給料きふれう)” の例文
かれ奉公ほうこうして給料きふれう自分じぶんつひやしてころでは餘所目よそめにはうたがはれる年頃としごろの卅ぢかくまで獨身どくしん生活せいくわつ繼續けいぞくした。そのあひだかれ黴毒ばいどくんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「だがね、うれしいどころか、反対はんたいすごくなりやしないから? 一とうだと二千円——ぼくの二年分の給料きふれう以上のお金がいきなり懷にびこんでくる……」
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
給料きふれうむさぼつてゐるにぎん……さうしてれば不正直ふしやうぢきつみは、あへ自分計じぶんばかりぢやい、時勢じせいるのだ、もう二百ねんおそ自分じぶんうまれたなら、全然まるでべつ人間にんげんつたかもれぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
伸一先生しんいちせんせい給料きふれうつき十八ゑんしか受取うけとりません、それで老母らうぼ妻子さいし、一にん家族かぞくやしなふてるのです。家産かさんといふは家屋敷いへやしきばかり、これを池上權藏いけがみごんざう資産しさんくらべてると百分一ひやくぶんのいちにもあたらないのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
野田のだ郷里きやうりからは比較的ひかくてきちかいので醤油藏しやうゆぐら段々だん/\發達はつたつしてくにれてやとはれて壯丁わかものえてた。郷里きやうりでは傭人やとひにん給料きふれう暴騰ばうとうしてほどどの村落むらからも壯丁わかものつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかおれ有害いうがいことつとめてるとふものだ、自分じぶんあざむいてゐる人間にんげんから給料きふれうむさぼつてゐる、不正直ふしやうぢきだ、れどもおれ其者そのものいたつて微々びゞたるもので、社會しやくわい必然ひつぜんあくの一分子ぶんしぎぬ、すべまち
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
の二つのほかには別段べつだんれというてかぞへるほど他人たにん記憶きおくにものこつてなかつた。それでもかれおほきな躰躯からだ性來せいらい器用きようとは主人しゆじんをして比較的ひかくてき餘計よけい給料きふれうをしませなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)