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一閃
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いっせん
ふりがな文庫
“
一閃
(
いっせん
)” の例文
と両手に襟を押開けて、
仰様
(
のけざま
)
に
咽喉仏
(
のどぼとけ
)
を示したるを、謙三郎はまたたきもせで、ややしばらく
瞶
(
みつ
)
めたるが、銃剣
一閃
(
いっせん
)
し、
暗
(
やみ
)
を切って
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところが、ちょうど彼らがこの教会の橋まできたとき、ヘッセ人はぱっと飛びあがり、
一閃
(
いっせん
)
の
火焔
(
かえん
)
となって姿をかきけしたのである。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
大体が、臆病者揃いの公卿たちは、
闇夜
(
やみよ
)
にひらめく
一閃
(
いっせん
)
のすさまじさに、かえって生きた心地もなく、
呆然
(
ぼうぜん
)
と見ていただけだった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
気が、楽になって、スウッと、身を、左にまわすと、伴れの侍が、それに誘い込まれたように、中段に取っていた刀を
一閃
(
いっせん
)
させて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
最初の
一閃
(
いっせん
)
でお松の命はないはずであります——逃げ廻るお松の身に刃は触れないで、あらぬ
方
(
かた
)
を見廻しつつ振りまわす切先は、襖、畳
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
それ故にこそ電火
一閃
(
いっせん
)
するごとに拍手
湧
(
わ
)
くが如きなれ。ただ小町の
詞
(
ことば
)
に和歌のために一命を捨つるは
憾
(
うらみ
)
なしとあるは利きたり。
明治座評:(明治二十九年四月)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
今や、闇を
劈
(
つんざ
)
く電光の
一閃
(
いっせん
)
の中に、遠い過去の世の
記憶
(
きおく
)
が、
一
(
いち
)
どきに
蘇
(
よみがえ
)
って来た。彼の
魂
(
たましい
)
がかつて、この木乃伊に宿っていた時の様々な記憶が。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
身をひるがえしつつ襲いかかろうとした猛犬をさッと
一閃
(
いっせん
)
、
薙
(
な
)
ぎ倒したかと見えるや浴びせ切りに切りすてました。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それには電光の
一閃
(
いっせん
)
ほどの間で足りた。突然少しばかり開いてまたすぐに閉ざさるるその家の戸は、それら絶望の人々にとっては生命となるのだった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
だがこのときかれはぱっと
一閃
(
いっせん
)
の火光が窓のガラスに
映
(
うつ
)
ったような気がした、そうしてそれがすぐ消えた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
光春は
一閃
(
いっせん
)
の火光と黒けむりの
裡
(
うち
)
にかくれ、矢倉の狭間のすべてから、同時に
濛々
(
もうもう
)
と硝煙がふき出した。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしここで仮りに救って考えれば、
一閃
(
いっせん
)
の光線によって照しだされたところに脈絡がある。統合がある。わたくしはいつになってもこの断片的なものを溺愛する。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
それを見た瞬間、秘書は蟒が腹の中に金の入れ歯をしているのかと思ったが、次の瞬間、彼の脳髄の中に電光の如きものが
一閃
(
いっせん
)
して、途端に
驚天動地的真相
(
きょうてんどうちてきしんそう
)
を
悟
(
さと
)
った。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
◯しかるに十八節以後においては、ヨブに起りし光明の
一閃
(
いっせん
)
は消えて再び
哀哭
(
あいこく
)
に入るのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
目は百練の鏡をかけしごとく、真っ白き歯をむき出してニタニタと笑い出だせる気味悪さに、茂は思わず
提灯
(
ちょうちん
)
投げ出し、両手を広げてむんずと組みつきしに、ピカリ怪光
一閃
(
いっせん
)
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
一閃
(
いっせん
)
、危うく身をかわした八五郎は、浅井朝丸の二度目の襲撃を
除
(
よ
)
ける暇もありません。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と闇をつんざいてピカリと
一閃
(
いっせん
)
、刀はこんどは佐平治めがけて斬りおろしてきました。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
主人は訳はわからぬが、其
一閃
(
いっせん
)
の光に射られて、おのずと
吾
(
わ
)
が眼を閉じて了った。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
老人は、汗にぬれたはげ頭を
仰向
(
あおむ
)
けて、上目に太郎を見上げながら、口角に
泡
(
あわ
)
をためて、こう叫んだ。太郎は、はっと思った。殺すなら、今だという気が、心頭をかすめて、
一閃
(
いっせん
)
する。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一秒時の十万分の一で
一閃
(
いっせん
)
する電光を痛快と喜ぶは好い。然し開闢以来まだ光線の
我儕
(
われら
)
に届かぬ星の存在を
否
(
いな
)
むは
僻事
(
ひがごと
