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刎頸
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ふんけい
ふりがな文庫
“
刎頸
(
ふんけい
)” の例文
鶉坂の老人は、五百之進とは、
刎頸
(
ふんけい
)
の
交際
(
まじわり
)
があった。そして、わが子
郁次郎
(
いくじろう
)
の
許嫁
(
いいなずけ
)
である花世を、ほんとの子みたいに可愛がッていた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも、この
肝胆
(
かんたん
)
あい照らしたうちとけよう。ふしぎといえばふしぎだが、男子
刎頸
(
ふんけい
)
の交わりは表面のへだてがなんであろう。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「軍人はサッパリしています。争奪戦をやった二人が相変らず
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじわり
)
を続けているのです。君達も斯うあって欲しい」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかも二人は
刎頸
(
ふんけい
)
の交わりがあったのに、周防が病床につき、再起おぼつかなし、となっても、みまいにゆかず、臨終にも訪ねなかった、臨終にもだぞ
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
所が前申す通り
榎本釜次郎
(
えのもとかまじろう
)
と私とは
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじわり
)
と云う
訳
(
わ
)
けではなし、何もそんなに力を入れる程の親切のあろう訳けもない、
只
(
ただ
)
仙台藩士の腰抜けを
憤
(
いきどお
)
ったと同じ事で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
恋愛よりも、親の愛、腹心の味方の愛、
刎頸
(
ふんけい
)
の友の愛に近いものになる。そして背き去ることのできない、見捨てることのできない深い
絆
(
きずな
)
にくくられる。そして一つの墓石に名前をつらねる。
愛の問題(夫婦愛):――生命の法に随う――
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
それがしは、
蒲生
(
がもう
)
浪人の
赤壁八十馬
(
あかかべやそま
)
、という者。ごぞんじないか、
塙団右衛門
(
ばんだんえもん
)
、あれとは、
刎頸
(
ふんけい
)
の友で、共に他日を期している仲。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兵隊に行っている間に同年兵の西の男と
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじわり
)
を結んで、その妹と縁談が纒まったのである。嫁の遣り取りは稀でない。東から西へ養子に行っているのさえある。
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一
(
いっ
)
たんの
憤
(
いきどお
)
りはなすであろうと思われる細川藤孝も、わが娘の
舅
(
しゅうと
)
たり、年久しき
刎頸
(
ふんけい
)
の
友
(
とも
)
でもある。嫌とはいうまい、協力しよう。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それじゃ先刻同県人だから
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじわり
)
を結んで行動を共にしようと言ったのは
何
(
ど
)
ういう意味です?」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と、ここに
好漢
(
おとこ
)
同士の
刎頸
(
ふんけい
)
の交わりがまた新たに結ばれ、銘酒“
玉壺春
(
ぎょっこしゅん
)
”の
泥封
(
でいふう
)
をさらに二た
瓶
(
かめ
)
も開いて談笑飽くなき景色だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これによってこれを見れば文一君は僕を出し抜いて土曜講習へ通うのみならず、一日に
十
(
とお
)
も玉子を食って黙っているのだ。競争試験となると
刎頸
(
ふんけい
)
の友も当てにならない。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
劉備は強いて
拒
(
いな
)
まなかった。そこで三名は、
鼎座
(
ていざ
)
して、将来の理想をのべ、
刎頸
(
ふんけい
)
の
誓
(
ちかい
)
いをかため、やがて壇をさがって桃下の卓を囲んだ。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
苟
(
いやし
)
くも
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじわり
)
を結んだ以上は、君が退学すると、僕も退学しなければならない」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
それだけに
謂
(
い
)
わば筑前の無二の
股肱
(
ここう
)
。いや官兵衛、
御辺
(
ごへん
)
とならば、きっと
肝胆
(
かんたん
)
相照らすものがあろうぞ。
刎頸
(
ふんけい
)
を誓ったがよい
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「赤羽君と二人で蕎麦屋へ行って、
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじわり
)
を結んで来た」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
馬良と孔明とは、
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじ
)
わりがあったので、その遺族はみな引き取って
懇
(
ねんご
)
ろに世話していたが、とりわけ馬謖の才器を彼はいたく
鍾愛
(
しょうあい
)
していた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かつて呂蒙が陸口にいた時分は、よく彼のほうから密書をとどけ、時来らば提携して、呉を討ち、魏を亡ぼさんと、
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじ
)
わりを求めてきたものです。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おかげで
林冲
(
りんちゅう
)
の足はすっかり
癒
(
い
)
え、毎日の食養も充分にとられたから、以前にもます健康に復してきた。しかも道づれは
刎頸
(
ふんけい
)
の友、端公は従者のかたち。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして彼も一味の士と信じて、何もかも打ち明けた。十年の知盟と交わすように、酒杯をかたむけ合い、たとえ半夜ながら、
刎頸
(
ふんけい
)
の友を
契
(
ちぎ
)
ッた仲ではないか。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あれも関ヶ原の敗北者の一人、石田
治部
(
じぶ
)
とは
刎頸
(
ふんけい
)
の友だった大谷
刑部
(
ぎょうぶ
)
の家中で、
溝口信濃
(
みぞぐちしなの
)
という人間じゃ」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真の、
心契
(
しんけい
)
の友、
刎頸
(
ふんけい
)
の友というものは、やはり
艱苦
(
かんく
)
の中で知りおうた者でなければ生涯を
契
(
ちぎ
)
られますまい
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「君を初めて見た時から、ひそかに自分は、君に嘱す思いを抱いていた。将来いつかは、
