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脛当
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すねあて
ふりがな文庫
“
脛当
(
すねあて
)” の例文
旧字:
脛當
その一つは、
萌黄匂
(
もえぎにおい
)
の
鎧
(
よろい
)
で、それに
鍬形
(
くわがた
)
五枚立の
兜
(
かぶと
)
を載せたほか、
毘沙門篠
(
びしゃもんしの
)
の両
籠罩
(
こて
)
、
小袴
(
こばかま
)
、
脛当
(
すねあて
)
、
鞠沓
(
まりぐつ
)
までもつけた本格の武者装束。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
焚火の前には彼より先に熊の胴服を寛々と着て
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
で身を
鎧
(
よろ
)
った、
頬髯
(
ほおひげ
)
の黒い、総髪の一人の荒武者が腰かけていたが、数馬
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
籠手
(
こて
)
も
脛当
(
すねあて
)
も別々にして、ほかの荷物のなかへ何うにか欺うにか押込んで、先ず表向きは何の不思議も無しに江戸を立つことになりました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
卜斎は陣羽織をすててつぎに、手ばやく
籠手
(
こて
)
の
具足
(
ぐそく
)
をとり、
脛当
(
すねあて
)
の
鎖
(
くさり
)
を
脚絆
(
きゃはん
)
にかえて、旅の鏃師らしいすがたにかわった。そして蛾次郎に
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よいか。そしてその真中へ鎧、刀これも三十人分、甲は無論
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
まで添えて並べ立てた。
金高
(
かねだか
)
にしたらマルテロの御馳走よりも、
嵩
(
かさ
)
が張ろう。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
徳川家康
(
とくがわいえやす
)
(従五位上侍従このとき三十一歳)は紺いろに
葵
(
あおい
)
の紋をちらした
鎧
(
よろい
)
直垂
(
ひたたれ
)
に、
脛当
(
すねあて
)
、
蹈込
(
ふみこみ
)
たびをつけたまま、じっと目をつむって坐っていた。
死処
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
蔵へまいって
著込
(
きごみ
)
を持ってまいれの、
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
の用意のと云っているうちに、
夜
(
よ
)
はほの/″\と明け渡りたれば、もう狼藉者はいる
気遣
(
きづかい
)
はなかろうと
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「足袋はあと、
脚絆
(
きゃはん
)
は略して……
草鞋
(
わらじ
)
も略して、それから
脛当
(
すねあて
)
だ。多分これは、多門脛当というやつだな」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今にも
籠手
(
こて
)
、
脛当
(
すねあて
)
が動き出して、丁度頭の上に懸けてある、
大身
(
おおみ
)
の
槍
(
やり
)
を取るかとも思われ、いきなりキャッと叫んで、逃げ出したい気持さえいたすのでございます。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
約束のように上の方に一本
棕櫚
(
しゅろ
)
で横筋を入れます。「はばき」即ち
脛当
(
すねあて
)
も信州のは特色があって、多くは中央に縦に
古裂
(
こぎれ
)
を編み込みます。好んで紺の布を用います。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
籠手
(
こて
)
やら
脛当
(
すねあて
)
やらが
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
見れば、粗末な物であるが、胴や
脛当
(
すねあて
)
などもつけ、雑兵笠をかぶっている。——その気負った姿が、信長には愉快に見えた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
板壁には
竹刀
(
しない
)
だの木刀だの、
稽古槍
(
たんぽやり
)
だの、鎖鎌だの、面、
籠手
(
こて
)
、胴だの
脛当
(
すねあて
)
だのが、ひととおり揃えて掛けてあり、一段高く師範の坐る席が、つくり設けてありもしたが
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
脚本は在来の「
和田合戦女舞鶴
(
わだかっせんおんなまいづる
)
」をそのままであったが、かの門破りの場に出る板額は、下げ髪にうしろ鉢巻、
直垂
(
ひたたれ
)
に
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
をつけて
毛沓
(
けぐつ
)
を
穿
(
は
)
いているという
活歴式
(
かつれきしき
)
のこしらえで
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
筒袖
(
つつそで
)
に
野袴
(
のばかま
)
をつけたのや、
籠手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
に小袴や、旅人風に
糸楯
(
いとだて
)
を負ったのや、百姓の
蓑笠
(
みのかさ
)
をつけたのや、
手創
(
てきず
)
を布で
捲
(
ま
)
いたのや、いずれも
劇
(
はげ
)
しい戦いと
餓
(
うえ
)
とにやつれた
物凄
(
ものすご
)
い一団の人でしたから
大菩薩峠:05 龍神の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
百余騎の旗本たちを初め、八千の全将士は、眉を霧に濡らし、草鞋
