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頬白
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ほおじろ
ふりがな文庫
“
頬白
(
ほおじろ
)” の例文
庭つづきになった
後方
(
うしろ
)
の丘陵は、一面の
蜜柑畠
(
みかんばたけ
)
で、その先の山地に茂った松林や、竹藪の中には、終日鶯と
頬白
(
ほおじろ
)
とが
囀
(
さえず
)
っていた。
十六、七のころ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
殊
(
こと
)
に
頬白
(
ほおじろ
)
などは
囀
(
さえず
)
りまでもかえたらしく、何だか一年増しに歌の声が短くなって、一筆啓上
仕候
(
つかまつりそうろう
)
などとは、聴いてもらえそうもなくなった。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
安宅には
鶯
(
うぐいす
)
、めじろ、
頬白
(
ほおじろ
)
くらいしかわからなかったが、益村家の庭からでも、久太夫の飼っているそれらの小鳥の声がよく聞えたものだ。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
シコモルの茂みの中には
頬白
(
ほおじろ
)
が騒いでおり、
雀
(
すずめ
)
は勇ましい声を立て、
啄木鳥
(
きつつき
)
はマロニエの幹をよじ上って、樹皮の穴を軽く
啄
(
つつ
)
き回っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
雀
(
すずめ
)
がとびこんできました。
頬白
(
ほおじろ
)
がとびこんできました。つぐみがとびこんできました。
山鳩
(
やまばと
)
がとびこんできました。
烏
(
からす
)
がとびこんできました。
山の別荘の少年
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
▼ もっと見る
袋から、血だらけな
頬白
(
ほおじろ
)
を、(受取ってくれたまえ。)——そういって、今度は銃を横へ向けて
撃鉄
(
うちがね
)
をガチンと掛けるんだ。
古狢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真冬の二月は
頬白
(
ほおじろ
)
も
目白
(
めじろ
)
も来てくれないので、朝はいつもかわらない
雀
(
すずめ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
と、夜は時おり二つ池へおりる、
雁
(
がん
)
のさびしい声をきくばかりだった。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
藪
(
やぶ
)
の中の
黄楊
(
つげ
)
の木の
胯
(
また
)
に
頬白
(
ほおじろ
)
の巣があって、幾つそこに
縞
(
しま
)
の入った卵があるとか、
合歓
(
ねむ
)
の花の咲く川端の
窪
(
くぼ
)
んだ穴に、何寸ほどの
鯰
(
なまず
)
と鰻がいるとか
洋灯
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
まだこの
外
(
ほか
)
にも
駒鳥
(
こまどり
)
鸚鵡
(
おうむ
)
目白
頬白
(
ほおじろ
)
などを飼ったことがあり時によっていろいろな鳥を五羽も六羽も養っていたそれらの費用は大抵でなかったのである
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
殊
(
こと
)
に
玄人
(
くろうと
)
になると
雀
(
すずめ
)
や
頬白
(
ほおじろ
)
を撃つて
徒
(
いたずら
)
に猟の多いことを誇るやうなことはせぬやうになり、
自
(
おのずか
)
らその間に道の存する所の見えるのも喜ぶべき一カ条である。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
朗
(
うら
)
らかに晴れ静まった青空には、
洋紅色
(
ローズマダー
)
の幻覚をほのめかす白い雲がほのぼのとゆらめき渡って、遠く近くに呼びかわす
雲雀
(
ひばり
)
の声や、
頬白
(
ほおじろ
)
の声さえも
和
(
なご
)
やかであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鶯という鳥はその前年の秋から渡って来ている——いわゆる渡り鳥であるところの——
頬白
(
ほおじろ
)
だとか
鵯
(
ひよどり
)
だとか
百舌鳥
(
もず
)
だとかいうような小鳥類とは全然感じを異にした鳥で
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
雑木林では、ほぐれかけた木の芽がほのかに烟り、梢からは
頬白
(
ほおじろ
)
の囀りが絶間なく聞えて来る。
春の大方山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
近在を駈け廻って帰ったデカやピンが
喘
(
あえ
)
ぎ/\来ては、
焦
(
こが
)
れた舌で大きな音をさせて其水を飲む。雀や
四十雀
(
しじゅうから
)
や
頬白
(
ほおじろ
)
が時々来ては、あたりを
覗
(
うかが
)
って香炉の水にぽちゃ/\行水をやる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
近在を駈け廻って帰ったデカやピンが喘ぎ喘ぎ来ては、
焦
(
こが
)
れた舌で大きな音をさせてその水を飲む。雀や
四十雀
(
しじゅうから
)
や
頬白
(
ほおじろ
)
が時々来ては、あたりを覗って香炉の水にぽちゃぽちゃ行水をやる。
地蔵尊
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
それから
百舌
(
もず
)
に
頬白
(
ほおじろ
)
、頬白がいる位だから、里の田の
畔
(
あぜ
)
、
稲叢
(
いなむら
)
のあたりに、こまッちゃくれた雀共が、仔細ありげにピョンピョンと飛び跳ねながら、群れたかっていたとてさらに不思議はない。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
