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雇人
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やといにん
ふりがな文庫
“
雇人
(
やといにん
)” の例文
「鶏を……。誰に
盗
(
や
)
られたろう。又、銀山の鉱夫の
悪戯
(
いたずら
)
かな。」と、若い主人は少しく眉を
顰
(
ひそ
)
めて、
雇人
(
やといにん
)
の七兵衛
老爺
(
じじい
)
を
顧
(
みかえ
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いや、みなさんのご親切はうれしいが、わしは十分の手あてをしているから、ご心配はいらん。それでは、
雇人
(
やといにん
)
のことを頼みまするぞ」
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
佐助というのは、大勢の
雇人
(
やといにん
)
の中でも、よく気のつく若い者で、住居の方でも
重宝
(
ちょうほう
)
に使い、暇があると店のほうを手伝っていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今年の七月十七日、香椎の球場で西部高専野球の予選を見ている
中
(
うち
)
に、
雇人
(
やといにん
)
の
小母
(
おば
)
さんが泣きながら電報を持って走って来た。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
○日露戦争この方十年来
到処
(
いたるところ
)
予の目につくは軍人ともつかず学生ともつかぬ一種の制服姿なり。市中電車の
雇人
(
やといにん
)
、鉄道院の役人、軍人の馬丁。
洋服論
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
家の中の調度も一と通り、裕福らしくはありませんが、そんなに困っている様子もなく、
雇人
(
やといにん
)
は下男一人、婆やが一人。
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小僧は馬肉屋の
雇人
(
やといにん
)
でして、この村から二里ほど隔った町から、いつも、村の酒屋に馬肉を運んで来るのでありました。
狂女と犬
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
そこで夫人は
内中
(
うちじゅう
)
の
雇人
(
やといにん
)
を客間に呼び集めた。何となく物々しい光景だった。五人の男女が入口のドアの前に目白押しに並んで、もじもじしていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
なんしろ
雇人
(
やといにん
)
ですから、深いことは知りませんが、お察しの通り私のお客様には、その三の字旅行会という会との間に、一風変った因縁咄があるんですよ
三の字旅行会
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
引きはなすようにしてお前たちを母上から遠ざけて帰路につく時には、大抵街燈の光が淡く道路を照していた。玄関を
這入
(
はい
)
ると
雇人
(
やといにん
)
だけが留守していた。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
およそ
雇人
(
やといにん
)
と名のつくものは一人残らず中島座の見物にやり、土間(客席のこと)の
桝
(
ます
)
を埋めさせる。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
夕刊の報ずる所によると、高利貸の玉島は今朝二階の一室に冷くなって横たわっているのを、
雇人
(
やといにん
)
の聾の婆さんに発見せられた。玉島の胸には短刀が突刺っていた。
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
暮しは
裕
(
ゆたか
)
だと云うほどではないが、
雇人
(
やといにん
)
の二三人も使って、どうにか人並にはやっているらしい。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此の旦那が
彼
(
あ
)
のお瀧という女を正直者だと思召して、田舎から
東京
(
とうけい
)
へ連れて来て、少しばかり
雇人
(
やといにん
)
のようにしてお使いなすって居らっしゃると、
盗賊
(
とうぞく
)
が這入りまして
斬殺
(
きりころ
)
され
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
府下××町××番地金物商大野利吉方で兇漢自身が求めたもので同金物店の
雇人
(
やといにん
)
某は、大米の顔を比較的よく覚えていたためまったく同人の買ったものなることが明かとなった。
黄昏の告白
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
女のことで一度
落度
(
おちど
)
があつたといふ
噂
(
うわさ
)
だが、しかしそのことが原因ばかりでもない蔭の人の性分を十分持つてゐて、父や弟から、身内と召使ひとの中間の人間に扱はれ、
雇人
(
やといにん
)
に混つて
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
牡牛のうめき声、子牛の鳴き声等あい
