ゑひ)” の例文
新字:
飮居たりしが其中に年の頃六十餘と見ゆる老人らうじん獨酌どくしやくにて一二合飮て其後代錢は拂ひたれども酒のゑひまはりしにやしきりに睡眠ねむり居たるが不※ふと
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
覺ゆるにいつそ宿にて飮むまいかと割籠わりごの支度を座敷へ取寄せ寺に殘りし二人を呼び飮みかけたるまではよかりしが篁村ゑひの𢌞りに分からぬ事を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
加持力カトリツクの儀典、行列から離れて、授戒會の儀式を離れて、而かも尚蒸々たる衆生は、神人を忘るる底の莊嚴なるゑひを、そも何れの經典から搜し出さうとする。
海郷風物記 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
圍爐裏ゐろりほとりゑひくははつて寶引はうびきむれかぬばあさんさけきなれも威勢ゐせいのいゝものばかりであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と、とのさまはいま二合にがふで、大分だいぶ御機嫌ごきげん。ストンと、いや、ゆか柔軟やはらかいから、ストンでない、スポンとて、肱枕ひぢまくらで、阪地到來はんちたうらい芳酒うまざけゑひだけに、地唄ぢうたとやらを口誦くちずさむ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わが見し物は宇宙の一微笑ひとゑみのごとくなりき、是故にわがゑひ耳よりも目よりも入りたり 四—六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
また何様なゑひどれでも財布さいふの始末だけはするものだ。周三も其の通りであツた。幾ら空想に醉はされてゐたと謂ツて、彼は喰はなければ活きて居られぬといふことを知ツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それ兄樣あにさまのおかへりとへば、いもとどもこわがりてもののやうにさわるものなく、何事なにごとふなりのとほるに一だんがまゝをつのらして、炬燵こたつ兩足りやうあしゑひざめのみづみづをと狼藉らうぜきはこれにとゞめをさしぬ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私は實にこの場合、虚心平然として何等の先入的判斷に捉はれる事なく、相手の心理を洞察せねばならぬと思つた。自分ながら大分つてゐる事が分る。どうかしてゑひをすつかり醒してしまひたい。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
COGNACコニヤクゑひにあらねど故郷の酒場の月も忘れがたかり
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
時しもあれや、徒然つれ/″\ゑひをさなき心に浮び
ゑひのここちにいつとなくみ入りにけり。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ゑひごこち、あくがれまどふつか
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
褒めてはまた休むゑひは苦しみに消されて早く醒め今は跡の茶屋へも戻れず先へも行かれず氣の毒な事を見てお痛足いたあしやと云ふ事は此時よりや始りけん
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
と其後吉原土手のほとりへ毎朝早くより久八は出行いでゆき蘆簀茶屋よしずぢややかげひそみて待つとも知らず三四日すぎ飮馴のみなれぬ酒の二日ゑひおもひたひを押ながら二本づつみを急ぎ足に歸る姿すがた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何の痛みか柔かきこのゑひにしも
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ゆかまし、わがこゝろゑひざまに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
五月蠅うるさくおも種々いろ/\ことわりても忠兵衞は耳にも入れず追々おひ/\ゑひまはるにしたがひお光に向ひみだりがましきたはぶれ事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
濁聲だみごゑ上げ其の合の手には飮ませじと云ふ酒を今ま一合注げ二合温めよと怒りつ狂ひつどしめくなりゑひての上の有樣は彼も此もかはりはなし耻べきかな醉狂すゐきやう愼むべきかな暴飮
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
ゑひごこち、れのまどひか
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ゑひのすさび。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)