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軽佻
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けいちょう
ふりがな文庫
“
軽佻
(
けいちょう
)” の例文
旧字:
輕佻
かかる天下柔弱
軽佻
(
けいちょう
)
の気風を一変して、国勢の衰えを回復し諸外国の
覬覦
(
きゆ
)
を絶たねばならないとの意見を持つものがあるようになった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
軽佻
(
けいちょう
)
至極なことである、この人にうとまれ、捨てられてしまった時は、どんなに深い
傷手
(
いたで
)
を心に受けることであろうなどと煩悶をしている様子も
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「ほ。この
忠顕
(
ただあき
)
の世話を、お辺は、さまで心に
銘
(
めい
)
じていてくれたか。いや
珍重
(
ちんちょう
)
に
値
(
あたい
)
する。近ごろは信義もすたれ、
軽佻
(
けいちょう
)
な奴らばかりが多い中でよ」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし
軽佻
(
けいちょう
)
さの下に隠れてる良識と実際の温情との素質によって、彼女はこの無茶な若者が冒してる危険を見てとった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
就中
(
なかんずく
)
本草
(
ほんぞう
)
に
精
(
くわ
)
しいということは人が皆認めていた。阿部伊勢守正弘はこれを知らぬではない。しかしその才学のある枳園の
軽佻
(
けいちょう
)
を忌む心が
頗
(
すこぶ
)
る
牢
(
かた
)
かった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
し君から
軽佻
(
けいちょう
)
の疑を受けた余にも、真面目な「土」を読む眼はあるのである。だから此序を書くのである。
『土』に就て:長塚節著『土』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若い時は気が荒く、ややもすれば人を
凌辱
(
りょうじょく
)
し
軽佻
(
けいちょう
)
と思われるくらいでしたが、剣の筋は天性で、二十歳の頃はすでに免許に達していたということであります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
生来の勝気から自己の感情はかなり内に抑えていたようで、物腰はおだやかで
軽佻
(
けいちょう
)
な風は見られなかった。
智恵子の半生
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
あまり重大でもない事柄について彼が早口に述べ立てるおりの
軽佻
(
けいちょう
)
さと重々しさとの混じた調子によって
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
彼らほどよく眠る者はなく、彼らほど公然と
軽佻
(
けいちょう
)
で怠惰なるものはなく、彼らほど忘却のふうを多く有するものはない。けれどもそれを当てにしてはならない。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかし、その人たちは、近代の華麗な
軽佻
(
けいちょう
)
な歪められ過ぎたバッハを聞き馴らされ、バッハの
粉黛
(
ふんたい
)
を施した一面だけを見ていたことを反省しなければならない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
が、二葉亭はかえってこれを恥じて、「あんな
軽佻
(
けいちょう
)
な
真似
(
まね
)
をするんじゃなかったっけ、」と悔いていた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
枕山は年いまだ四十に至らざるに
蚤
(
はや
)
くも時人と
相容
(
あいい
)
れざるに至ったことを悲しみ、それと共に後進の青年らが
漫
(
みだり
)
に時事を論ずるを聞いてその
軽佻
(
けいちょう
)
浮薄なるを
罵
(
ののし
)
ったのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
旧式な賢母良妻主義に人間の活動を束縛する不自然な母性中心説を加味してこの上人口の増殖を奨励するような
軽佻
(
けいちょう
)
な流行を見ないようにしたいものである。(一九一六年二月)
母性偏重を排す
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
不遜
(
ふそん
)
なり、教養なし、思想不鮮明なり、俗の野心つよし、にせものなり、誇張多し、精神
軽佻
(
けいちょう
)
浮薄なり、自己陶酔に過ぎず、
衒気
(
げんき
)
、おっちょこちょい、
気障
(
きざ
)
なり、ほら吹きなり
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
児島の歌も、
軽佻
(
けいちょう
)
