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諄
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くど
ふりがな文庫
“
諄
(
くど
)” の例文
それが
諄
(
くど
)
くもいう通り、暮も正月もお構いなしに、毎日続くんだから奇妙でしょう。どう考えてもこりゃあ尋常の武士じゃありませんぜ
半七捕物帳:04 湯屋の二階
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「当分のうちみんなに黙っていてくれ、と猪之は
諄
(
くど
)
く云いました」と云って藤吉はぬるくなった茶を啜った、「すると半月ばかりして」
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「どうだね、お喜乃さん。
諄
(
くど
)
いたようだが、決して、悪いこたあすすめねえから、とにかく四、五日お屋敷へ、勤めてみちゃあどうだい」
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この辺のことは
諄
(
くど
)
く述べる必要はあるまい。池の畔の
四阿
(
あずまや
)
の前に確かに皇帝が立っていたという、例の間違いの続きなのである。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
『ハテ、奈何して嘘なもんかなア。』と言ひは言つたが、松太郎、余り
諄
(
くど
)
く訊かれるので何がなしに二の足を踏みたくなつた。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
その過程を煩わしく
諄
(
くど
)
く記述してある書物というものを、どうして
迂遠
(
うえん
)
で
悪丁寧
(
わるていねい
)
とより以外のものに思い
做
(
な
)
されようぞ。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
偉い他人でも其の真心には及びませんよ、——
諄
(
くど
)
いと思ふだろが、お前の嫁の顔見ぬ
間
(
うち
)
は、
私
(
わし
)
は死にたくも死なれないよ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
所詮彼は一個の情熱的詠歎家であり、その作品中のみならず、その感想等に於て、詩人らしき幼稚さと善人らしき
諄
(
くど
)
さを、やや勇敢に振撒いてゐる。
サン・ジョルジュ・ド・ブウエリエについて
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
美人「其の様に
諄
(
くど
)
くお問いなさると私は怒りますよ、塔に少しも関係の無い者と申せば夫で好いでは有りませんか」
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「ジエームスは無趣味な男だね、いつも速記者に書かすのだつて。道理で小説がしち
諄
(
くど
)
いと思つた。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こんな話を、豊世も
諄
(
くど
)
くはしなかった。彼女は夫から巻煙草を貰って、一緒に
睦
(
むつ
)
まじそうに吸った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
園「有難うございますが、そんなに恩にかけると折角の御親切も水の泡になりますから、
余
(
あんま
)
り
諄
(
くど
)
く仰しゃると、その位なら世話をして下さらんければいゝにと済まないが思いますよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
老いたる男 何の、その
様
(
やう
)
な事がおぢやるものか。
諄
(
くど
)
い女子ぢや。な。この世の中に天狗、人食人などはおぢやらぬわい。ありや、南蛮の坊主共ぢや。日もはや暮れる。早う行ておぢやれ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
浅井はこの前から気のついていた、ついこのごろ買ったばかりの細君の指環や、ちょいちょい着の糸織りの小袖などの、箪笥に見えないことなどを言い出したが、
諄
(
くど
)
くも言い立てなかった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
助役は𢌞はり
諄
(
くど
)
いことを言つて、指の先きでまたクル/\と煙管を弄んだ。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
それは少しく
諄
(
くど
)
いが、十分あまりどうぞ御聴きを願いたいと思う。明治三十三年にご承知の通り、我々の同志たる政党は、
到頭
(
とうとう
)
我々のみになって、自由党というものが消滅してしまったのである。
〔憲政本党〕総理退任の辞
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
どこまで
諄
(
くど
)
いことを言やがるんだろう!
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
三郎
(
さぶろう
)
さまと申のなり
此頃
(
このごろ
)
來
(
き
)
給
(
たま
)
ひしは
和女
(
そなた
)
が
丁度
(
ちやうど
)
不在
(
るす
)
の
時
(
とき
)
よ一
ト
足
(
あし
)
違
(
ちが
)
ひに
御歸宅
(
ごきたく
)
ゆゑ
知
(
し
)
らぬのは
道理
(
どうり
)
と
云
(
い
)
ひかけてお
八重
(
やへ
)
の
顏
(
かほ
)
さしのぞき
此願
(
このねが
)
ひ
若
(
も
)
し
叶
(
かな
)
はゞ
生涯
(
しやうがい
)
の
大恩
(
だいおん
)
ぞかし
諄
(
くど
)
うは
云
(
い
)
はぬ
心
(
こゝろ
)
は
是
(
これ
)
よと
合
(
あ
)
はす
手
(
て
)
に
嬉
(
うれ
)
しき
色
(
いろ
)
はあらはれたり
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
諄
(
くど
)
いね。早く縄を
切
(
き
)
つてお
呉
(
く
)
れ。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「お
諄
(
くど
)
う厶ります」
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
諄
(
くど
)
いわ!」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そこでまた昂軒はゆらりと頭を左右にゆすった、「
諄
(
くど
)
いようだが、それが誤りであり間違いだということを、こんど初めて知った」
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
なぜならば
仰天
(
ぎょうてん
)
して迎えに出た
和尚
(
おしょう
)
も左右の者までが、余りに何の設備もない小寺に過ぎないことを
諄
(
くど
)
く言い訳するからだった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そのお指図も父上からお勧め申されたのではござりますまいか。わたくし決して
諄
(
くど
)
うは申しませぬ。何事もお前さまのお心に問うて
御覧
(
ごろう
)
じませ。」
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
男の何かしら廻り
諄
(
くど
)
