩悶、不平、争論の大小すべてを持ちこんできて、押すな押すなのにぎやかさ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ちょうど、
居候
(
いそうろう
)
がドンの音をきいて、急にお腹のすいたような感じを起すと同じ意味なのであります。
新案探偵法
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
……けさもね、ばあやさん、わたしが村を歩いていると、あの店の亭主がうしろからね、「やあい、
居候
(
いそうろう
)
!」って、はやすじゃないか。つくづく、つらくなったよ。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その人を使ってマアお寺の
居候
(
いそうろう
)
になって居るその中に、
小出町
(
おいでまち
)
に
山本物次郎
(
やまもとものじろう
)
と云う長崎
両組
(
りょうぐみ
)
の
地
(
じ
)
役人で砲術家があって、
其処
(
そこ
)
に奥平が砲術を学んで居るその縁を
以
(
もっ
)
て
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
自分の食べるだけのものは、自分で儲けて妹夫婦へ払ひ込むと云ふ条件だから、まるきりの
居候
(
いそうろう
)
ではないが、何かと気が置ける中にゐて、此の猫を飼つてゐるのである。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そういうと閑子はふんというような表情で、
居候
(
いそうろう
)
にそんなことはできぬとつぶやいたりした。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
にわか造りの銅像や、
石膏
(
せっこう
)
細工の天才の前での演説が、これほど多い時代はかつて見られなかった。仲間の偉大なだれかへ周期的に、光栄の
居候
(
いそうろう
)
どもが
饗宴
(
きょうえん
)
をささげていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
大須賀
頼母
(
たのも
)
といって、本家の家中客人分として、三百石の合力米をもらっていた
居候
(
いそうろう
)
同然の身分だったが、先年、兄の
勝興
(
かつより
)
が早世したので、不意に千石の旗本におしあげられ
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それでも何か
居候
(
いそうろう
)
のような気がして、これが自分の家という感じがしなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
最近、その亀は、下寺町の心光寺の境内に
居候
(
いそうろう
)
していたのだが、その心光寺の本堂が三、四年前に炎上してしまった。しかし不思議にもその亀のいた
庫裡
(
くり
)
は幸いにして焼け残ったのである。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
そこで一泊した翌日、私が、彼のひきとめるままに
居候
(
いそうろう
)
をきめこむ気をおこしたのは、父のいない家族内でのわずらわしい自分の役目から、たとえ一時的にせよ解放されたかったためにすぎない。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
致方
(
いたしかた
)
がないから
下谷金杉
(
したやかなすぎ
)
の
島田久左衞門
(
しまだきゅうざえもん
)
という者の宅に
居候
(
いそうろう
)
の身の上、
尊君
(
そんくん
)
にお目に
懸
(
かゝ
)
りたいと思って居て、
今日
(
きょう
)
図
(
はか
)
らず尋ね当りましたが、どうも
大
(
たい
)
した御身代で、お嬢様も御壮健でございますか
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
居候
(
いそうろう
)
なりとはいえ、今を時めくABCDS株式国家のC支店長の号令である。それに
愕
(
おどろ
)
いて医師は診察鞄をそこに忘れて立ち上ると、部屋附のボーイは、出かかった
嚏
(
くさめ
)
を途中で停めて部屋を出た。
大使館の始末機関:――金博士シリーズ・7――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分の思いつき一つで
家
(
ハウス
)
が
流行
(
はや
)
ったので、しぜん稼業のことはすっかり一人で支配していて、リンピイは more or less そこの
居候
(
いそうろう
)
みたいに、
波止場
(
カイス
)
の客引きだけを専門にしていた。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
そのうちいずれが主人とも
居候
(
いそうろう
)
とも下女下男とも申されませぬ。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
居候
(
いそうろう
)
の書生に主人の先生が示す恩愛です。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
居候
(
いそうろう
)
三ばい目にはそつと出し」
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「お豊さん、お前は、今ここで何をしていた、あの
武士
(
さむらい
)
は御陣屋の
居候
(
いそうろう
)
じゃ、それとお前は、ここで出会うて不義をしていたな」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
アーメン嫌いな人達の中で、時々捨吉が二階へ上って行って
祈祷
(
いのり
)
の仲間入をするように成ったは、同じ
居候
(
いそうろう
)
の玉木さんを
憐
(
あわれ
)
むという心からであった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
居候
(
いそうろう
)
の一人が、ついに口を割って、知る限りを
喋舌
(
しゃべ
)
ってしまったものである。——火中から逃げたのは晁蓋と公孫勝。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひどい悪い事を、次々とやらかすので、ついには北さんのお宅の二階に押し込められて、しばらく
居候
(
いそうろう
)
のような生活をせざるを得なくなった事さえあった。
帰去来
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
この一家は中の弟が家長になって、兄貴の方が
居候
(
いそうろう
)
だった。女たちは封筒を張ったり、種々の内職をしていたが、時々男たちは殿様気分を出して威張った。
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その中に、一つだけ模様の違う長椅子が、
居候
(
いそうろう
)
といった恰好で、部屋の調和を破って、一方の隅にすえてある。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ここでいつも彼を取りまき、
賞讃
(
しょうさん
)
するのは、大ぜいの馬丁や、
厩番
(
うまやばん
)
や、靴磨きや、名もない
居候
(
いそうろう
)
連中である。
駅馬車
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
方来居の
居候
(
いそうろう
)
だといったところで、証拠のない今となってはやたらに踏み込んで行くわけにもゆかない。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「何を云うんだい
居候
(
いそうろう
)
め! 江戸あたりからフラフラ来て、俺達の所におりながら、何を偉らそうにほざくんだい! 云わねえ云わねえ、知っていても云わねえ!」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私は
杣口
(
そまぐち
)
の母の実家に帰って来た。けれど、父の家が私の家でなかったように、ここもまた私の真の家ではなかった。私は
三界
(
さんがい
)
に家なき
哀
(
あわ
)
れな
居候
(
いそうろう
)
にすぎなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
だから彼は心の奥底では、僕を間借人または
居候
(
いそうろう
)
視していて、嫌がらせすることによって僕を追い出そうと試みているのではなかろうか。どうもそんな
風
(
ふう
)
に思われます。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
自分の食べるだけのものは、自分で
儲
(
もう
)
けて妹夫婦へ払ひ込むと云ふ条件だから、まるきりの
居候
(
いそうろう
)
ではないが、何かと気が置ける中にゐて、此の猫を飼つてゐるのである。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ほんとうの下宿というのはその町名のめずらしさで、茂緒もおぼえている
戸塚源兵衛
(
とつかげんべえ
)
の方で、そこで食事まで止められた彼は、本郷の友人の部屋に
居候
(
いそうろう
)
をしていたのだという。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
わたしはあの子が
可愛
(
かわい
)
くてならんし、あれのほうでもわたしに
懐
(
なつ
)
いてくれるが、だがやっぱり早い話が、あれは自分がこの家の余計もんだ、
居候
(
いそうろう
)
だ、食客だという気がするんだ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
処
(
ところ
)
で私を山本の
居候
(
いそうろう
)
に世話をして入れて呉れた人、
即
(
すなわ
)
ち
奥平壹岐
(
おくだいらいき
)
だ。壹岐と私とは
主客
(
しゅかく
)
処
(
ところ
)
を
易
(
か
)
えて、私が主人見たようになったから
可笑
(
おか
)
しい。壹岐は元来漢学者の才子で局量が狭い。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
候
常用漢字
小4
部首:⼈
10画
“居候”で始まる語句
居候扱
居候的
居候間