でないが、旅人の歌もしんみりしていて、決して軽佻なものではない。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その
身嗜
(
みだしな
)
みのために、絶えざる
考慮
(
こうりょ
)
を
払
(
はら
)
ったに
違
(
ちが
)
いない、女性の
身体
(
からだ
)
が、ゆで
蛸
(
だこ
)
か何かのように、鉤に
釣
(
つ
)
るされて、公衆の面前、しかも
何等
(
なんら
)
の同情もなく、
軽佻
(
けいちょう
)
な好奇心ばかりで
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
徒
(
いたず
)
らに
軽佻
(
けいちょう
)
浮華なる物質的文明の完成にのみ焦り、国家の生命の何者であるかを忘れ、一も偉大なる精神的感化力をば、彼等に与うるの道を知らざる為である事は疑いを
容
(
い
)
れない。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
ここに三画伯の
扮装
(
いでたち
)
を記したのを
視
(
み
)
て、
衒奇
(
げんき
)
、表異、いささかたりとも
軽佻
(
けいちょう
)
、
諷刺
(
ふうし
)
の意を
寓
(
ぐう
)
したりとせらるる読者は、あの、紫の
顱巻
(
はちまき
)
で、一つ印籠何とかの助六の
気障
(
きざ
)
さ加減は論外として
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
曰
(
いわ
)
くこの頃の若い者は才智にまかせて、
軽佻
(
けいちょう
)
の風を
悦
(
よろこ
)
び、古人の質実剛健なる流儀を、ないがしろにするのは
歎
(
なげ
)
かわしいことだ云々と、
是
(
これ
)
と全然同じ事を四千年後の先輩もまだ言っているのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
指したのを見ると、門の蔦は、子供の手の届く高さの横一文字の線にむしり取られて、髪のおかつぱさんの短い前髪のやうに
揃
(
そろ
)
つてゐた。流行を追うて刈り過ぎた理髪のやうに
軽佻
(
けいちょう
)
で
滑稽
(
こっけい
)
にも見えた。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
上層の驚かないのと、彼等の驚かないのとは、質はちがうが、いずれにしても、京都のもっている
爛熟
(
らんじゅく
)
、
懶惰
(
らんだ
)
、
軽佻
(
けいちょう
)
の空気はすこしも
革
(
あらた
)
まらない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姦淫
(
かんいん
)
を興味の中心とするような芸術作家の
軽佻
(
けいちょう
)
さを、憎みきらっていた。姦淫は彼に
嫌忌
(
けんき
)
の情を起こさせるのだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
尚侍
(
ないしのかみ
)
は貴婦人の資格を十分に備えておいでになる、
軽佻
(
けいちょう
)
な気などは少しもお見えにならないような方だのに、あんなことのあったのが、私は不思議でならない」
源氏物語:20 朝顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
既に彼らの間には、
軽佻
(
けいちょう
)
なる老人に対する沈重なる青年のあらゆる不調和が存していた。ジェロントの快活はウェルテルの
憂鬱
(
ゆううつ
)
を憤らせいら立たせるものである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
チャイコフスキーの持っている絶望的な美しさには、メンゲルベルクは最も適当したものであろう。ストコフスキーは華か過ぎ、その他の人たちはしばしば
軽佻
(
けいちょう
)
で甘過ぎる。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
併し声調が
流暢
(
りゅうちょう
)
過ぎぬため、却って
軽佻
(
けいちょう
)
でなく、質朴の感を起こさせるのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
美
(
うる
)
わしい前面。生活は実質的よりもいっそう外見的であった。その下には、あらゆる国の上流社会に共通である、
癒
(
いや
)
すべからざる
軽佻
(
けいちょう
)
さが潜んでいた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
兵部卿の宮がお
薨
(
かく
)
れになって間もなく、今度の右大臣が通い始めたのを、
軽佻
(
けいちょう
)
なことのように人は非難したものだけれど、愛情が長く変わらず夫婦にまでなったのは
源氏物語:46 竹河
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
最も
軽佻
(
けいちょう
)
な者でも、一七八九年という年を言うときはおごそかになった。彼らの肉身の父は、中心党で王党で正理党で、あるかまたはあった。しかしそれはどうでもいいことである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
