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三囲
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みめぐり
ふりがな文庫
“
三囲
(
みめぐり
)” の例文
旧字:
三圍
平次は
三囲
(
みめぐり
)
の前に来た時、堤の下を覗きました。そこに
繋
(
つな
)
いだ一
艘
(
そう
)
の屋根船の中には、上を下への大騒動が始まっているのです。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
向島は桜というよりもむしろ雪とか月とかで優れて面白く、
三囲
(
みめぐり
)
の
雁木
(
がんぎ
)
に船を
繋
(
つな
)
いで、秋の紅葉を探勝することは特によろこばれていた。
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
佐倉屋の四人が
三囲
(
みめぐり
)
から舟に乗り、両国橋の下をくぐって、矢の倉河岸の近くまで来たとき、佐倉屋が、ちょっと、と言って
艫
(
とも
)
へ立った。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
三囲
(
みめぐり
)
から
白鬚
(
しらひげ
)
、遠くは
木母寺
(
もくぼじ
)
まで
肩摩轂撃
(
けんまこくげき
)
、土手際にはよしず張りの茶店、くわいの串ざしや、きぬかつぎを売り物に赤前垂が客を呼ぶ。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
一匹のけものと一人の女、走る走る東北へ!
三囲
(
みめぐり
)
から
牛御前
(
うしごぜん
)
、
長命寺
(
ちょうみょうじ
)
から
須崎
(
すざき
)
たんぼ! 一面の
野面
(
のづら
)
、諸所に林、人家乏しく、耕地も乏しい。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
○
三囲
(
みめぐり
)
祠あり。中流より望みてその
華表
(
とりい
)
の上半のみ見ゆるに、初めてこれを見る人も
猜
(
すい
)
してその三囲祠たるを知るべし。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
第二図
三囲
(
みめぐり
)
の堤を見れば
時雨
(
しぐれ
)
を催す
空合
(
そらあい
)
に行く人の影
稀
(
まれ
)
に、
待乳山
(
まつちやま
)
(下巻第三図)には寺男一人
落葉
(
おちば
)
を掃く処、
鳥居際
(
とりいぎわ
)
なる一樹の
紅葉
(
こうよう
)
に風雅の客
二人
(
ににん
)
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
川向うは
三囲
(
みめぐり
)
の土手、
枕橋
(
まくらばし
)
から向島はちょうど墨絵の夕べである。宵闇を
縫
(
ぬ
)
って、チラチラ飛んでゆく駕の
灯
(
ひ
)
も見えだしたが、まだ空も明るく川も明るかった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三囲
(
みめぐり
)
サマ、牛の御前、白ヒゲ、百花園と昔から風雅な土地であるが、出水が玉にキズの土地でもあった。
明治開化 安吾捕物:16 その十五 赤罠
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
堤に出て、少し行って、だらだら坂を
下
(
くだ
)
ると、
三囲
(
みめぐり
)
神社の
境内
(
けいだい
)
だった。山野夫人は坂の降り口の所で、又注意深く左右を見廻してから、神社の中へ入って行った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
三囲
(
みめぐり
)
の
稲荷
(
いなり
)
堤上より拝し、腹まだ治まらねば団子かじる気もなく、ようやく百花園への道札見付けて堤を右へ下り、小溝に沿うてまがりくねりの道を行く半町ばかり。
半日ある記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
三囲
(
みめぐり
)
の
堤下
(
どてした
)
を歩いていると、一軒の農家の前に十七、八の若い娘が白い
手拭
(
てぬぐい
)
をかぶって、今書いたばかりの「久松るす」という女文字の紙札を軒に貼っているのを見た。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三囲
(
みめぐり
)
の
華表
(
とりい
)
を圧して
巍然
(
ぎぜん
)
と
聳
(
そび
)
えたコンクリートの建物である、——六月の曇った空のいろを浮べた隅田川の
懶
(
ものう
)
いながれが、一層その眺めを荒廃したものにみせていた……
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
吾妻橋
(
あづまばし
)
をぬけ小梅を右にみて、
三囲
(
みめぐり
)
の少し上までのぼると、笛の客が桟橋を教えて、舟は着いた。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
向島
(
むこうじま
)
の百花園に行った
帰途
(
かえるさ
)
、
三囲
(
みめぐり
)
のあたりから土手へ
颯
(
さっ
)
と雲が
懸
(
かか
)
って、大川が白くなったので、仲見世前まで
腕車
(
くるま
)
で来て、あれから電車に乗ろうとしたが、いつもの
雑沓
(
ざっとう
)
。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
待乳山
(
まっちやま
)
を背にして
今戸橋
(
いまどばし
)
のたもと、竹屋の渡しを、
山谷堀
(
さんやぼり
)
をへだてたとなりにして、
墨堤
(
ぼくてい
)
の
言問
(
こととい
)
を、
三囲
(
みめぐり
)
神社の鳥居の頭を、向岸に見わたす広い
一構
(
ひとかまえ
)
が、評判の
旗亭
(
きてい
)
有明楼であった。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
やり切れないこの気持でいるのにわたしはちょうど向島の
三囲
(
みめぐり
)
稲荷に
献額
(
けんがく
)
する現代江戸派の俳諧の
揮毫
(
きごう
)
を頼まれて、これを書き上げるのに式日まで四五日の期日を
剰
(
あま
)
しているだけだ。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
魔除けのサンヅ縄をおのれと木とのめぐりに
三囲
(
みめぐり
)
引きめぐらし、鉄砲を
竪
(
たて
)
に抱へてまどろみたりしに、夜深く物音のするに心付けば、大なる僧形の者赤き衣を羽のやうに羽ばたきして
