賢明けんめい)” の例文
むしさら上層じようそうのぼるか、あるひ屋上おくじよう物干場ものほしば避難ひなんすることをすゝめるのであるが、實際じつさいかういふ賢明けんめい處置しよちられたれいしば/\みゝにするところである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかしそういう処へ、男と二人ッきりでいたという、あなたも賢明けんめいじゃなかった。これからは、気をつけるんですね。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
人間にんげんのみずからもうけた禁猟区きんりょうくにいて、こちらの安全あんぜんをはかるということは、なんと賢明けんめいなやりかたではないか。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
自分のとった方法が賢明けんめいであったにせよ、おろかであったにせよ、これでほんとうにいっさいは終わったのだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
おなをんな取卷とりまかれてゐても、三上みかみは(説明中止せつめいちうし)——時雨しぐれさんは、社會的しやくわいてきに、文學的ぶんがくてきに、とにかく最早もはや、三四人よにん女文子をんなぶんし送出おくりだしてゐる、この賢明けんめいにしてうつくしいひと
もく辭退じたいすな/\、にはかとみつくらずとも、なんぢこゝろにてしとおもふやうにさへいたせばし」とるところをかたしんじてひとうたがたまはぬは、きみ賢明けんめいなる所以ゆゑんなるべし。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あっはっはっ。やはりあなたがたは人類のえらいことを知らないんだ。人類はあなたがたよりはずっと賢明けんめいだ。海の上を走ることもできるし、空をとぶこともできる」
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
編者未だ識別しきべつすることあたざれどもしはたしてしんならしめば吉宗よしむねぬしが賢明けんめいなるは言計いふばかりもなくにせにせとして其のあくあばかんすきぞくめつするは之奉行職の本分ほんぶんなれば僞者にせものの天一坊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「われわれ十五人の少年連盟の首領しゅりょうとして、われわれが選挙する人物は、われわれのうちでもっとも徳望とくぼうあり、賢明けんめいであり、公平であるところのゴルドン君でなければならん」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
賢明けんめいな老博士が賢明な沈黙ちんもくを守っているのを見て、若い歴史家は、次のような形に問を変えた。歴史とは、昔、在った事柄ことがらをいうのであろうか? それとも、粘土板の文字をいうのであろうか?
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
賢明けんめいなる観客諸君かんきゃくしょくんのご判断はんだんをあおぎたてまつります
みづなしの消防しようぼうもつと不利益ふりえきであるから、水道すいどうみづまらないうち機敏きびん貯水ちよすい用意よういをすることが賢明けんめい仕方しかたである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
よと故に八代將軍吉宗よしむね公は徳川氏中こうの君とたゝへ奉つる程の賢明けんめいましませば其下皆其にんかなはざるなく今般の巡見使松平縫殿頭ぬひのかみ殿も藤八お節が訴訟うつたへを一もくして其事いつはりならざるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いっそう賢明けんめいではないかとかんがえているごとくにられたのであります。
目あきもめくらもいっしょになって地獄じごくに飛びこむのが運命だとすれば、その運命をおそれてじたばたするより、その運命の中で生きて行けるたしかな道を求めるほうが賢明けんめいだというお考えなんだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
していよ/\賢明けんめいならしめ民をしてます/\欣慕きんぼねん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)