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尾上
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おのえ
ふりがな文庫
“
尾上
(
おのえ
)” の例文
尾上
(
おのえ
)
てるは、
含羞
(
はにか
)
むような
笑顔
(
えがお
)
と、しなやかな四肢とを持った気性のつよい娘であった。浅草の或る町の三味線職の長女として生れた。
古典風
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
影が、結んだ玉ずさのようにも見えた。——夜叉ヶ池のお雪様は、
激
(
はげし
)
いなかにお
床
(
ゆか
)
しい、野はその
黒雲
(
くろくも
)
、
尾上
(
おのえ
)
は
瑠璃
(
るり
)
、皆、あの方のお計らい。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
狂主人公に扮した
尾上
(
おのえ
)
菊五郎との間に、何か言葉のゆきちがいから面白くないことが出来て、菊五郎の芝居は見るの見ぬのとの
紛紜
(
いざこざ
)
があった。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鷲郎は原来
猟犬
(
かりいぬ
)
にて、かかる路には慣れたれば、「われ
東道
(
あんない
)
せん」とて先に立ち、なほ路を急ぎけるほどに、とかくして
只
(
と
)
ある
尾上
(
おのえ
)
に出でしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
一人はわたしがしばしば語った市川新蔵で、他は
尾上
(
おのえ
)
菊之助である。新蔵がどんな俳優であったかということは、繰返して説明するまでもあるまい。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
竹柏園
(
ちくはくえん
)
の一流、その他
尾上
(
おのえ
)
、
金子
(
かねこ
)
などの一流とすなわち今日のいわゆる新派とはほとんど関係がないと思います、第一趣味の根底が違ってますからね。
子規と和歌
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
白浦
(
しらら
)
、
吹上
(
ふきあげ
)
、和歌の浦、住吉、難波、など景勝の地に月を賞ずるものもあれば、
尾上
(
おのえ
)
の曙の月を惜しむものもいた。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
水蔭は舞台監督と作者とを兼ねた上に
尾上
(
おのえ
)
江見蔵と名乗って舞台にも登場した。水蔭は今では専門劇作者となってるが、この時分からの劇道熱心家であった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
大川を左に家並を右に、歩いて来た所が
尾上
(
おのえ
)
河岸、別にこれと云って用もなく、明月に誘われて出たのである。と、にわかに足を止め、じっと行手を透かして見た。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
折しも
母屋
(
おもや
)
へ通う廊下を行くは辰弥なり。上と下とに顔見合わせて、辰弥はいつものごとく笑うて見せぬ。光代はむっとしたる顔して
尾上
(
おのえ
)
に目を
反
(
そ
)
らしぬ。辰弥は打ち笑みて過ぎけり。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
そしてケタの埼に行きました時に裸になつた兎が伏しておりました。大勢の神がその兎に言いましたには、「お前はこの海水を浴びて風の吹くのに當つて高山の
尾上
(
おのえ
)
に寢ているとよい」
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
きのうかきょう咲いたと思った
尾上
(
おのえ
)
の桜もいつのまにかすっかり散ってしまって、涼しい風に吹き寄せられる浦浪の様子にも、問わずとしれた初夏の訪れがはっきりとわかるころになった。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
あの、
尾上
(
おのえ
)
の雲を見るがよい。遠くから眺めると雪のように清浄で、銀のようにきら/\と輝いて居るが、あの雲の中へ這入って見ると、雪でもなく銀でもなく、濛々とした霧ばかりである。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
菊之丞
(
きくのじょう
)
の
駕籠
(
かご
)
を一
町
(
ちょう
)
ばかり
隔
(
へだ
)
てて、あたかも
葬式
(
そうしき
)
でも
送
(
おく
)
るように
悵然
(
ちょうぜん
)
と
首
(
くび
)
を
垂
(
た
)
れたまま、一
足毎
(
あしごと
)
に
重
(
おも
)
い
歩
(
あゆ
)
みを
続
(
つづ
)
けていたのは、
市村座
(
いちむらざ
)
の
座元
(
ざもと
)
羽左衛門
(
うざえもん
)
をはじめ、
坂東
(
ばんどう
)
彦
(
ひこ
)
三
郎
(
ろう
)
、
尾上
(
おのえ
)
菊
(
きく
)
五
郎
(
ろう
)
、
嵐
(
あらし
)
三五
郎
(
ろう
)
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
『
袖中抄
(