脛当
(
すねあて
)
を草霧に
埋
(
う
)
めて、ともすれば
上
(
うわ
)
ずりやすい英気を
確
(
しか
)
と丹田に
嚥
(
の
)
み
下
(
くだ
)
していた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして屈強な若者ばかりが、手に手に弓矢をひっ掴み、
籠手
(
こて
)
や
脛当
(
すねあて
)
で身を
鎧
(
よろ
)
い、往来を縦横に駆け廻わりながら、顔を空の方へ振り向け振り向け、こう口々に叫んでいる。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小手指ヶ原、分倍河原と、新田勢の南進を刻々耳にしはじめてからは、さすが
戦嫌
(
いくさぎら
)
いな彼も、かたい腹巻と、
籠手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
は、寝るまも
脱
(
ぬ
)
いでいなかった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
左手にいるのは築土新吾、鎖かたびら、
籠手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
、陣羽織をはおっている。その
外
(
ほか
)
には誰もいない。ひどくサッパリした陣営である。槍が一本立てかけてある。そのほかには武器もない。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さても
伊那丸
(
いなまる
)
は、
小袖
(
こそで
)
のうえに、
黒皮
(
くろかわ
)
の
胴丸
(
どうまる
)
具足
(
ぐそく
)
をつけ、そまつな
籠手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
、黒の
陣笠
(
じんがさ
)
をまぶかにかぶって、いま、馬上しずかに、
雨
(
あま
)
ヶ
岳
(
たけ
)
をくだってくる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脛当
(
すねあて
)
の鎖が、
刃
(
やいば
)
を刎ね返したので、脚は無事なるを得たが、立っていられない痛さであった。——思わずそう呻いて、どすんと、助右衛門は坐ってしまう。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
草鞋
(
わらじ
)
ばきに
脛当
(
すねあて
)
をしめ、
袂
(
たもと
)
もむすび上げている。
革柄
(
かわづか
)
の野太刀を腰にくくって、敏活にうごく眼といい四肢といい、まるで夜盗か何ぞのように向う見ずであった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとより土豪の一族なので、
本鎧
(
ほんよろい
)
ではないが、
籠手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
をつけ、
差料
(
さしりょう
)
も大振りな陣刀に代えていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旗も
甲冑
(
かっちゅう
)
も、槍の柄や
草鞋
(
わらんじ
)
、
脛当
(
すねあて
)
などはもちろん、水の中を行くように、しとどの露に濡れていた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今川家
重代
(
じゅうだい
)
という
松倉郷
(
まつくらごう
)
の太刀、左文字の脇差、
籠手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
、
沓
(
くつ
)
などとを加えれば、十貫目をも超えるだろうと思われる武装であり、
膚
(
はだえ
)
へ風のはいる
隙
(
すき
)
まもない
装
(
よそお
)
いだった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これだけの言葉をはくうちに、
秀吉
(
ひでよし
)
は、
肌着
(
はだぎ
)
小手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
をピチンと
着
(
つ
)
けて、
皆朱碁石
(
かいしゅごいし
)
おどしの
鎧
(
よろい
)
をザクリと着こみ、
唐織銀文地
(
からおりぎんもんじ
)
に
日月
(
じつげつ
)
を織りうかした
具足羽織
(
ぐそくばおり
)
まで着てしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
素頭
(
すあたま
)
にただ鉢巻したのや、鉢金と
脛当
(
すねあて
)
だけで、胴も着けてない男や、
草鞋
(
わらじ
)
なしの足に、ただ縄を巻いて、長巻一ツを持って躍り出るのやら、とにかく雑多な武装をした者どもが
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
床
(
ゆか
)
に清浄な
莚
(
むしろ
)
が
展
(
の
)
べてあった。
具足櫃
(
ぐそくびつ
)
がそこに出されてある。
籠手
(
こて
)
、
脛当
(
すねあて
)
、胴、腹巻などの物具はいうもおろか、
金創薬
(
きんそうやく
)
、
燧打
(
ひうち
)
、弾薬入れ、すべて身に
纏
(
まと
)
うばかりに揃えてあるのだった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
籠手
(
こて
)
、
脛当
(
すねあて
)
も、すべての者が附けていた。上着はいずれも定紋附の小袖、その両袖に
晒布
(
さらし
)
を縫いつけていた。——味方同士の合印である。それへ、各自が姓名や生国年齢などを書きつけていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腰かけたまま、
籠手
(
こて
)
脛当
(
すねあて
)
の紐など、左右から小姓に結ばせながら
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
脛
漢検1級
部首:⾁
11画
当
常用漢字
小2
部首:⼹
6画
“脛”で始まる語句
脛
脛巾
脛骨
脛押
脛布
脛白
脛穿
脛噛
脛毛
脛當