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寸隙
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すんげき
ふりがな文庫
“
寸隙
(
すんげき
)” の例文
さうすると
麥
(
むき
)
を
刈
(
か
)
つた
跟
(
あと
)
の
菽
(
まめ
)
や
陸穗
(
をかぼ
)
が
渇
(
かつ
)
した
口
(
くち
)
へ
冷
(
つめ
)
たい
水
(
みづ
)
を
獲
(
え
)
た
樣
(
やう
)
に
勢
(
いきほひ
)
づいて、四五
日
(
にち
)
の
内
(
うち
)
に
青
(
あを
)
い
葉
(
は
)
を
以
(
もつ
)
て
畑
(
はたけ
)
の
土
(
つち
)
が
寸隙
(
すんげき
)
もなく
掩
(
おほ
)
はれる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あッ——といったのは
刀下
(
とうか
)
一
閃
(
せん
)
のさけび、どッと、血けむりを立てるかと思うと、必死の
寸隙
(
すんげき
)
をねらって、竹童の
右手
(
めて
)
がふところをでるやいなや
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
某の語は某の処にのみ用ゐらるるなど規則づくめになりては和歌は今更に発達すべき
寸隙
(
すんげき
)
だにあらずなりぬ。
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
加うるに意外の
寸隙
(
すんげき
)
より凜冽なる寒気と吹雪との侵入
烈
(
はげ
)
しきを以て、これを防ぐに
忙
(
せ
)
わしく到底睡眠せんと欲するも
能
(
よ
)
くすべからず、予は時なお十月初めなれば
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
吾が国に
雪吹
(
ふゞき
)
といへるは、
猛風
(
まうふう
)
不意
(
ふい
)
に
起
(
おこ
)
りて
高山平原
(
かうざんへいげん
)
の雪を
吹散
(
ふきちら
)
し、その風四方にふきめぐらして
寒雪
(
かんせつ
)
百万の
箭
(
や
)
を
飛
(
とば
)
すが如く、
寸隙
(
すんげき
)
の
間
(
あひだ
)
をも
許
(
ゆる
)
さずふきいるゆゑ
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
▼ もっと見る
……白い女体は、こけつまろびつ逃げまわり、
寸隙
(
すんげき
)
を見ては、疾風のように男に飛びかかっていった。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
尽
(
ことごと
)
く
窓帷
(
カアテン
)
を引きたる十畳の
間
(
ま
)
は
寸隙
(
すんげき
)
もあらず
裹
(
つつ
)
まれて、火気の
漸
(
やうや
)
く春を蒸すところに、宮は
体
(
たい
)
を
胖
(
ゆたか
)
に
友禅縮緬
(
ゆうぜんちりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
の
褄
(
つま
)
を
蹈披
(
ふみひら
)
きて、
緋
(
ひ
)
の
紋緞子
(
もんどんす
)
張の
楽椅子
(
らくいす
)
に
凭
(
よ
)
りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
医学士の挙動
脱兎
(
だっと
)
のごとく神速にしていささか
間
(
かん
)
なく、伯爵夫人の胸を
割
(
さ
)
くや、一同はもとよりかの医博士に
到
(
いた
)
るまで、
言
(
ことば
)
を
挟
(
さしはさ
)
むべき
寸隙
(
すんげき
)
とてもなかりしなるが、ここにおいてか、わななくあり
外科室
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その音楽が強大
熾烈
(
しれつ
)
で、聴者に
憩
(
いこ
)
う
寸隙
(
すんげき
)
も与えず、かつて感情の移入を許さなかったことや、採り用いた題材がことごとく神話であり、英雄主義に
溺
(
おぼ
)
れて、その宿命的悲劇に救いのなかったことなど
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
寸隙
(
すんげき
)
を容れぬ瞬間の印象がよく現れている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
鎌田新介とて、
一
(
ひと
)
かどのさむらいに間違いなかったろうに、
可惜
(
あたら
)
その「いのち」を死に
際
(
ぎわ
)
の
寸隙
(
すんげき
)
に
惑
(
まど
)
わしめたため、逆臣と世間でののしる明智の部下からさえ
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吾が国に
雪吹
(
ふゞき
)
といへるは、
猛風
(
まうふう
)
不意
(
ふい
)
に
起
(
おこ
)
りて
高山平原
(
かうざんへいげん
)
の雪を
吹散
(
ふきちら
)
し、その風四方にふきめぐらして
寒雪
(
かんせつ
)
百万の
箭
(
や
)
を
飛
(
とば
)
すが如く、
寸隙
(
すんげき
)
の
間
(
あひだ
)
をも
許
(
ゆる
)
さずふきいるゆゑ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
白い女体は、こけつまろびつ逃げまわり、
寸隙
(
すんげき
)
を見ては、疾風のように男に飛びかかっていった。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
竹
(
たけ
)
を
伐
(
き
)
つて
束
(
つか
)
ねたやうに
寸隙
(
すんげき
)
もなく
簇
(
むら
)
がつて
居
(
ゐ
)
る
其
(
そ
)
の
爪先
(
つまさき
)
に
蹴
(
け
)
られては
怖
(
おび
)
えに
怖
(
おび
)
えた
草木
(
さうもく
)
は
皆
(
みな
)
聲
(
こゑ
)
を
放
(
はな
)
つて
泣
(
な
)
くのである。さうしてもう
泣
(
な
)
かねば
成
(
な
)
らぬ
時間
(
じかん
)
が
迫
(
せま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「ええ、これほどの手配りを破られたか」と、
歯軋
(
はぎし
)
りをした天堂一角、
樫柄
(
かしえ
)
の槍を抱えなおして、疾風のごとく追いかけたが、その
寸隙
(
すんげき
)
に十
間
(
けん
)
ほどの隔りができていた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その思慮なく、おのれの勇を過信して、一人の剣を
交
(
か
)
わし左右の敵を
電瞬
(
でんしゅん
)
に切って捨てたくらいでは、その
寸隙
(
すんげき
)
に八面の殺刀が、たちどころに一人の相手を蜂の巣と刺激するに足るであろう。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で——弦之丞はその
寸隙
(
すんげき
)
を惜しんだのであろう。周馬へまいる余地のある太刀を、ヒラリと返して横へ駈けるや、そこに仆れていた万吉の縄目を、プツリと斬って孫兵衛と一角のほうを防いだ。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“寸隙”の意味
《名詞》
寸隙(すんげき)
僅かな暇なとき。
僅かな隙間。
(出典:Wiktionary)
寸
常用漢字
小6
部首:⼨
3画
隙
常用漢字
中学
部首:⾩
13画
“寸”で始まる語句
寸
寸毫
寸分
寸法
寸々
寸暇
寸時
寸断
寸志
寸燐