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しめ
ふりがな文庫
“
諜
(
しめ
)” の例文
もし関係があるとすれば、お元と義助と
諜
(
しめ
)
しあわせて家出をしたのを、梅次郎があとから追い着いて格闘を演ずることになったのか。
鼠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何? 親分はもう
帰
(
けえ
)
んなすった、——それは惜しい事をした、大変な証拠が手に入ったんだ。泥棒仲間で
諜
(
しめ
)
し合せた手紙を、千両箱を
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
翌々日、二人は、
手筈
(
てはず
)
を
諜
(
しめ
)
し合わせて、向島から竹屋へ
渡舟
(
わた
)
った。二人の後から五、六名の
捕手
(
とりて
)
が、平和な顔をして、歩いて行った。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
郁子
(
いくこ
)
が笑った。
敏子
(
としこ
)
が食卓の下から膝を小突いたのである。この二人は長兄の形勢が悪いと
諜
(
しめ
)
し合せて嬉しがる。好くない癖だ。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
橋場の秋田屋の寮へ国家老の福原數馬という人を招きまして何ぞ
隙
(
すき
)
があったらば……という松蔭が
企
(
たく
)
み、濱名左傳次という者と
諜
(
しめ
)
し合せ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
さすれば、雑司ヶ谷のかの女は、その老爺と
諜
(
しめ
)
し合せて、狐のたくらみごとで十金の
詐偽
(
さぎ
)
。貴公より十金誑し取ったに決った。
狐
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
然
(
しか
)
るをやっと半月たつかたたぬに若い二人はもう辛抱がしきれずに、いつ
諜
(
しめ
)
し合したものか
互
(
たがい
)
に時刻を計って
忍逢
(
しのびあ
)
おうという。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
外蒙代表の散佈氏はソヴィエト政府と
諜
(
しめ
)
し合わせて、故意に事件の解決をおくらしている、という満州国側の発表である。
社会時評
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
上流では町場の者等が泳いでゐたが、彼等は
諜
(
しめ
)
し合はせていつのまにか流を泳いで下り房一たちの場所に襲つて来た。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
「父兄と、
諍
(
いさか
)
って家出したとは、真赤な譃、ちゃんと、
諜
(
しめ
)
し合せて、御家老の秘事でも、探ろうという所存——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
まるで
諜
(
しめ
)
し合せたようであった。二人の権兵衛を(疲れさせるために)からかっていたことも、休之助たちが救助に来た時刻も、お
誂
(
あつら
)
えどおりになった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それをあなた方はまるで私が好き勝手で、この婦人と
諜
(
しめ
)
し合わせてでもいるかのような、
口吻
(
くちぶり
)
ではないか
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
彼等は
諜
(
しめ
)
し合はせて或る映画館の一隅で落ち合つた。三の宮駅で離されて以来はじめての会見だつた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
闇討ちや
刀槍
(
とうそう
)
の
威迫
(
いはく
)
にはいっこう驚かぬ剛愎な連中も、さすがにどうも
膚寒
(
はださむ
)
い気持で、その話にだけはなんとなく触れたくなく、
諜
(
しめ
)
しあわしたように口を
噤
(
つぐ
)
んでいた。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そこで、八人の侍が
諜
(
しめ
)
し合わせているとも知らず、花道から岩見重太郎が出て来る。重太郎が出ると見物が騒ぎ出して静まらない。海老蔵、海老蔵の声が雷のようだ。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二重にも三重にもの
嘘
(
うそ
)
があり、念には念を入れた
諜
(
しめ
)
し合わせがあり、しかもどれ程大勢の
奴等
(
やつら
)
がその陰謀に加担しているか分らないくらい、それは複雑に思われました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それまで無花果の木かげで遊びにふけっていたたかちゃんと私とは、家じゅうのものが午睡をしだす頃を見はからって、そっと
諜
(
しめ
)
し合わせて、私の家を抜け出していった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
四人はじりじりとうしろに体を引きながら、互に何か
