かは)” の例文
なにぶんうすてついたでつくり、これをかはひもむすあはせたものでありますから、いまではぼろ/\にこはれて、完全かんぜんのこつてゐるものはまれであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
出勤刻限しゆつきんこくげん電車でんしや道伴みちづれほど殺風景さつぷうけいなものはない。かはにぶらがるにしても、天鵞絨びろうどこしけるにしても、人間的にんげんてきやさしい心持こゝろもちおこつたためしいまかつてない。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かはいたゆみ黒塗くろぬりのえびらたか征矢そやが十七ほん、——これはみな、あのをとこつてゐたものでございませう。はい、うま仰有おつしやとほり、法師髮ほふしがみ月毛つきげでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つやのある赤いやうな木でこしらへた、大分大きい箱があつて、其上に銀の小さい箱に、金で菊の紋を附けたのと、緑いろのかは銀金物ぎんかなものを取り附けた金入かねいれらしいものとが、並べて載せてある。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かくあまたゝび改めて、ほと/\元の姿を失ひたる曲をかはに掛けたるとき、看客のうけあしきを見て、樂長はかならず怒りて云はむ。拙劣なる詩のために、いたづらなる骨折せしことよ。
れも空虚からつてはくた/\としてちからのないかはつゝにはつぶれたまゝ煙管きせるしてた。かれしばらくさうしてたがどうかしてはわすれてくせづけられた手先てさき不用ふよう煙草入たばこいれさぐらせるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何故一緒にあの場で死んでしまはなかつたのだらう。……いまでは死神がとつついてゐるやうな気もしてくる。寝転んで細いかはのバンドを首にあててみたが、自分の力だけではめる自信はない。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
うち湿しめかははこゆる褐色かちいろ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それからくらからうまむねのところやしりほうまはつてかはおびには、杏葉きようようといふかざりがつけてありまして、そのかざりはたいていてつうへきんめっきをしたどうりつけ
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)