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きやうがい
ふりがな文庫
“
境涯
(
きやうがい
)” の例文
最近彼の運も少しは好くなつてゐたが、客として
上
(
あが
)
つてくる若いお
店者
(
たなもの
)
などを見ると、つい厭な気がして、弟の
境涯
(
きやうがい
)
を思ひやつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
勿論
(
もちろん
)
、
今
(
いま
)
の
境涯
(
きやうがい
)
とて
决
(
けつ
)
して
平和
(
へいわ
)
な
境涯
(
きやうがい
)
ではないが、すでに
腹
(
はら
)
に
充分
(
じゆうぶん
)
の
力
(
ちから
)
があるので、
※
(
すぐ
)
る
日
(
ひ
)
よりは
餘程
(
よほど
)
元氣
(
げんき
)
もよく、
赫々
(
かく/\
)
たる
熱光
(
ねつくわう
)
の
下
(
した
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一
般
(
ぱん
)
の
子女
(
しぢよ
)
の
境涯
(
きやうがい
)
は
如此
(
かくのごとく
)
にして
稀
(
まれ
)
には
痛
(
いた
)
く
叱
(
しか
)
られることもあつて
其
(
その
)
時
(
とき
)
のみは
萎
(
しを
)
れても
明日
(
あす
)
は
忽
(
たちま
)
ち
以前
(
いぜん
)
に
還
(
かへ
)
つて
其
(
その
)
性情
(
せいじやう
)
の
儘
(
まゝ
)
に
進
(
すゝ
)
んで
顧
(
かへり
)
みぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
斯
(
こ
)
の
光景
(
ありさま
)
を眺めて居た丑松は、
可憐
(
あはれ
)
な小作人の
境涯
(
きやうがい
)
を思ひやつて——
仮令
(
たとひ
)
音作が正直な百姓
気質
(
かたぎ
)
から、いつまでも昔の恩義を忘れないで
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この
奴隷
(
どれい
)
の
境涯
(
きやうがい
)
がつく/″\
呪
(
のろ
)
はしくなりました、そしてそれが身を
焦
(
こが
)
すほどの憎惡にまで成長して行つたのです。
銭形平次捕物控:316 正月の香り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
自由に相手を選んでゐた
境涯
(
きやうがい
)
から、狭い
囚
(
とら
)
はれのをりの中で、あてがはれた
牝
(
めす
)
をせつかちに追ひまはすやうな、空虚な心が、ゆき子との接吻のなかに
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
安値
(
あんちよく
)
の
報酬
(
はうしう
)
で
學科
(
がくくわ
)
を
教授
(
けうじゆ
)
するとか、
筆耕
(
ひつかう
)
をするとかと、
奔走
(
ほんそう
)
をしたが、
其
(
そ
)
れでも
食
(
く
)
ふや
食
(
く
)
はずの
儚
(
はか
)
なき
境涯
(
きやうがい
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そこで、世間で一番
嫌
(
きら
)
はれてゐる
癩病
(
らいびやう
)
患者をあつめて、人々から石を投げられたり、棒で追つぱらはれたりする気の毒な
境涯
(
きやうがい
)
から、救つてやらうと思ひ立ちました。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
又
(
また
)
逢
(
あ
)
ふ
場所
(
ばしよ
)
は
某
(
それ
)
の
辻
(
つじ
)
某
(
それ
)
の
處
(
ところ
)
に
待給
(
まちたま
)
へ
必
(
かな
)
らずよと
契
(
ちぎ
)
りて
別
(
わか
)
れし
其夜
(
そのよ
)
のこと
誰
(
た
)
れ
知
(
し
)
るべきならねば
心安
(
こゝろやす
)
けれど
心安
(
こゝろやす
)
からぬは
松澤
(
まつざは
)
が
今
(
いま
)
の
境涯
(
きやうがい
)
あらましは
察
(
さつ
)
しても
居
(
ゐ
)
たものゝそれ
程
(
ほど
)
までとは
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らざりしが
其御難儀
(
そのごなんぎ
)
も
誰
(
たれ
)
がせし
業
(
わざ
)
ならず
勿躰
(
もつたい
)
なけれど
我
(
わ
)
が
親
(
おや
)
うらみなり
聞
(
き
)
かれぬまでも
諫
(
いさ
)
めて
見
(
み
)
んか
否
(
いな
)
父
(
ちゝ
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『実に、人の一生はさま/″\ですなあ。』と銀之助はお志保の
境涯
(
きやうがい
)
を思ひやつて、
可傷
(
いたま
)
しいやうな気に成つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「三河屋の旦那はそれでもよく文吉の世話をしたさうですよ、いくら注ぎ込んでも、貧乏性は仕方のないもので、あの通りその日暮しの
境涯
(
きやうがい
)
から足が洗へません」
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今のやうな
境涯
(
きやうがい
)
に
陥
(
お
)
ちることになつたのであつたが、ちやうど其の時分の淡い追憶のやうなものが
彼
(
か
)
の大学生によつて、ぼんやり
喚覚
(
よびさ
)
まされるやうな
果敢
(
はか
)
ない懐かしさを
唆
(
そゝ
)
られた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
古びた火鉢も、粗末な懸物も、机も、本箱も。其に比べると人の
境涯
(
きやうがい
)
の頼み難いことは。丑松はあの
鷹匠
(
たかしやう
)
町の下宿から放逐された不幸な大日向を思出した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
“境涯”の意味
《名詞》
境涯(きょうがい)
立場。地位。身分。
身の上。境遇。
(出典:Wiktionary)
境
常用漢字
小5
部首:⼟
14画
涯
常用漢字
中学
部首:⽔
11画
“境”で始まる語句
境内
境
境界
境遇
境目
境地
境川
境木峠
境木
境論