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
学校は大きな料理屋の跡らしく、
三囲
(
みめぐり
)
神社の少し手前でした。立木が繁って、大きな池があり、池には飛石が並んでいました。子供たちが面白がって渡っては、よく落ちたものでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
午後になってから、おばあさんが私を近所の
三囲
(
みめぐり
)
さまへ連れ出しても、その石碑の多い境内や
蓮池
(
はすいけ
)
のほとりで他の子供たちが面白そうに遊んでいるのを、私はぼんやりと見守っているきりだった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
この永機は明治初年の頃に向島の
三囲
(
みめぐり
)
社内の其角堂に住み、
後
(
のち
)
芝円山辺に家を移して没した。没した日は明治三十七年一月十日で、行年八十二歳であった。寺は其角と同じく二本榎上行寺である。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
三囲
(
みめぐり
)
のあたりからもうぶちのめし
下町歳事記
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
三囲
(
みめぐり
)
から、竹屋の渡しを渡って、
待乳山
(
まつちやま
)
、
馬道
(
うまみち
)
、富士神社と来ると、鉛色の空に、十二階のシルエットが浮いている。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大川筋では誰も知る竹屋の渡し、
三囲
(
みめぐり
)
前から堤下の桟橋、馴れた足取りで船へ乗る蛇の目傘の女客、春雨時分の渡し船は、都鳥の姿とともに一段の風趣を添えた。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
三囲
(
みめぐり
)
の
堤下
(
どてした
)
を歩いていると、一軒の農家の前に十七、八の若い娘が白い手拭をかぶって、今書いたばかりの「久松るす」という女文字の紙札を軒に貼っているのを見た。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三囲
(
みめぐり
)
の土手に立って、ぼんやり腕を
拱
(
く
)
んでいた。何となく、不安が胸へ潮のようにさしてくる。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秋葉に秋葉芸者とて
三囲
(
みめぐり
)
土手下の芸者とは別の組合出来たりしは大正改元の頃にやあらん。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
隅田川の
三囲
(
みめぐり
)
様のあたりの杭にひっかかっていた大男の水死人があった。
明治開化 安吾捕物:15 その十四 ロッテナム美人術
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ある
夜
(
よ
)
山中
(
さんちゅう
)
にて
小屋
(
こや
)
を作るいとまなくて、とある大木の下に寄り、
魔除
(
まよ
)
けのサンズ
縄
(
なわ
)
をおのれと木のめぐりに
三囲
(
みめぐり
)
引きめぐらし、鉄砲を
竪
(
たて
)
に
抱
(
かか
)
えてまどろみたりしに、夜深く物音のするに心づけば
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「廻れ! 右の方へ!
三囲
(
みめぐり
)
の方へ!」同心佃三弥が叫んだ。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
宝井其角が「
三囲
(
みめぐり
)
」の発句を
詠
(
よ
)
んで、夕立を降らせたという伝説が、真面目に信ぜられた時代の人達の心持は、今の人には想像もつかぬものがあった筈です。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こんな話をしているうちに、二人はいつか
三囲
(
みめぐり
)
を通りすぎていた。
堤
(
どて
)
はもう葉桜になって、日曜日でも雑沓していないのが、わたし達に取っては却って仕合わせであった。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三囲
(
みめぐり
)
、
橋場
(
はしば
)
、
今戸
(
いまど
)
、
真崎
(
まっさき
)
、
山谷堀
(
さんやぼり
)
、
待乳山
(
まつちやま
)
等の如き名所の風景に対しては、いかなる平凡の画家といへども容易に絶好の山水画を作ることを得べし。いはんや広重においてをや。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
向島
三囲
(
みめぐり
)
の土手下に楽焼の
窯
(
かまど
)
を開いたのが明治三十年頃、文人墨客の出入り絶えず、文士では紅葉、思案、麦人なども遊びに来て、縁側の障子四枚はそれらの連中の楽書きでいっぱい
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
そんなことをいううちに、船は
三囲
(
みめぐり
)
から竹屋の渡し、水戸様御下屋敷前まで来ておりました。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
吾人
(
ごじん
)
は日比谷青山辺に見るが如き鉄鎖とセメントの新公園をここにもまた見るに至るのであろう。
三囲
(
みめぐり
)
の堤に架せられべき鉄橋の工事も去年あたりから、大に進捗したようである。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は
向島
(
むかうじま
)
の
三囲
(
みめぐり
)
や
白髯
(
しらひげ
)
に新しく橋梁の出来る事を決して悲しむ者ではない。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
私は向島の
三囲
(
みめぐり
)
や
白髯
(
しらひげ
)
に新しく橋梁の出来る事を決して悲しむ者ではない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
明治五年向島
三囲
(
みめぐり
)
稲荷の境内にその門人らの
建立
(
こんりゅう
)
せし国芳の碑あり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
三
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
囲
常用漢字
小5
部首:⼞
7画
“三囲”で始まる語句
三囲稲荷
三囲神社
三囲渡
三囲社