目交
(
めま
)
ぜで
諜
(
しめ
)
し合わせていましたが、合図が通じたものか、そのとき恐れ気もなくのこのこと間に割って這入って来たのは
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
メレジスの小説にこんな話がある。——ある男とある女が
諜
(
しめ
)
し合せて、
停車場
(
ステーション
)
で落ち合う
手筈
(
てはず
)
をする。手筈が順に行って、
汽笛
(
きてき
)
がひゅうと鳴れば二人の名誉はそれぎりになる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神戸では知合を訪ねるからと、こつちは
諜
(
しめ
)
し合せて別々の行動を取ることにしたが、上海では、たうとう後をつけて来られ、お蔭で見物も早く切り上げねばならぬ始末であつた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
すべては
諜
(
しめ
)
し合わされた狂言の段取りであったようにも思えるのだったが、その時には銀子もぼんやりしていて、格別芝居好きでもないので、進んで見ようとも思わなかったが
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこで両国の大夫たちは、密かに
諜
(
しめ
)
し合せ、雙方から一隊ずつの便衣隊を出して、孔子の一行を包囲さした。孔子の一行に、無論それを打破るだけの武力があろうはずはなかった。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
だが、行ってみて驚いたよ。庄左衛門の相手の女というのも、昨夜から姿を見せないというので、向うでも大騒ぎをしているのだ。てっきり二人
諜
(
しめ
)
し合せて
駈落
(
かけおち
)
をしたものに相違ないね。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
いろ/\の事情があつたので、前以て父と
諜
(
しめ
)
し合せて置いて、
継母
(
はゝ
)
の手前はその頃村の青年達の間によく
流行
(
はや
)
つた様に、私が全く誰にも秘密に逃げて行つたもののやうに
繕
(
つくろ
)
つたのであつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
それと
諜
(
しめ
)
し
合
(
あ
)
わせたように、空中からの爆撃も、急に山の方に移動してきた。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
所でアドミラルが
如何
(
どう
)
云うかソレに
聞
(
きい
)
て見なければならぬので、アドミラルにその事を話すと至極寛大で、上陸
差支
(
さしつかえ
)
なしと云うので、ソレカラ一切万事、清水とヴエンリートと
諜
(
しめ
)
し合せて
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
今宵も呉羽之介は、此頃
馴染
(
なじ
)
んだ奥女中が丁度宿帰りの日に当るのを幸い、
諜
(
しめ
)
し合せた茶屋へ行こうと、小梅の隠れ家を出で立って、春夜の微風に頬快く吹かせ乍ら、
吾妻橋
(
あづまばし
)
へと
差蒐
(
さしか
)
かります。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
二人は又目を見合して、二言三言
諜
(
しめ
)
し合つてゐたが
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「君は知ってたのか? 皆で
諜
(
しめ
)
し合したのか?」
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
下山の
龍駕
(
りゅうが
)
には、尊氏方からお迎えの軍勢が途中まで出ていること。等々々の
手筈
(
てはず
)
まで、一切、
諜
(
しめ
)
し合せもつけておられたのだった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それがわからなくて何うする——水に縁があつて土に縁がある場所、左吉松と
諜
(
しめ
)
し合せた
仲間
(
なかま
)
の惡者が、持出して溜池に沈めたに相違ない」
銭形平次捕物控:219 鐘の音
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かどわかして何処へやった。さあ、云え。てめえは伊豆屋の女房と
諜
(
しめ
)
し合わせて、自分は前から釜屋に待っていて、闇祭りのくらやみに女房を
半七捕物帳:68 二人女房
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
村「黙っていなよ、……それのみならず水飴の中へ毒薬を仕込み、若殿様へ差上候よう両人の者
諜
(
しめ
)
し合せ居り候を、図らず
私
(
わたくし
)
が立聞致し驚き入り候」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すると、早百合姫に
附添
(
つきそ
)
っていた家来の男女は、
薄情
(
はくじょう
)
なもので、両人
諜
(
しめ
)
し合せ、館も人手に
売渡
(
うりわた
)
し、金目のものは残らず
浚
(
さら
)
ってどこかへ
逃亡
(
とうぼう
)