百舌鳥
(
もず
)
、鶯、
眼白
(
めじろ
)
、
頬白
(
ほおじろ
)
等を数ふるに過ぎぬ。
沼津千本松原
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「
頬白
(
ほおじろ
)
でございますわね」
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たった
頬白
(
ほおじろ
)
が一羽。
雉子日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
空の鳥だけがその秘密を知っていた。十八世紀の
頬白
(
ほおじろ
)
や
雀
(
すずめ
)
などは、法院長について種々ささやきかわしたことであろう。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
が、
何処
(
どこ
)
の巣にいて覚えたろう、
鵯
(
ひよ
)
、
駒鳥
(
こまどり
)
、あの辺にはよくいる
頬白
(
ほおじろ
)
、何でも
囀
(
さえず
)
る……ほうほけきょ、ほけきょ、ほけきょ、
明
(
あきら
)
かに
鶯
(
うぐいす
)
の声を鳴いた。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雀や
頬白
(
ほおじろ
)
は皆同じ顔をしていますが、梅や椿は一本々々に枝振りが変っているので、見覚えがあります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しっとりした朝の空気までが共鳴せずにはいられないように一斉にざわめく気配がする。爽かな風が河上から撫でるように吹いて来て、
懶
(
ものう
)
い
眠
(
ねむり
)
から草木を醒して行く。
頬白
(
ほおじろ
)
が鳴き出した。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
すぐ近くへ来て啼く
頬白
(
ほおじろ
)
やアオジまたは
鶺鴒
(
せきれい
)
というような、一括して田舎ではスズメと呼ぶものを比べて見ても、語数の多いことにかけては里雀に及ぶものはない。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼女の声は魂を持った
頬白
(
ほおじろ
)
のそれのようだった、そして夕方時々、負傷した老人の貧しい住居で、悲しい歌を歌った。それをまたジャン・ヴァルジャンは非常に喜んだ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
頬白
(
ほおじろ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
雲雀
(
ひばり
)
などが、ばらばらになって唄っているから、
綺麗
(
きれい
)
な着物を着た間屋の
女
(
むすめ
)
だの、
金満家
(
かねもち
)
の隠居だの、
瓢
(
ひさご
)
を腰へ提げたり、花の枝をかついだりして千鳥足で通るのがある。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
巧
(
たくみ
)
に巣を作るのでうぐいすの名があるといわれるが、
頬白
(
ほおじろ
)
に較べて大差はないようだ。確か
柄長
(
えなが
)
であったと思う、何でも鳥の羽で入口に蓋のある上手な巣を作るものがある。
然
(
しか
)
し卵は小豆色で奇麗だ。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
偶然にそれを子供が見出したのだが、雀ではどうもないようだ。
頬白
(
ほおじろ
)
はこういう穴住居はしないし、
四十雀
(
しじゅうから
)
ならよく来るが、どうも小さい頃見た四十雀の巣ともちがう。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
少々
平
(
たいら
)
な盆地になった、その温泉場へ入りますと、
火沙汰
(
ひざた
)
はまた格別、……
酷
(
ひど
)
いもので、村はずれには、落葉、枯葉、焼灰に交って、
獦子鳥
(
あとり
)
、
頬白
(
ほおじろ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
鶸
(
ひわ
)
、
小雀
(
こがら
)
などと言う、
紅
(
あか
)
だ、青だ
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
春には、木の間に
頬白
(
ほおじろ
)
がさえずる。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
電線はこの頃では燕はとまらず、ただ
頬白
(
ほおじろ
)
ばかりが利用している。大きな松の木などもあるのに、わざわざ窓に近い針金の上にとまって、時々は一時間も囀りつづけていることがある。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
……
小雀
(
こがら
)
頬白
(
ほおじろ
)
も手にとまる、仏づくった、祖母でなくては拾われぬ。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
余所
(
よそ
)
のおじさんの鳥さしが来て、私ン
処
(
とこ
)
の橋の
詰
(
つめ
)
で、榎の下で立留まって、六本めの枝のさきに可愛い
頬白
(
ほおじろ
)
が居たのを、
棹
(
さお
)
でもってねらったから、あらあらッてそういったら、
叱
(
し
)
ッ、黙って、黙って。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“頬白(ホオジロ)”の解説
ホオジロ(頬白、黄道眉、画眉鳥、Emberiza cioides)は、スズメ目ホオジロ科ホオジロ属に分類される鳥類の一種。東アジアに広く分布し、顔の模様とさえずりが特徴的な小鳥である。
(出典:Wikipedia)
頬
部首:⾴
15画
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
“頬白”で始まる語句
頬白鳥