混
(
こん
)
じてにぎやかである。いずれもいずれも最後の
飼葉
(
かいば
)
としていま当てがわれた
飼桶
(
かいおけ
)
をざらざらさも忙しそうに音をさせてねぶっている。主人は
雇人
(
やといにん
)
に
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
私の家に大きな不幸が起ったのです、午後の茶を飲んでいた父が、病気でもなんでもないのに、そのまま倒れて亡くなったのです、私の家は他に近い親類もないので、母が
雇人
(
やといにん
)
を指揮して
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「なると思って喜こんでたが、
雇人
(
やといにん
)
だって云うからしようがない」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先に小舟を廻して、
雇人
(
やといにん
)
の佐助は、今朝
夙
(
と
)
くからそこに待っていた。武蔵の姿が今、その辺りまで近づいたかと思うと、誰か
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから大勢の
雇人
(
やといにん
)
が出て来て、妾の事をキチガイだキチガイだって、ワイワイ騒ぎ出したの。妾口惜しかったから思い切って暴れてやったわ。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そういう気の毒なさびしい身の上であったが、かれ自身はいっこう気にかけていないように見え、その広い邸宅に、四人の
雇人
(
やといにん
)
とともに生活していた。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今の主人すなわち倉沢の父の代になっては大勢の
雇人
(
やといにん
)
を使って、なかなか盛んにやっているように見えた。
西瓜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
二人は
雇人
(
やといにん
)
たちに逢って、お夏の身の上のことを訊きましたが、誰も詳しく知ってる者はありません。
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの
車夫
(
しゃふ
)
の峯松と云うものは
私
(
わたくし
)
の供じゃア有りません、
雇人
(
やといにん
)
でもないので、実は渋川の達磨茶屋で
私共
(
わたくしども
)
が
昼食
(
ちゅうじき
)
を致して居りますと、車夫が
多勢
(
おおぜい
)
来て供を
為
(
し
)
ようと勧めました其の
中
(
うち
)
で
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
聞けば、彼は仕事の性質上、就寝時間が遅くなるので、従って食事も他の
雇人
(
やといにん
)
達よりは、ずっとおくれて、泊り客の入浴が一順すんだ頃を見はからって、とることになっているのだそうです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
雇人
(
やといにん
)
で……」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私と薛永さんとが、ぶらりと、
雇人
(
やといにん
)
部屋へ遊びに行った振りして、みんなを笑わせ、その晩、野菜園の木戸から同勢を
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
音楽隊やそのほかの
雇人
(
やといにん
)
も皆一人も居なくなって、表には主人がたった一人番をしておりましたが、二人を見ると
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
反対の方からは、
雇人
(
やといにん
)
の一隊が、それというので駆けつける。これは茶碗が
破
(
わ
)
れた音に愕いたというよりも、旦那様の
怒声
(
どせい
)
に対応して駆けつけたのであった。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
併
(
しか
)
し
其
(
その
)
手に救われた赤児は、角川家の
情
(
なさけ
)
に
因
(
よ
)
って無事に生長した。
固
(
もと
)
より何者の子とも判らぬので、仮に
重蔵
(
じゅうぞう
)
と名を付けて、
児飼
(
こがい
)
の
雇人
(
やといにん
)
のようにして養って置いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
あとは数人の
雇人
(
やといにん
)
ばかりなことでありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
雇人
(
やといにん
)
は?」
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここへ駈けて来た男は、吉野のいいつけを受けて、
遊廓
(
くるわ
)
の外へ、様子を探りに行って来た扇屋の
雇人
(
やといにん
)
であった。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤沢博士の経営する空気工場は海抜一千三百メートルの高原にある
右足湖畔
(
うそくこはん
)
に建っていた。この空気工場では、三年ほどの間に
雇人
(
やといにん
)
がつぎつぎに六人も、奇怪なる
