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腫
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はれ
ふりがな文庫
“
腫
(
はれ
)” の例文
薄い下り
眉毛
(
まゆげ
)
、今はもとの眉毛を
剃
(
そ
)
ったあとに墨で美しく曳いた眉毛の下のすこし
腫
(
はれ
)
ぽったい
瞼
(
まぶた
)
のなかにうるみを見せて似合って居ても
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
きのうは随分ひどく歩いて疲れて、きょうは顔まで
腫
(
はれ
)
ぼったい程ですがそれでもおなかはケロリとしていて大助りです。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と
框
(
かまち
)
を下りる時、
褄
(
つま
)
を取りそうにして、振向いた目のふちが
腫
(
はれ
)
ぼったく、小芳は胸を抱いて、格子をがらがら。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其処
(
そこ
)
には鏡台が一つ、上へ掛けた被いを取ると、
磨
(
みが
)
かせたばかりの鏡の中に、少し
腫
(
はれ
)
っぽくはあるが、涙に洗われて
反
(
かえ
)
って美しくなった自分の顔が映ります。
黄金を浴びる女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
とたんに、足の
腫
(
はれ
)
も痛みも彼女になかった。水桶を提げて杉木立の小道を彼方へ行く、武者に追いすがって
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
此
(
こ
)
んだから
知
(
し
)
らねえもな
俺
(
お
)
れ
手懷
(
てぶところ
)
してつと、
如何
(
どう
)
したんでえなんて
聞
(
き
)
くから
俺
(
お
)
らかういに
腫
(
はれ
)
つちやつて
痛
(
いた
)
くつてしやうねえんだなんて、そろうつと
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せつと
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
まるで
腫
(
はれ
)
ものに触るように怖れているのだ。あれ以来、上官と
雖
(
いえど
)
も彼をぞんざいに扱う者はない。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
ねむげな
腫
(
はれ
)
ぼったい瞼といい、頬皺といい、どこか酒を飲みすぎた人によくありがちな、くろずんだ皮膚といい、一つとして笏の心に変な気が起さずにはいられなかった。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お島が
腫
(
はれ
)
ぼったいような目をして、父親の朝飯の給仕に坐ったのは、大分たってからであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
命
(
いのち
)
たすかりたるのち
春暖
(
しゆんだん
)
にいたれば
腫
(
はれ
)
病
(
やまひ
)
となり
良医
(
りやうい
)
も
治
(
ぢ
)
しがたし。
凍死
(
こゞえしゝ
)
たるはまづ
塩
(
しほ
)
を
熬
(
いり
)
て
布
(
ぬの
)
に
包
(
つゝみ
)
しば/\
臍
(
へそ
)
をあたゝめ
稿火
(
わらび
)
の
弱
(
よわき
)
をもつて
次第
(
しだい
)
に
温
(
あたゝむ
)
べし、
助
(
たすか
)
りたるのち
病
(
やまひ
)
を
発
(
はつ
)
せず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と、私は
厳
(
きつ
)
く言った。なぜなら、この位な皮切りをした方が、彼女をお道楽芸にしておこうとするものへの、決戦的な——といおうか、大切にしている
腫
(
はれ
)
ものへの大手術だと思ったからだった。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
新「そんなに気を
揉
(
も
)
んではいけない、少しは
腫
(
はれ
)
が
退
(
ひ
)
いたようだよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三人は顔を見合わすと、
腫
(
はれ
)
ぼったい
瞼
(
まぶた
)
を上げて
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そして夜ふかしで
腫
(
はれ
)
ぼったくなっためいめいの眼と眼を見合しては、飲みものの
硝子
(
ガラス
)
の縁に薄く口を触れさしていた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それから瞼の
腫
(
はれ
)
へ掌をあてながら、しきりにそこの熱を気にしているふうだった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(
人肌
(
ひとはだ
)
にて
温
(
あたゝ
)
むはもつともよし)
手足
(
てあし
)
の
凍
(
こゞえ
)
たるも
強
(
つよ
)
き
湯火
(
たうくわ
)
にてあたゝむれば、
陽気
(
やうき
)
いたれば
灼傷
(
やけど
)
のごとく
腫
(
はれ
)
、つひに
腐
(
くさり
)
て
指
(
ゆび
)
をおとす、百
薬
(
やく
)
功
(
こう
)
なし。これ
我
(
わ
)
が見たる所を
記
(
しる
)
して人に
示
(
しめ
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
お貞はハッとせし風情にて、少年の顔を
瞻
(
みまも
)
りしが、
腫
(
はれ
)
ぼったき眼に思いを
籠
(
こ
)
め
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
従
(
したが
)
って
家内
(
いえ
)
中で
腫
(
はれ
)
ものにでも触るような態度を取り、そばを歩くに、足音さえも
窃
(
ぬす
)
むようになる。
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
方
(
かた
)
なしの
皺
(
しわ
)
になりましたが、若い時は、その
薄紅
(
うすくれない
)
に
腫
(
はれ
)
ぼッたい
瞼
(
まぶた
)
が恐ろしく
婀娜
(
あだ
)
だった、お富といって、深川に芸者をして、新内がよく出来て、相応に売った
婦人
(
おんな
)
でしたが、ごくじみな
質
(
たち
)
で
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夏となって、皮膚の
湿疹
(
しっしん
)
はよけいにひどくなり、髪の根には
腫
(
はれ
)
さえもってきたが、ただそれだけの歳月が、この牢獄の内にも過ぎたことは
慥
(
たし
)
かである。——時の歩み以外に待つものとては何もない。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不思議な処へ行合せた、と思ううちに、いや、しかし、白い山茶花のその
花片
(
はなびら
)
に、日の片あたりが淡くさすように、目が
腫
(
はれ
)
ぼったく、殊に圧えた方の
瞼
(
まぶた
)
の赤かったのは、煩らっているのかも知れない。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
腫
常用漢字
中学
部首:⾁
13画
“腫”を含む語句
水腫
腫物
浮腫
腫脹
蚯蚓腫
泣腫
腫瘍
腫上
地腫
腫起
肉腫
脬腫
癌腫
腫瘤
肺気腫
青腫
腫眶
糜爛性腫瘍
腫瞼
下腫
...