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合槌
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あいづち
ふりがな文庫
“
合槌
(
あいづち
)” の例文
文代さんはもう
合槌
(
あいづち
)
をうつことができなかった。何かしらえたいの知れぬ恐怖が、背筋に迫ってくるようで、身動きもできなかった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その用事が、片付くと客は、取って付けたように、政局の話などを始めた、父は
暫
(
しば
)
らくの間、興味の乗らないような
合槌
(
あいづち
)
を打っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
だからやっぱり悦ちゃんの家と僕の家とは最初から縁があったんだよ、と云うと、ほんとうにね、と、光代が傍から
合槌
(
あいづち
)
を打って
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
或者は火に手を
翳
(
かざ
)
したまま、
燻
(
くすぶ
)
る煙に眼を
瞬
(
しばだた
)
いている。さもなくば酒を温めながらこれに
合槌
(
あいづち
)
を打って陽気にするばかりだ。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それとも聞くふりをして聞いていないのか、かたちだけ
合槌
(
あいづち
)
を打ちながら、もっぱら酒の燗と酌をすることにかかっていた。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
「ほんとにろくな
晩
(
ばん
)
じゃねえ。人の子一
匹
(
ぴき
)
つかまえなかった。腹の虫がグーグー鳴るわい。」と外の家来が
合槌
(
あいづち
)
を打った。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
段々進んで三千代が金を借りに来た一段になっても、やっぱりへえへえと
合槌
(
あいづち
)
を打つだけである。代助は、仕方なしに
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いってのけるのに倉地が興に入って
合槌
(
あいづち
)
を打つので、ここに移って来てから客の味を全く忘れていた貞世はうれしがって倉地を相手にしようとした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
千寿というのが
合槌
(
あいづち
)
を打って、それとなく花桐の顔を見た。しかし花桐は顔をそむけ何んともそれには答えなかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
却
(
かえ
)
って有望かも知れないとか、そういったことをしきりに話しあったが、次郎はただ道づれをしているというだけで、ほとんど
合槌
(
あいづち
)
さえうたなかった。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「道楽に身を持崩して、東海坊の弟子になり、
大法螺
(
おおぼら
)
の
合槌
(
あいづち
)
を打ってトウセンボウとか名乗ったんだろう」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わたくしは、尚もこの弟をいゝ鴨にして、
合槌
(
あいづち
)
を打ってみたり
鎌
(
かま
)
をかけてみたり、少しは
逆毛
(
さかげ
)
に撫でゝみたりして、先生の家のことを喋らせるように仕向けます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いまの三鷹の家に
就
(
つ
)
いても、訪客はさまざまの感想を述べてくれるのであるが、私は常に
甚
(
はなは
)
だいい加減の
合槌
(
あいづち
)
を打っているのである。どうでも、いい事ではないか。
無趣味
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「わかります!」と警部は、探偵小説家の途方もない想像力で
煙
(
けむ
)
にまかれながら、
合槌
(
あいづち
)
をうった。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
耳にひびいて来る相手の語気によって、礼をうしなわぬ程度には
合槌
(
あいづち
)
も打っていたが。ときには言葉の意味も聞えていたと見えて、ご
尤
(
もっと
)
も——と首をふったりしていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「わたくしなぞには歌のことなんか分りっこはございませんが、そう
仰
(
お
)
っしゃられれば、好い歌は好いと思われますね。」老刀自はしかたがなさそうに
合槌
(
あいづち
)
を打つのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
合槌
(
あいづち
)
うって「すこし、変ですね」と言えば、あなたも「ほんとうにつまらんわア」中村嬢は
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
……僕は、うるさいから、あいつの云うことは一々「そうだ、そうだ」って
合槌
(
あいづち
)
を打ってやってはいるけど、実際この頃のあいつの云ってることはさっぱりわけが分らないんだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
気違に相違ないと
合槌
(
あいづち
)
を打つに、引込まれるとは知らず萬助までが長二を悪くする積りで、正気の沙汰でないと申しますから、奉行は心の内で
窃
(
ひそ
)
かに喜んで、一同に念を押して
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そうだったね、散歩のついでによくこの前を通りかかると、感じのいいおじいさんとおばあさんがいつも二人でヴェランダに出て本を読み合っていたっけなあ。」私も
合槌
(
あいづち
)
を打った。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
先刻の青年は
合槌
(
あいづち
)
をうち、感にたえたかニヤリとした。三人の青年が、にわかに好奇の目をかゞやかして、彼の風采を上から下まで眺めはじめたのである。彼はまだ一言も喋らなかった。
現代忍術伝
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
示寂の前夜、侍僧に紙を求めて、筆を持ち添えさせながら、「即心即仏、非心非仏、不渉一途、阿弥陀仏」と
大書
(
たいしょ
)
したと云うのである。玄浴主は、いかさま禅浄一如の至極境、と
合槌
(
あいづち
)
を打つ。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
しかし私は奥山の人奥山君を知っているが、同君も義理で少々は
合槌
(
あいづち
)
を打つがよく聞くとただ淋しい一山村というに過ぎぬようである。地図で見ても奥山は天竜の水域でさして
僻遠
(
へきえん
)
の地ではない。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
法螺忠のそんな大業な見得に接しても至極自然な
合槌
(
あいづち
)
を打てる松どもも、また自然そうであればあるだけ心底は不真面目と察せられるのだ。彼らは、何か選挙運動に関する