失踪
(
しっそう
)
をした。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
直方
(
のうがた
)
からこちらへ御座って
後
(
のち
)
というもの、いつも奥座敷で勉強ばっかりして御座ったようですが、
雇人
(
やといにん
)
や近所の者にも権式を取らしゃらず、まことに評判がよろしゅう御座いました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
永い
牢人
(
ろうにん
)
生活の後の貧しい中に父は死んで行ったので、召使もその後はいないが、元の
雇人
(
やといにん
)
はみなこの宮本村の者ばかりなので、そのころの婆やとか
仲間
(
ちゅうげん
)
とかが
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世間に対しては、とつぜんヤリウス様がこの土地を去られたことを告げ、
雇人
(
やといにん
)
も全部
解雇
(
かいこ
)
し一人のこらずこの土地にとどまることを許さなかった。そのために私は相当な金を使った。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
数多い
雇人
(
やといにん
)
をタタキ放し同様にして追出してしまい、有る限りの
田畑
(
でんぱた
)
をソレゾレ有利な条件で小作に附け、納まりの悪い小作人の所有の田畑は容赦なく法律にかけて、自分の名前に書換えて行った。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ほどなく、きれいな
楊柳
(
ようりゅう
)
並木の繁華街の一軒に、
古舗
(
しにせ
)
めいた
大店
(
おおだな
)
の間口が見える。
朱聯金碧
(
しゅれんこんぺき
)
の看板やら
雇人
(
やといにん
)
だの客の出入りなど、問わでも知れる
生薬問屋
(
きぐすりどんや
)
の店だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大勢の
雇人
(
やといにん
)
はわれ勝ちにいろんな物を買い集めたり、車に積んだり、大騒ぎを初めましたので、最前から沢山に来ていたお客は誰も構い手が無くなって、プンプン怒ってみんな帰ってしまいました。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
それは今日
昼
(
ひる
)
すこし前、例の事件について調べることがあって
迎
(
むか
)
えのために警官をキャバレー・エトワールへ
振出
(
ふりだ
)
してみると、
雇人
(
やといにん
)
は揃っているが、主人のオトー・ポントスが行方不明であるという。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
土蔵付きの
母屋
(
おもや
)
が、八間か九間、家は広いが、
吝
(
けち
)
ン
坊
(
ぼう
)
な権内は、ろくに
雇人
(
やといにん
)
も使っていない。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雇人
(
やといにん
)
の仙五郎という
爺
(
じじい
)
も、そんな事をする人間ではないようです。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「承知いたしました。ちょうど一乗寺村から来ている
雇人
(
やといにん
)
がおりますゆえ、それに聞いて分りよく絵図にして参りましょう。したが、一乗寺村というても広うござりまするが」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ると
雇人
(
やといにん
)
もまだみんなグーグーと睡っています。
豚吉とヒョロ子
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
三鳥山人
(著)
その前に平伏して、
謝
(
あやま
)
り入っている新造や、やりての
雇人
(
やといにん
)
達を睨めすえて、その三名は
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大勢の家族
雇人
(
やといにん
)
を一堂に呼び集めて、それとなく別辞を告げ、家財道具をことごとく分け与えて、これも一ト足あとから石碣村へ急ごうとしていたが、さて別れを惜しむ中には
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まるで
雇人
(
やといにん
)
か何ぞのように、やれ押し方が悪いの、そうしては効がないの、火を
焚
(
た
)
けの薬を取って来いのと、
権突
(
けんつ
)
くと顎の先で使うので、縁もゆかりもない浜の者たちは腹を立てて
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芸妓
(
おんな
)
は呼ばずに、お菊ちゃんが相手になって、二階でしばらく飲んでいた。桂と武市とは、泊まって、朝はやく帰ったが、も一人の若い侍の方は、いつ帰ったのか、
雇人
(
やといにん
)
も知らなかった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雇
常用漢字
中学
部首:⾫
12画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“雇人”で始まる語句
雇人達
雇人中
雇人奴
雇人生活
雇人請状
雇人口入所