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対手
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あひて
ふりがな文庫
“
対手
(
あひて
)” の例文
旧字:
對手
人民の行為に対しては司法官の審検あらん。去れど其の
対手
(
あひて
)
たる警官の挙動は今ま
爰
(
こゝ
)
に其の一斑を記述し置くべき必要あらん。
鉱毒飛沫
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
而して自らの受けたる害を
償
(
つぐな
)
ふことを得るは、甚だ稀なる塲合なり。己れが受けたる害の為に、
対手
(
あひて
)
に向つて之に相当なる害を与ふるにあり。
復讐・戦争・自殺
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
人間の威張臭る此
娑婆
(
しやば
)
では泣く子と地頭で仕方が無いが、天国に生れたなら一つ
対手
(
あひて
)
取つて訴訟を
提起
(
おこ
)
してやる覚悟だ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
棒押
(
ばうを
)
しに於ては村内の人民
敢
(
あへ
)
て之に
勝
(
か
)
つものなしと云ふ、一夕小西君と
棒押
(
ばうを
)
しを試みしも
到底
(
とうてい
)
其
対手
(
あひて
)
に非ざるなり、此他の諸君も皆
健脚
(
けんきやく
)
の人のみ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
対手
(
あひて
)
の野牛は力も強く、角も刃物のやうに、とがつてゐるので、とうてい自分達の力の及ばないことがわかりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
▼ もっと見る
が、
其
(
それ
)
に
気
(
き
)
が
着
(
つ
)
く
了見
(
れうけん
)
なら、こんな
虚気
(
うつけ
)
な、——
対手
(
あひて
)
が
鬼
(
おに
)
にしろ、
魔
(
ま
)
にしろ、
自分
(
じぶん
)
の
女房
(
にようばう
)
を
奪
(
うば
)
はれる
馬鹿
(
ばか
)
は
見
(
み
)
ない。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『だから土屋君は困るよ。』と丑松は
対手
(
あひて
)
の言葉を
遮
(
さへぎ
)
つた。『
何時
(
いつ
)
でも君は早呑込だ。自分で斯うだと決めて了ふと、もう他の事は耳に入らないんだから。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして心では、
対手
(
あひて
)
に横を向いて
嗤
(
わら
)
はれたやうな侮辱を感じた。「畜生! 矢つ張り年を
老
(
と
)
つてる
哩
(
わい
)
!」
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
正直な汝を
対手
(
あひて
)
に、この上
拗
(
すね
)
るも罪であろ。乃公から折れて頼むとしやう。さあさあ頼んだ、どこでもよい。そこが否なら、この隅へ、ころりと丸寝をするとしやう。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
さう云ふ者を
対手
(
あひて
)
に遊ばすと、
別
(
べつ
)
してお
楽
(
たのしみ
)
が深いとか申しますが、その
代
(
かはり
)
に罪も深いので御座いますよ。貴方が
今日
(
こんにち
)
まで
巧
(
たくみ
)
に隠し抜いてゐらしつた訳も、それで私能く解りました。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
だから、さういふ人間同志は、お互に、
対手
(
あひて
)
をかつぎ上げるんだ。しかし、長い間には、自分も疲れる。向うも疲れる。会つても、自分達の問題には触れたくなくなる。それでおしまひさ。
屋上庭園
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
木賃宿に泊つて居る客を
対手
(
あひて
)
にして、近頃の好景気に枕料は段々騰貴して行つた。栄一がアメリカに行く前には、七銭八銭と云つて居たものが、景気のよくなると共に、十五銭、二十銭と値上げした。
死線を越えて:02 太陽を射るもの
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
二人を
対手
(
あひて
)
に
喋々
(
てふ/\
)
喃々
(
なん/\
)
する
未
(
ま
)
だ廿六七なる
怜悧
(
れいり
)
の相、眉目の間に浮動する青年は同胞新聞の記者の一人
吾妻俊郎
(
あづまとしらう
)
なり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
とお志保は問ひ反して、
対手
(
あひて
)
の心を推量し乍ら眺めた。若々しい血潮は思はずお志保の頬に上るのであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
いつも唖娘の泣く声の面白さに、さま/″\なことを言つて、唖娘を泣かした意地の悪いお友達も、唖娘が泣かなくなつてから、誰も
対手
(
あひて
)
にしなくなりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
吾人は政論家として
若
(
もし
)
くは経世家として、
是
(
この
)
問題を唱道する者にあらず、尤も濃厚なる、尤も着実なる宗旨家として、善く世の道理力と人の正心とを
対手
(
あひて
)
として
「平和」発行之辞
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