思惑
(
おもわく
)
でもあるらしかった。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「そ、そりゃアそうですけど。」と、
合槌
(
あいづち
)
をうちました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
で、台所頭の老人の口に、彼も
合槌
(
あいづち
)
を打って
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「度胸だね」と今一人の客が
合槌
(
あいづち
)
を打った。
鼠坂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と祖母も
合槌
(
あいづち
)
を打って、岩下一家を恨んだ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
と、私は無意味に
合槌
(
あいづち
)
を打って
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
妾
(
わたくし
)
一人だと買物をするのに何だか
定
(
きま
)
りが付かなくって困りますのよ。
表面
(
うわべ
)
丈
(
だけ
)
でもいゝからいゝとか何とか
合槌
(
あいづち
)
を打って下さる方が欲しいのよ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
二合の燗徳利を四本あけるまで、参太にはわけのわからないことを、休みなしに独りで
饒舌
(
しゃべ
)
り、独りで
合槌
(
あいづち
)
を打っていた。
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そういう左内のつぶやきの声を紋也は耳に止めはしたが、
合槌
(
あいづち
)
を打とうとはしなかった。しかし心では考えていた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
戸外の天気もその心持ちに
合槌
(
あいづち
)
を打つように見えた。古藤はうまく永田から切符をもらう事ができるだろうか。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「ええ」と
素気
(
そっけ
)
なく云い放つ。
極
(
きわ
)
めて低い声である。答を与うるに
価
(
あたい
)
せぬ事を聞かれた時に、——相手に
合槌
(
あいづち
)
を打つ事を
屑
(
いさぎよし
)
とせざる時に——女はこの法を用いる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ、あいまいにその外国通の秘密の
囁
(
ささや
)
きに
合槌
(
あいづち
)
を打ち、もっぱら鳥鍋に首を突込んでばかりいた。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
明智は例の、青年時代からの癖で、モジャモジャに伸ばした髪の毛の中へ、右手の五本の指を
櫛
(
くし
)
のように突っ込みながら、時々
合槌
(
あいづち
)
を打って、非常に熱心に聞き入っていた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
用人の村川菊内は少し苦々しいのを我慢して、精一杯
合槌
(
あいづち
)
を打っております。この辺で
御意
(
ぎょい
)
に逆らうと、いきなり「——仲へ行けッ——」と言い出さないものでもありません。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それに
合槌
(
あいづち
)
を打っているもう一人の婦人は、汗のため厚化粧のお
白粉
(
しろい
)
がぶちになって、ところどころに
小皺
(
こじわ
)
のある、荒れた地肌が出ているのから察すると、恐らく四十近いのでしょう。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また落着いた
嗄
(
しゃが
)
れ声にかえり「
然
(
しか
)
し、実際女の選手ってだらしがねエな」と村川を
顧
(
かえり
)
みれば、村川も
即座
(
そくざ
)
に、「じッせえ、女流選手っていうのは、なっちゃいないね」と
合槌
(
あいづち
)
を打ちます。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
示寂の前夜、侍僧に紙を求めて、筆を持ち添へさせながら、「即心即仏、非心非仏、不渉一途、阿弥陀仏」と
大書
(
たいしょ
)
したと云ふのである。玄浴主は、いかさま禅浄一如の至極境、と
合槌
(
あいづち
)
を打つ。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
伊「
合槌
(
あいづち
)
を打って旨く云ってる、花魁と番頭新造は極って居るぜ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ウン、そりゃ面白い」と星宮理学士が、すぐ
合槌
(
あいづち
)
をうった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とも一人が
合槌
(
あいづち
)
を打つのです。
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
新子は、思いがけない言葉に、ふと相手の心の底をのぞいたような気がして、
合槌
(
あいづち
)
にこまって、だまって相手を見ていると、準之助氏はつづけて
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「云えたもんじゃあないよねえ」こう
合槌
(
あいづち
)
をうつのが聞えた、「——それも二十にもならない若さでさ、よっぽど胆が太いかすれっからした女なんだね」
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
平次は黙ってその先を
促
(
うなが
)
しました。
合槌
(
あいづち
)
を打つとどこまで脱線するかわかりません。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と私も、お母さまの和田の叔父さまに対する信頼心の美しさに負けて、
合槌
(
あいづち
)
を打ち
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
音吉は、彼もやっぱり、さっきの美人解体術を見ていたかの様に、
合槌
(
あいづち
)
を打った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
芝居の話も
詳
(
くわ
)
しく、知ったか振りをしたぼくが
南北
(
なんぼく
)
、
五瓶
(
ごへい
)
、正三、
治助
(
じすけ
)
などという
昔
(
むかし
)
の作者達の
比較
(
ひかく
)
論をするのに、上手な
合槌
(
あいづち
)
を打ってくれ、ぼくは今夜は
正
(
まさ
)
に自分の
独擅場
(
どくせんじょう
)
だなと得意な気がして
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「鷹は帰っては来ますまい」弥三郎はすぐに
合槌
(
あいづち
)
を打って
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
槌
漢検準1級
部首:⽊
14画
“合”で始まる語句
合
合点
合羽
合歓
合図
合掌
合力
合點
合戦
合壁