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見分
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みわけ
ふりがな文庫
“
見分
(
みわけ
)” の例文
津田はこの子供に対するような、
笑談
(
じょうだん
)
とも訓戒とも
見分
(
みわけ
)
のつかない言葉を、苦笑しながら聞いた後で、ようやく室外に
逃
(
のが
)
れ
出
(
で
)
た。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
尤も東破風だけで西破風は
終
(
つい
)
に
見分
(
みわけ
)
が付かなかったが、雲取山から写した辻本君の写真から推して、西破風も見えるに相違ないという断定だけは付けられる。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
汽車がくると、どれが叔父だか
一寸
(
ちょっと
)
見分
(
みわけ
)
がつかない位の人々が、汽車の窓から首を出していた。
逸早
(
いちはや
)
く見つけた叔母は、窓にしがみついて、叔父と
談
(
はなし
)
していた。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
ところどころ草の生えた
空地
(
あきち
)
があるのと、
家並
(
やなみ
)
が低いのとで、どの道も
見分
(
みわけ
)
のつかぬほど同じように見え、行先はどこへ続くのやら、何となく物淋しい気がする。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
乃公は
可笑
(
おか
)
しかった。盲腸炎が分るくせに蛇と鰻の
見分
(
みわけ
)
が付かないなんて随分
鈍馬
(
とんま
)
な野郎である。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
この方は御料地の係の
方
(
かた
)
で
先達
(
せんだつて
)
から山林を
見分
(
みわけ
)
してお廻はりになつたのですが、ソラ野宿の方が多がしよう、だから到当身体を
傷
(
こは
)
して今手前共で保養して居らつしやるのです。
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
五
色
(
しき
)
も
見分
(
みわけ
)
が
付
(
つ
)
きませんから、
心眼
(
しんがん
)
と
外題
(
げだい
)
を致しましたが、
大坂町
(
おほさかちやう
)
に
梅喜
(
ばいき
)
と
申
(
まう
)
す
針医
(
はりい
)
がございましたが、
療治
(
れうぢ
)
の
方
(
はう
)
は
極
(
ごく
)
下手
(
へた
)
で、病人に
針
(
はり
)
を打ちますと、それがためお
腹
(
なか
)
が痛くなつたり
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼
(
かれ
)
は
膝
(
ひざ
)
がしらで
四
(
よ
)
つ
偃
(
ばひ
)
に
歩
(
ある
)
きながら
座敷
(
ざしき
)
へあがつて
財布
(
さいふ
)
を
懷
(
ふところ
)
へ
捩
(
ね
)
ぢ
込
(
こ
)
んでふいと
出
(
で
)
た。
彼
(
かれ
)
は
風呂敷包
(
ふろしきづゝみ
)
を
持
(
も
)
つて
歸
(
かへ
)
つた。
彼
(
かれ
)
が
戸口
(
とぐち
)
に
立
(
た
)
つた
時
(
とき
)
は
家
(
うち
)
の
内
(
なか
)
は
眞闇
(
まつくら
)
で
一寸
(
ちよつと
)
は
物
(
もの
)
の
見分
(
みわけ
)
もつかなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
熟
(
じっ
)
と見ると、ただやっぱり白い……が、思いなしか、その中に、どうやら薄墨で影がさして、乱しもやらず、ふっくり
鬢
(
びん
)
が
纏
(
まとま
)
って、濃い前髪の形らしく
見分
(
みわけ
)
がつく、と下から
捲
(
まき
)
上がるごとく
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見分
(
みわけ
)
ざれば
目鼻
(
めはな
)
のある人とは申さずと云ふに武士は大いに笑ひ
夫
(
それ
)
は餘り
譽過
(
ほめすぎ
)
るなりと云つゝ
最早
(
もはや
)
酒も
頓
(
やが
)
て三升ばかり
飮
(
のみ
)
たる故ほろ/\
機嫌
(
きげん
)
になりコレ亭主貴樣は
田舍
(
ゐなか
)
に
似合
(
にあは
)
ず
漢土
(
から
)
の事など
引事
(
ひきごと
)
にして云は
感心々々
(
かんしん/\
)
談
(
はな
)
せる男だイヤ面白し/\と
暫時
(
しばし
)
興
(
きよう
)
にぞ入りたりける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
草のなかに、黒赤い地が、見えたり隠れたりして、どの筋につながるか
見分
(
みわけ
)
のつかぬところに変化があって面白い。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
富士と其北に位する烏帽子山との間からは、上信界の大高山(二千七十九米)がちらと覗いているが、更に高い岩菅山が後から重っているので、
見分
(
みわけ
)
るのが困難である。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
以て屑屋一同御呼出し下置れ一々
見分
(
みわけ
)
候へ共新藤市之丞の相知申さゞるは誠に
是非
(
ぜひ
)
なき次第にして能々
武運
(
ぶうん
)
の
盡果
(
つきはて
)
たる身の仕合せなりと無念の涙に
伏沈
(
ふしゝづ
)
み居たりしかば越前守殿も氣の毒に思はれ
猶
(
なほ
)
亦
(
また
)
追々
(
おひ/\
)
吟味
(
ぎんみ
)
の致し方もあらん
然樣
(
さやう
)
存ぜよとて又々傳馬町へぞ
下
(
さげ
)
られける扨も
斯迄
(
かくまで
)
に市之丞を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
自分は
佗
(
わ
)
びしい光でやっと
見分
(
みわけ
)
のつく
小桶
(
こおけ
)
を使ってざあざあ背中を流した。出がけにまた念のためだから電話をちりんちりん鳴らして見たがさらに通じる
気色
(
けしき
)
がないのでやめた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三人昨日五人と
何
(
どれ
)
が
何
(
どう
)
だか分る者か何でも
宜
(
いゝ
)
は金さへ取ば仔細なしだ
生首
(
なまくび
)
一ツ渡して
遣
(
やら
)
うと云は
脇
(
わき
)
から一人の非人が夫でも
親
(
おや
)
の
首
(
くび
)
だと云から向うにも
見知
(
みしり
)
が
有
(
あら
)
う
外
(
ほか
)
の首では承知しまいと云ば一人の非人
然
(
され
)
ばさ何だと云て
相手
(
あひて
)
は座頭の
坊
(
ばう
)
だから
見分
(
みわけ
)
が有物か首さへ
遣
(
やれ
)
ば
宜
(
いゝ
)
然樣
(
さう
)
して直に下屋敷へ葬むるで有らうから
宜
(
いゝ
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“見分”で始まる語句
見分役
見分奉行