だが、もとより弦之丞は、このにきび侍の
軽佻
(
けいちょう
)
浮薄と
邪心
(
じゃしん
)
とを以前から見抜いている。ましてや、ここには蜂須賀家の天堂一角や、大阪表でチラチラ噂に聞いたお十夜という悪浪人まで道づれだ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その精神的純潔や
真摯
(
しんし
)
や熱烈な努力などをもってしても、心から
希
(
ねが
)
いながらかつて信者にはなれなかったのに、その
軽佻
(
けいちょう
)
な二人の子供は、
真面目
(
まじめ
)
に信者となったのである。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
軽佻
(
けいちょう
)
なところのない少年であったから、よく忍んで、どうかして早く読まねばならぬ本だけは皆読んで、人並みに社会へ出て立身の道を進みたいと一所懸命になったから、四
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
彼は十八世紀式の人物であって、
軽佻
(
けいちょう
)
にして偉大であった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そしてもちろんランジェー夫人の
軽佻
(
けいちょう
)
さは、そういう
嫌疑
(
けんぎ
)
に豊富な材料を与えるものだった。ジャックリーヌはそれへさらに
尾鰭
(
おひれ
)
をつけた。彼女は父のほうへ接近したかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
派手
(
はで
)
な
愛嬌
(
あいきょう
)
のある顔を性格からあふれる誇りに輝かせて笑うほうの女は、普通の見方をもってすれば確かに美人である。
軽佻
(
けいちょう
)
だと思いながらも若い源氏はそれにも関心が持てた。
源氏物語:03 空蝉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「いつものいやな一面を出してお見せになるのだね。あの人のお母さんも
軽佻
(
けいちょう
)
なことをなさる方だと思うようになるだろうね。安心していらっしゃいと何度も私は言っておいたのに」
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
アルフレッド・ナタン氏は、パリーで知名な教授であって、
秀
(
ひい
)
でた学者であるとともにいたって交際家で、ユダヤ人仲間によくある学識と
軽佻
(
けいちょう
)
さとが不思議に混和してる人物だった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
クリストフは幼年の残酷な
軽佻
(
けいちょう
)
さで、父と祖父とに
倣
(
なら
)
ってこの小商人を軽蔑していた。おかしな
玩具
(
おもちゃ
)
かなんぞのように彼を面白がっていた。馬鹿げた意地悪さで彼をからかっていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自分は飽くまでも
薄倖
(
はっこう
)
な女である、父君に自分のことが知られる初めにそれを聞く父君は、もともと愛情の薄い上に、
軽佻
(
けいちょう
)
な娘であるとうとましく自分が思われねばならないことであると
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
右大臣が
軽佻
(
けいちょう
)
な女房の手引きでしいて結婚を遂げた時にも、自身は単なる受難者であることを、それ以後の態度で明らかにして、親や身内の意志で成立した夫婦の形を作らせたことなどは
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
歓楽的な空気の
横溢
(
おういつ
)
しているお
住居
(
すまい
)
であったから、そんな中に内気なおとなしい人が混じって物思いをしていても
軽佻
(
けいちょう
)
に騒ぐ仲間に引かれて、それも同じように朗らかなふうをしていたり
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
悪いことは年のいった女房などに遠慮なく
矯正
(
きょうせい
)
させて使ってください。若い女房などが何を言ってもあなただけはいっしょになって笑うようなことをしないでお置きなさい。
軽佻
(
けいちょう
)
に見えることだから
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それは普通の家の娘の場合でも
軽佻
(
けいちょう
)
に思われることに違いない。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
今思うとそんな女のやり方は
軽佻
(
けいちょう
)
で、わざとらしい。
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
“軽佻”の意味
《名詞》
軽佻(けいちょう)
浮わついて、軽はずみなこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
軽
常用漢字
小3
部首:⾞
12画
佻
漢検1級
部首:⼈
8画
“軽佻”で始まる語句
軽佻浮薄
軽佻浮華