刎頸
(
ふんけい
)
を
契
(
ちぎ
)
らんと」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、おたがい、日頃は、親友だの、
刎頸
(
ふんけい
)
の
友
(
とも
)
だのと、云いあっているが、こんな時にでも会さなければ、ついに、真の友も、真の主従も分らないところだった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よく見たがよい、朱褒の書中にも、高定と雍闓とは
刎頸
(
ふんけい
)
の友ゆえ、油断あるなと、忠言してあろうが。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「では、誰に? ……。いや、お隠しなさることはない。わしと彼とは
刎頸
(
ふんけい
)
の友、何を聞かして下すっても、差しつかえはないのです。……来たのでしょう、ここへ」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きのうも、余が
刎頸
(
ふんけい
)
の友、加藤
遠江守
(
とおとうみのかみ
)
どのから、そち達と同じような忠言を
懇々
(
こんこん
)
と申された。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとよりふたりは共に西山荘に仕え、老公の
直臣
(
じきしん
)
として、
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじ
)
わりをしていたあいだである。一方が浪人したからといって、急にその
友誼
(
ゆうぎ
)
に変質を来たすような仲ではない。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、この友の為には——とひそかに思い、すすんで
刎頸
(
ふんけい
)
の交わりを求めて行った。
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
李傕
(
りかく
)
様と
良人
(
たく
)
とは、
刎頸
(
ふんけい
)
の友ですから、私も、あの夫人とは親しくしておりますが」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
深見重左は、
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじ
)
わりをゆるしていた
臂
(
ひじ
)
の
久八
(
きゅうはち
)
が、その客分投げ槍の小六と共に、新九郎等のために殺害されたと聞いた時、既に、彼を狙うの殺意は、充分胸に
醸
(
かも
)
されていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
元々、父と高瀬氏とは、共に横浜の開港的な企業の夢の中でむすびあい、年輩も地位も、高瀬氏の方がはるかに父より先輩ではあったが、いわば
刎頸
(
ふんけい
)
の仲といってよい間柄であった。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうです。小生は今日まで、あなたとは
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじ
)
わりを誓ってきたものとのみ思っていました。——ところが、何ぞ知らん、あなたは小生に水くさい秘し事を抱いておいでになる」
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そちと筑前とは、いわゆる
合性
(
あいしょう
)
だ。最初からの縁でもあるし
刎頸
(
ふんけい
)
の仲。質子の松千代は、筑前の手許へ預けおくことにする。筑前の手に養い置かれれば、其方とても心安かろうが」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして柴田勝家とは
刎頸
(
ふんけい
)
の
誓
(
ちか
)
いをつづけ、勝家が
亡
(
ほろ
)
ぶ日まで、無二の柴田党だった。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朕
(
ちん
)
は、弱冠のときより関羽、張飛と
刎頸
(
ふんけい
)
の
交
(
まじ
)
わりを結び、
戎馬奔命
(
じゅうばほんめい
)
の中に生きること三十余年、ようやく蜀を定めて後、諸人は、朕が
中山靖王
(
ちゅうざんせいおう
)
の
裔
(
えい
)
であるところから帝位に推しすすめ
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土肥実平のことばを
機
(
しお
)
に、藤九郎盛長、仁田、天野など、
刎頸
(
ふんけい
)
の友の一群は、
蓑
(
みの
)
や
覆面
(
ふくめん
)
のしずくに、武者ぶるいを見せながら、また降り出した暗い小雨の中を、どこともなく駈け去った。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なぜならば正使として来た前田又左衛門
利家
(
としいえ
)
とは、むかしから
刎頸
(
ふんけい
)
の
友
(
とも
)
ではあるし、ここ月余にわたる主君の勘気にたいしても、秀吉のために、彼がもっとも
取
(
と
)
り
做
(
な
)
していたといわれるし
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
済州
(
さいしゅう
)
奉行所へと差立てる一囚人に付いて、朱同の人馬は、旅途にあった。囚人はきのうまでの
刎頸
(
ふんけい
)
の友、同役の雷横なので、馬上の、彼の顔も
怏々
(
おうおう
)
として、つね日ごろのものではなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
役所を
罷
(
や
)
め、奉行所の外にあって、堀留の五人組強盗の巣を探索しているもう一名の
刎頸
(
ふんけい
)
の友——山本左右太の便りこそ、朝に夕に、こう二人が、いわず語らず、待ちぬいているものだった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを、晩年莫逆の友とか
刎頸
(
ふんけい
)
の友とか重くしすぎると、私にはどうもこの人の禅林における業績と人間的な光彩がもっと何かで見出されて来ないと、そのまま
鵜
(
う
)
のみに
頷
(
うなず
)
けきれないのである。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日頃、ひそかに誓い合っている
刎頸
(
ふんけい
)
の友、木村丈八が後から入って来た。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫婦の仲というもおろか、
刎頸
(
ふんけい
)
の
友
(
とも
)
といってもこれ程ではあるまい。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
利家の一女は、秀吉の養女になっているとか、利家夫妻の
仲人
(
なこうど
)
は、秀吉であるとか、内輪事はまず
措
(
お
)
いても、いわゆる男子と男子の
刎頸
(
ふんけい
)
のちぎりにおいて——彼と彼とは、一朝一夕の交友ではない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
千種とは、
刎頸
(
ふんけい
)
の
仲
(
なか
)
だ、悪いこととはおもわれない。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三成の為に、若年から
刎頸
(
ふんけい
)
を誓っている友の為に。
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の
刎頸
(
ふんけい
)
の友たる同じ南の同心加山
耀蔵
(
ようぞう
)
。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“刎頸”の意味
《名詞》
刎頸(ふんけい)
首をはねること。斬首すること。
(出典:Wiktionary)
刎
漢検1級
部首:⼑
6画
頸
漢検準1級
部首:⾴
16画
“刎”で始まる語句
刎
刎橋
刎上
刎返
刎起
刎付
刎飛
刎退
刎釣瓶
刎出