しゅうちゅうしょう
)
』に引くところの古歌、「我のみや子持たりと思へば
武隈
(
たけくま
)
のはなはに立てる松も子持たり」、『拾遺集』に「
高砂
(
たかさご
)
の
尾上
(
おのえ
)
に立てる」とあるのは、普通の耳馴れた
詞
(
ことば
)
に詠み改めたものであろう。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ゆふさればころもで涼し
高円
(
たかまど
)
の
尾上
(
おのえ
)
の宮のあきのはつかぜ
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
勢州
(
せいしゅう
)
山田、
尾上
(
おのえ
)
町といえば目ぬきの大通りである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
秋の空
尾上
(
おのえ
)
の杉に離れけり 其角
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
尾上
(
おのえ
)
の松も年
古
(
ふ
)
りて
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは明治三十年から三十二年にわたる頃で、その一座は中村
芝翫
(
しかん
)
、市村
家橘
(
かきつ
)
、沢村
訥升
(
とっしょう
)
、先代の沢村
訥子
(
とっし
)
、
尾上
(
おのえ
)
菊四郎、岩井松之助などであった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三艸子
(
みさこ
)
の妹もうつくしい人であったが、
尾上
(
おのえ
)
いろともいい、
荻野八重桐
(
おぎのやえぎり
)
とも名乗って年をとってからも、踊の師匠をして、本所のはずれにしがない暮しをしていた。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
……まだ
夜
(
よ
)
の暗いうちに山道をずんずん上って、案内者の
指揮
(
さしず
)
の場所で、かすみを張って
囮
(
おとり
)
を揚げると、夜明け前、霧のしらじらに、向うの
尾上
(
おのえ
)
を、ぱっとこちらの山の
端
(
は
)
へ渡る鶫の群れが
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真っ先に開いたは「
鏡山
(
かがみやま
)
」で、
敵役
(
かたきやく
)
岩藤の
憎態
(
にくてい
)
で、
尾上
(
おのえ
)
の寂しい美しさや、甲斐甲斐しいお初の振る舞いに、あるいは怒りあるいは泣きあるいは両手に汗を握り、二番目も済んで中幕となり
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
尾上
(
おのえ
)
に残る
高嶺
(
たかね
)
の雪はわけて
鮮
(
あざ
)
やかに、
堆藍
(
たいらん
)
前にあり、
凝黛
(
ぎょうたい
)
後にあり、打ち
靡
(
なび
)
きたる尾花野菊
女郎花
(
おみなえし
)
の間を行けば、石はようやく繁く松はいよいよ風情よく、
灔耀
(
えんよう
)
たる湖の影はたちまち目を迎えぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
かの団十郎の八重垣姫に対して勝頼をつとめ、団十郎の岩藤に対して
尾上
(
おのえ
)
を勤めた頃が、その人気の絶頂であった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
岡本綺堂
(
おかもときどう
)
氏作の『尾上伊太八』という戯曲の中に、伊太八という幕末の江戸武士が吉原の
花魁
(
おいらん
)
尾上
(
おのえ
)
と心中をしそこなって非人におとされてから、非人小屋の床下を掘る場面があるが
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
すなわち一足
表打
(
おもてうち
)
の
駒下駄
(
こまげた
)
であるが、
尾上
(
おのえ
)
の
使
(
つかい
)
に
駈出
(
かけだ
)
して来た訳ではない。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝夕のたつきも知らざりし
山中
(
やまなか
)
も、年々の避暑の客に思わぬ
煙
(
けぶり
)
を増して、
瓦葺
(
かわらぶ
)
きの
家
(
や
)
も木の葉越しにところどころ見ゆ。
尾上
(
おのえ
)
に雲あり、ひときわ高き松が根に起りて、
巌
(
いわお
)
にからむ
蔦
(
つた
)
の上にたなびけり。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
先年
尾上
(
おのえ
)
家の養子で
橘之助
(
きつのすけ
)
といった名題
俳優
(
やくしゃ
)
が、
年紀
(
とし
)
二十有五に満たず、肺を煩い、余り胸が痛いから白菊の露が飲みたいという意味の辞世の句を残して
儚
(
はかの
)
うなり、
贔屓
(
ひいき
)
の人々は
謂
(
い
)
うまでもなく
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尾
常用漢字
中学
部首:⼫
7画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“尾上”で始まる語句
尾上山
尾上町
尾上松助
尾上梅幸
尾上坂
尾上田
尾上岩藤
尾上柴舟
尾上河岸
尾上金城