颯々さつ/\)” の例文
夫の風の颯々さつ/\たる波の鞺々たう/\たる、若くは鳥の嚶々あう/\たる、伐木の丁々たる、奚ぞ詩人が因つて以て其声を擬すべき粉本ならずとせんや。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
かはらぬちぎりのれなれや千年せんねん松風しようふう颯々さつ/\として血汐ちしほのこらぬ草葉くさばみどりれわたるしもいろかなしくらしだすつき一片いつぺんなんうらみやとぶらふらん此處こゝ鴛鴦ゑんあうつかうへに。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまとほからず橄欖島かんらんたうのほとりで櫻木大佐さくらぎたいさ對面たいめんし、それより本艦ほんかん」と櫻木大佐さくらぎたいさ電光艇でんくわうていとが舳艫じくろあひならんで颯々さつ/\たる海風かいふう帝國軍艦旗ていこくぐんかんきひるがへしつゝやが
ふ。こゑさへ、いろ暖爐だんろ瓦斯がす颯々さつ/\霜夜しもよえて、一層いつそう殷紅いんこうに、鮮麗せんれいなるものであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして今、一連の列車が、颯々さつ/\と屋根の途斷れ目から奔り出た。それは見る/\中に鐡軌を渡り、そこらの家屋に動搖を與へる程の迅さで、まつしぐらに眼下の風景を突破し去つた。
受験生の手記 (旧字旧仮名) / 久米正雄(著)
きたりたるころ魔風まふうにはか颯々さつ/\吹荒ふきすさ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
木枯こがらし颯々さつ/\たりや、高樫たかがしに。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
こめたりける此所は名におふ周智郡すちごほり大日山のつゞき秋葉山の絶頂ぜつちやうなれば大樹だいじゆ高木かうぼく生茂おひしげり晝さへくら木下闇このしたやみ夜は猶さらに月くら森々しん/\として更行ふけゆく樣に如何にも天魔てんま邪神じやしん棲巣すみかとも云べきみねには猿猴ましらの木傳ふ聲谷には流水滔々たう/\して木魂こだまひゞき遠寺ゑんじかねいとすごく遙に聞ば野路のぢおほかみほえて青嵐颯々さつ/\こずゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
言放いひはなつて、英風えいふう颯々さつ/\逆浪げきらういわくだくる海邊かいへんの、ある方角ほうがくながめた。
どつとわらつて、天守てんしゆはうえたあとは、颯々さつ/\かぜつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)