)
である。所謂「神の愚は人よりも敏し」と云う語あるを忘れてはならぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
屋上に高く
聳
(
そび
)
えた塔の廻りを、さっきから廻転している探海灯が、長い光りの尾の先で、都会の空を撫でながら
一閃
(
いっせん
)
するたびに、クララ・ボウの顔がさっと明るく
微笑
(
ほほえ
)
んだが、暗くなるとまた
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
一閃
(
いっせん
)
、また一閃。
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一閃
(
いっせん
)
の光が、街路の人家の正面をぱっと赤く染めた。あたかも溶鉱炉の口が突然開いてまた閉じたかのようだった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
雲は低く
灰汁
(
あく
)
を
漲
(
みなぎ
)
らして、
蒼穹
(
あおぞら
)
の奥、黒く流るる処、げに
直顕
(
ちょっけん
)
せる飛行機の、一万里の荒海、八千里の
曠野
(
あらの
)
の
五月闇
(
さつきやみ
)
を、
一閃
(
いっせん
)
し、
掠
(
かす
)
め去って、飛ぶに似て、似ぬものよ。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
光芒
(
こうぼう
)
寒き
銀蛇
(
ぎんだ
)
を
一閃
(
いっせん
)
させたものでしたから、並みいる花魁群のいっせいにぎょッとしながら青ざめたのはいうまでもないことでしたが、しかし、その
驚愕
(
きょうがく
)
はただの秒時——。
右門捕物帖:15 京人形大尽
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
とお延の喉を衝き破った声と一緒に、縁側から躍り込んだ投げ槍の小六、ふりかぶった大刀をきらりと
一閃
(
いっせん
)
、
蚊帳
(
かや
)
の吊手の落ちるのと共に、ズンと中を目がけて斬り下ろした。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さわれ失望中に
一閃
(
いっせん
)
の希望ありて、ヨブ記が失望の書にあらず希望の書たることを知るのである。一閃また一閃、遂に暗黒悉く去って光明全視界を蔽う処まで至るがヨブ記の経過である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
釦
(
ボタン
)
一つ押すと
紫電
(
しでん
)
一閃
(
いっせん
)
。太い二本の光の柱です。一本は真直に空中を飛び上る。もう一本は敵陣の中につっこむ。するとパッと
黄煙
(
こうえん
)
が
騰
(
あが
)
ると見る間に、
艦
(
ふね
)
も敵兵も瞬間に煙となって空中に飛散する。
発明小僧
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
組んだる太刀が島田の気合で
外
(
はず
)
れたかと思えば電光
一閃
(
いっせん
)
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この二つの魂は、雷を乗せた二つの雲のように恋を乗せ、電光の
一閃
(
いっせん
)
に雲がとけ合うように、ただ
一瞥
(
いちべつ
)
のうちに互いに接し互いに混和すべきものであった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この時までも目を放たで直立したりし黒衣の人は、
濶歩
(
かっぽ
)
坐中に
動
(
ゆる
)
ぎ
出
(
いで
)
て、燈火を仰ぎ李花に
俯
(
ふ
)
して、厳然として椅子に
凭
(
よ
)
り、
卓子
(
ていぶる
)
に
片肱
(
かたひじ
)
附きて、眼光
一閃
(
いっせん
)
鉛筆の
尖
(
さき
)
を
透
(
すか
)
し見つ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
むしろ死相の死にもの狂いと、
滅前
(
めつぜん
)
の
一閃
(
いっせん
)
ともいうべき、凄絶さを極めていた。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するとサッと
一閃
(
いっせん
)
、懐中電灯が二階の天井を照した。
灯
(
あかり
)
は
微
(
かす
)
かに
慄
(
ふる
)
えながら、天井を
滑
(
すべ
)
り下りると、壁を照らした。それから四囲の壁を、グルグルと廻った。——しかし予期した銃声は一向鳴らない。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一閃
(
いっせん
)
するや同時に、右門のここちよげな叫び声がきこえました。
右門捕物帖:10 耳のない浪人
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その名前に、あたかも電光の
一閃
(
いっせん
)
で顔をかすめられたように彼は身を震わした。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
蹌
(
よろ
)
めき立つところを、
一閃
(
いっせん
)
、
戛
(
か
)
ッと横に払って
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一閃
(
いっせん
)
の光がほとばしった。砲手長は二度ぐるぐると回り、腕を前方に差し出し、空気を求めてるように顔を上にあげたが、それから砲車の上に横ざまに倒れ、そのまま身動きもしなかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一閃
(
いっせん
)
の
雷光
(
いなずま
)
の下に見つけた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一閃
(
いっせん
)
の光が見えて、発射の音が響いた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
義元の
一閃
(
いっせん
)
。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
閃
漢検準1級
部首:⾨
10画
“一閃”で始まる語句
一閃光