鎌倉以来の負けじ魂を奮つて「マスチツフ」でも「ブルドツク」でもさア来い。
対手
(
あひて
)
になつて見せる。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
既
(
すで
)
に
目指
(
めざ
)
す
美女
(
びぢよ
)
を
囚
(
とら
)
へて、
思
(
おも
)
ふがまゝに
勝矜
(
かちほこ
)
つた
対手
(
あひて
)
に
向
(
むか
)
ふて、
要
(
い
)
らぬ
償
(
つくな
)
ひの
詮議
(
せんぎ
)
は
留
(
や
)
めろ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『何さ、ただ、お由
嬶
(
かかあ
)
に一寸用があるだで。』と、声を低めて
対手
(
あひて
)
を
宥
(
なだ
)
める様に言ふ。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そのへんに転つてゐる
機会
(
チャンス
)
なんか、拾つてみたところでたいしたことはないと思つてゐるので、女としての自分が、身も魂も打ち込めるやうな一人の
対手
(
あひて
)
を、一生かかつてでも探し求めようといふ
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
世話好きな性質を額にあらはして、微な声で口癖のやうに念仏して、
対手
(
あひて
)
の返事を待つて居る様子。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
然れども、油、犬、両篇を取って精読すれば、溢るゝばかりに冷罵の口調あるを見ざらんと欲するも得べからず。而して疑ふ、彼の冷罵は如何なる
対手
(
あひて
)
に向ふて投ぐる
礫
(
つぶて
)
なるや。
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
美
(
うつくし
)
い
婦
(
をんな
)
の
木像
(
もくざう
)
さ
又
(
また
)
遣直
(
やりなほ
)
すだね。えゝ、お
前様
(
めえさま
)
、
対手
(
あひて
)
が
七六
(
しちむづ
)
ヶしいだけに
張合
(
はりえゝ
)
がある……
案山子
(
かゝし
)
ぢや
成
(
な
)
んねえ。
素袍
(
すはう
)
でも
着
(
き
)
た
徒
(
てあひ
)
が
玉
(
たま
)
の
輿
(
こし
)
持
(
も
)
つて、へい、お
迎
(
むかへ
)
、と
下座
(
げざ
)
するのを
作
(
つく
)
らつせえ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
対手
(
あひて
)
が
名代
(
なだい
)
の
千枚張
(
せんまいばり
)
だから大抵な三十
珊
(
さんち
)
では中々貧乏揺ぎもしない困り物だ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
甲田は何かの拍子で人と争はねばならぬ事が起つても、直ぐ、一心になるのが
莫迦臭
(
ばかくさ
)
いやうな気がして、笑はなくても可い時に笑つたり、不意に自分の論理を
抛出
(
なげだ
)
して
対手
(
あひて
)
を笑はせたりする。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お前がどんな偉い人になつたにしても、マサか仙人では有るまいわ、近い話が、何か身動きもならぬ程に忙しい中を、
斯様
(
こんな
)
何の相談
対手
(
あひて
)
にもならぬ
私
(
わし
)
を恋しがつて、急に思ひ立つて来ると云ふも
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
茂作はたいへん力が強く、乱暴者でそれに村でも有名な、なまけ者でありましたので、誰も村の人達は、
対手
(
あひて
)
にいたしませんでした。村の人達は、茂作のことを、けむりの茂作と呼んでをりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
先輩の
対手
(
あひて
)
にならないのは仕方が無いが
後継者
(
あとつぎ
)
の若い者までが株屋や御用商人の真似をしたがるから困る。
其
(
その
)
証拠には
貴下
(
あなた
)
、斯ういふ学校出身者で細くとも自分で
事業
(
しごと
)
を初めた人がありますか。
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「へゝゝゝ、
恐
(
おそ
)
れながら
御意
(
ぎよい
)
にまかせ、
早速
(
さつそく
)
おん
対手
(
あひて
)
」と
按摩
(
あんま
)
が
云
(
い
)
ふ。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
時代
(
ころ
)
は又、村に相応な
旅籠屋
(
はたごや
)
も三四軒あり、俥も十輛近くあつた。荷馬車と駄馬は家毎の様に置かれ、畑仕事は女の内職の様に閑却されて、旅人
対手
(
あひて
)
の渡世だけに
収入
(
みいり
)
も多く人気も立つてゐた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
... 恋愛は其
対手
(
あひて
)
が承諾を与へた場合に始めて成立する、
所謂
(
いはゆる
)
双務契約なんだからなア」と、恋愛法理論を講釈したる彼は、グツと一椀、茶を傾けつ「
何
(
ど
)
うも美人てものは厄介極まる、僕は
大嫌
(
おほきら
)
ひだ、」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
“対手”の意味
《名詞》
相手。
(出典:Wiktionary)
対
常用漢字
小3
部首:⼨
7画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“対手”で始まる語句
対手方
対手仕
対手舟