してしまいました。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
以前は
諜
(
しめ
)
し合せて
能
(
よ
)
く行ったものだ。満天下の父兄母姉への参考の為め、その方法を一寸紹介しよう。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
まるで
諜
(
しめ
)
し合せたやうに同じ麦藁の大きな帽子をかぶつて、白いシャツを着こみ、
魚籠
(
びく
)
と追鮎箱とをガタつかせながら、めいめいの家の裏口から河原に現れるのだつた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
「あんた」とおたねが云った、「帰るんならもう帰らなければいけないわ、あたしがうちをあけてるんですもの、あんまりおそくなると
諜
(
しめ
)
し合わせたことを勘づかれてよ」
赤ひげ診療譚:07 おくめ殺し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
東京へ連れて行くと云う話は、偶然ここで持ち上ったに過ぎないのであるが、それを弘はそう取らないで、あらかじめ
諜
(
しめ
)
し合わせておかれたように感じているのに違いなかった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この事は
必然
(
きつと
)
父が彼女に秘密に私と
諜
(
しめ
)
し合せてやつたことに違ひないと
怨言
(
うらみ
)
を言つたこと、且つ会ふ人毎に弁解して歩いたこと、そして、それが為に父と母との間に暫くの間不和が生じたこと
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
前からお二人がちゃんと
諜
(
しめ
)
し合って、今、ここにい合せた八人のご浪人衆に、それぞれ鉄扇を持たせて、どこからでも投げられるように、
幔幕外
(
まんまくそと
)
のところどころへ忍ばせておいたのでござります。
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
一つ大きな
欠伸
(
あくび
)
をすると、ディ・ヴァンピエル座の木戸口を出ていった。レビュー館の向うの角を
曲
(
まが
)
ると急に歩調を速めて、かねて
諜
(
しめ
)
し合せて置いたR区裏の二つ並んだ公衆電話函のところへ……。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
三人はたがいに
諜
(
しめ
)
し合していた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこで武大さんと
諜
(
しめ
)
し合せ、姦夫と淫婦の現場を
抑
(
おさ
)
えろと、二人で二度目の襲撃をこころみたのだが、何しろ王婆の警戒がきびしい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春名秋岳と内儀の里江と、
諜
(
しめ
)
し合はせてやつたことでなければ、お照を殺す隙は無く、二人の氣持が別々では、これは絶對に出來ないことです。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其奴
(
そいつ
)
が石川のお嬢さまに惚れて、時々己に鼻薬をくれちゃア
種々
(
いろ/\
)
頼むから、己も種々な悪事を
諜
(
しめ
)
し合わせている内に、其の大野惣兵衞はお
暇
(
いとま
)
に成ったが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と級友が四方八方から
鼓舞激励
(
こぶげきれい
)
する。そこで僕は片山君と
諜
(
しめ
)
し合せて、恐る恐る教員室へ出頭する。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
自分達が飯を食いに行っている間に、丁度かの武士が来たので、お吉はかれと
諜
(
しめ
)
し合わせて、めいめいに秘密の箱を一つずつかかえて、裏と表から分かれ分かれに脱け出したに相違ない。
半七捕物帳:04 湯屋の二階
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それで探偵が外の連中と
諜
(
しめ
)
しあわせて、ことを企んでいることが分ったんです。
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「いや、いや。つい二、三日ほど前、てまえが行って、ひそかに
諜
(
しめ
)
しあわせ、河北を脱出あそばして汝南へさして落ちて行かれた」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諜
(
しめ
)
し合せた二人の者、主人の清右衞門を土藏の中に殘して、元入つた入口から、外へ飛出すと共に、表の大扉を、ガラガラピシツと締めてしまつたのです。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“諜”の意味
《動詞》
ひそかに様子をうかがうこと、スパイする。
(出典:Wiktionary)
諜
漢検準1級
部首:⾔
16画
“諜”を含む語句
間諜
諜者
諜報
諜合
諜状
防諜監視
御通諜
防諜指揮官
防諜
間諜間者
間諜船舶
間諜者
間諜犬
間諜座
間諜団
間諜僧
通諜
諜計
諜客
諜報網
...