さか)” の例文
季節きせつはずれに、こんなにいろいろなさかながとれたのも、みんなふえのおかげだ。」といって、人々ひとびとは、はまかえってからさかもりをはじめました。
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうして向うでちろりを借りておかんをつけて、余った酒は又びんに入れて持って帰ってさかしおに使うと云うんだが、実際ありゃあいい考だね。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あれ三ちやんでつたか、さてもところでとともなはれてくに、さかやといもやの奧深おくふかく、溝板どぶいたがた/\とうすくらきうられば、三すけさきけて、とゝさん、かゝさん
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかも、その手にもった茶わんには、まだぶどうしゅのしずくがのこっているので、なかまとおさかもりのさいちゅう、眠ってしまったのだということまで知れました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
しかし「新詩社」は啄木の外にもこの「オデイツソイスの弓」を引いたもう一人の歌人を生み出してゐる。「さかほがひ」の歌人吉井勇氏は正にかう云ふ仕事をした。
むちゅうになってさかもりをはじめたのですが、やがて、三十分ほどもしますと、ひとりたおれ、ふたりたおれ、ついにはのこらず、気をうしなってたおれてしまいました。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あまつ日の光もわすれ現身うつしみの色に溺れて、さかみづきたづきも知らず、酔ひ疲れ帰りし我を、酒のまばいただくがほど、悲しくもそこなはぬほど、酔うたらば早うやすめと、かき抱き枕あてがひ
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
大じゃは、目の前に八つのさかおけがならんでいるのを見ると、いきなり八つの頭を一つずつその中へつっこんで、そのたいそうなお酒を、がぶがぶがぶがぶとまたたくまに飲みしてしまいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
このふねは、きょう大阪おおさかなどを見物けんぶつにでかける人々ひとびとをのせたふねでしたから、そのとちゅうでも、あちらこちらのみなとによって、見物けんぶつをしたり、ふねなかでは、ごちそうをひろげてさかもりをしてさわいだり
はからずも、これこそ“婆娑羅”なさかもり景色か。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さかつくり搾り出だししいちの酒。見よその彼等
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
「吉をさかやの小僧にやると好いわ。」
笑われた子 (新字新仮名) / 横光利一(著)
さかだるをつんでいたからであります。
和太郎さんと牛 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
今日もかも さかみづくらし二六
さかほがひ、夜通よどほし遊び
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いつしか、れかけたので、さかもりもわりをげ、みんなは、ふたたびどこへともなくってしまったのです。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
あまつ日の光もわすれ現身うつしみの色に溺れて、さかみづきたづきも知らず、酔ひ疲れ帰りし我を、酒のまばいただくがほど、悲しくもそこなはぬほど、酔うたらば早うやすめと、かき抱き枕あてがひ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
船の中で又さかもりをはじめるというさわぎでした。
新宝島 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのころ、とうげ茶屋ちゃや主人しゅじんは、そそくさとやまりる仕度したくをしていました。さかだるのうえには、くまがいていった、かきや、またたびまでせてありました。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さかみづきおのれわすれて昨夜よべはありき今朝けさは菜の葉の風見てぞゆく
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くまは、さも同意どういもとめるように、ただちに、さかだるのまえにきて、じっとそれに見入みいっていたのです。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)