い所作の道具に使われて、命を失いかけている
小雄
(
さお
)
鹿を、その男と共に、無駄なことの犠牲になった悲運のものと思うだけだった。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
いや、
諄
(
くど
)
い男だ。……こないだ路考が言葉尻を濁したが、わしの察するところでは、年に一度、十年がけの手紙というのを
欝陶
(
うっとう
)
しがって、
無情
(
すげ
)
ないことを言ってやったものと見える。
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
白萩 あれ
諄
(
くど
)
い衆ぢや。帰りたくば一人で行なしやんせいなあ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
諄
(
くど
)
いやうだけど、もう一度
訊
(
き
)
いておくがね……。
秘密の代償
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
婆は
諄
(
くど
)
くも「でもお前さんは甚蔵は美人に逢いに行ったと云うたじゃないか。美人とは何所の美人だエ」医学士「本統に呆れて了うなア、何れ思い出させて遣ろう、昔大雨大風の晩に、此の家へ馬車が着いただろう」婆「ウム馬車か」医学士
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「
諄
(
くど
)
いようですが」と老人は云った、「私の経験したことと、ここがちくしょう谷と呼ばれていることを、お忘れにならないで下さい」
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
諄
(
くど
)
いようだが、あの書付が、幕吏の手にわたると、迷惑いたす者が幾人も出る。どうか、相違なく、お届けねがいたい」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又しても
諄
(
くど
)
く申すやうぢやが、一枚一枚鄭重に取りあつかへ。割るは勿論、
疵
(
きず
)
をつけても一大事ぢやぞ。よいか。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なおも銀座東側の夜店の並ぶ
雑沓
(
ざっとう
)
の人混へ紛れ入って行くのを見て、「少し
諄
(
くど
)
い」と思った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「お齢のせいか、父上も
諄
(
くど
)
くなられた。さよう、いま申したとおりです」
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
余「報酬は幾等でも厭いませんが、真に貴方の力で、相違なく助かりましょうか」先生「
諄
(
くど
)
くお問い成さるに及びません、私の力ならば助けるぐらいは愚かな事、何の様にでも貴方の望む通りに救って上げます、が其の代り驚くほど報酬が高いのです」余「高いとて幾万
磅
(
ぽんど
)
を ...
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
まわり
諄
(
くど
)
いことをするものだ、ばかばかしい、と栄二は思った。おれのしたことが悪いのなら、はっきりけじめをつけて罰するがいい。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
茶なといたさん、朝立ちなれば朝まだきにも城へ来いと、
諄
(
くど
)
いばかり仰せを重ねられた信長公が……なんとてはかく光秀がお嫌いになられたのか。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諄
(
くど
)
くもいう通り、
甚
(
ひど
)
く温順い女で、少し
粗匆
(
そそう
)
でもすると顔の色を変えて
平謝
(
ひらあやま
)
りに謝まった。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
啓司は生意気なという気持から、わざと
諄
(
くど
)
く訊ねます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
諄
(
くど
)
いなあ」と弟は云った、「こうしなければおれは勉強ができないんだって、何度も云っているじゃねえか、うっちゃっといてくれよ」
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
諄
(
くど
)
くも懇願申し奉ること大罪と恐れ入りまするなれど、何とぞ、お心のうちにおとめ置き賜わりまするように
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伴左衞 判つてゐるなら
諄
(
くど
)
くは云ふまいが、みんなもよく覺えて置け。(更に聲を勵まして。)うか/\してゐると、わが日本國はほろびるぞ。それを救ふには攘夷のほかは無いのだ。
正雪の二代目
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし段平にはどうしようもない、なにを云っても旦那はてんで受けつけないし、ちょっと
諄
(
くど
)
く云えば「黙れ」とどなられる。
鵜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
城太郎の
諄
(
くど
)
いような質問にも、面倒な顔もせず頻りと、噛んで
含
(
ふく
)
めるように答えてやりながら歩いていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
侍どもはその生首を番頭のまえに突きつけて、これを見せたらば
諄
(
くど
)
く説明するにも及ぶまい、われわれは攘夷の旗揚げをするもので、その
血祭
(
ちまつ
)
りに今夜この異人の首を
刎
(
は
)
ねたのである。
半七捕物帳:40 異人の首
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
勘定は
溜
(
た
)
めるし、酔うと
諄
(
くど
)
く女たちにからむし、ちょっと気にいらないことがあると暴れだすし、これが侍かと思うような人ばかりであった。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
良人の
唐突
(
とうとつ
)
ないいつけに対しても、なぜ? とか、何しに? とか云うような問いは、良人から打明けられない限り、
諄
(
くど
)
くは訊かないことが、この
家
(
や
)
の
慣
(
なら
)
わしであった。
日本名婦伝:小野寺十内の妻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小夜衣の歌の心、もう御承知とござりますれば
諄
(
くど
)
うは申しますまい。これほどに手を換え、品を換えて、兼好の御坊にまでも頼みましたる末が、やはり小夜衣の返しとござりましては……。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
追い越して、先に宿を取って、女中などに(内証で)呼び込ませるというのは、なにか理由があるにしても、あまりに廻り
諄
(
くど
)
いやり方である。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
利家は、
諄
(
くど
)
く聞く要もないように、元来、口下手な勝家のことばを取って、あっさりひきうけた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諄
漢検1級
部首:⾔
15画
“諄”を含む語句
諄々
諄諄
大越諄
諄〻
諄和
諄朴
諄言