クラス)” の例文
クラスごとに記念品を贈る委員なぞが出来たとき、殆ど一人いちにんもその募りに応ぜなかったものはないということである。とにかく英雄である。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
小学校での成績は、同じクラスのお八重などよりはずつと劣つてゐたさうだが、唯一つ得意なのは唱歌で、其為に女教員からは一番可愛がられた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
橋本先生はその後なんともいわなかったが、堀口生をクラス一同にあずけたのだった。これが最後のお慈悲のことはわかっている。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
自分は勉強の点数ではクラスで三番だが、級長をつとめているし、運動もかなりやっている。その点は単に美少年が特徴の深井に負けはしないと。
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
ナショナルの二位しか読めないのが急に上のクラスへ入って、頭からスウヰントンの万国史などを読んだので、初めのうちは少しも分らなかったが
落第 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
クラスでは、礼奴れいぬさんがお母さんと二人で、横浜の海岸通りで酒場バアをやっているのだという噂が伝説のように信じられていた。
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
クラスの中で一番の悪戯者いたづらものだと睨まれてゐるのは一郎自身にもよく解つてゐるので、先生と口をきく時は叱られるときより他には決して無かつたので。
悦べる木の葉 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
この三人が、また外のクラスの黒んぼさんと一緒にされて、その中から、学校での黒んぼさんが三人だけ選び出されて賞品をもらふことになるのです。
黒んぼ会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
彼は同級の中でも最も年少なものの一人ではあったが、入学して二年ばかりの間はクラスの首席を占めていた。一時彼は多くの教授の愛を身に集めた。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
自分は学力優等というので自分のいるクラスと志村のいる級とを同時にやるべく校長から特別の処置をせられるので自然志村は自分の競争者となっていた。
画の悲み (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その時間には大部分の者が同じやうに縫ひものをやつてゐた。だが、一クラスだけは、スキャチャード先生の椅子の周圍まはりに立つて、相變らず本を讀んでゐた。
四十人の若い娘の一クラスを連れて来た、華族学校の先生数名は、非常に奇麗だった。彼等は皆美しい着物を着ていて、沢山いた外国人達を大いに感心させた。
此樣なことといふものは、妙にはやく夫から夫へとパツとするものだ、それと聞いて、此の解剖を見るクラスの生徒のすべては、何んといふことは無く若い血を躍らせた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
学校にいたころは、有名な運動家でベースボールなどにかけてはクラスの中でかれに匹敵するものはなかった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
私の高弟の小林勇君などは、見る見るうちに上手うまくなってとっくに師匠を凌駕してしまった。私を帝展の審査員とすると、勇は大観、古径のクラスになってしまった。
南画三題 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
成績もクラス一だし、気質きだても良く、級友たちから敬愛の的にされていた。それだけにまた一方の友達からは
劇団「笑う妖魔」 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
スミレ学園というのは有名な私立学校であって、下は幼稚園から、上は高等学校までのクラスを持っていた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ところが、コケットリイの魔が私のゐたクラスのうちに侵入してきたのは、丁度その時分でありました。
青い眼 (旧字旧仮名) / ギヨーム・アポリネール(著)
一年したのクラスに村上さんという生徒がいて、紡績の絣の着物と羽織に海老茶の袴をはいて、クラスで一番背が高かったばかりでなく、成績が大変いいのと、成績がいいのに
なつかしい仲間 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それでクラスの者が何人かうちからその日附の神奈川版を持つて來て見たところ、其處には、小さくではあつたが、「Y女學校のK教諭見事高檢にパス」と出てゐたのだといふ。
かめれおん日記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
同じクラスで机を並べていた宝沢とはとくに気が合って、この二人はときには一緒に試験勉強などをすることもあったが、たいていの場合相棒で悪いことをするほうが多かった。
暴風雨に終わった一日 (新字新仮名) / 松本泰(著)
同じクラスのお友だちは、みなひじょうにおどろいて、泰二君の身のうえを心配しましたが、中にも胸をさわがせたのは、大野おおの君、斎藤さいとう君、上村かみむら君という三人の少年探偵団員でした。
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
乗った時と同じように、こみあっている中をやっと電車から下りて停車場へはいると、時刻が早いので、まだクラスの連中は二三人しか集っていない。互に「お早う」の挨拶あいさつを交換する。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しからば、かような大量のレコードの整理法として何が最も能率的かつ有効な方法であろうか? 最も切実に悩んでいるであろうこのクラスのファンたちの問に答えて、私の経験を以下申し上げる。
その学生はクラスのなかで画の上手として聞えてゐた男だつた。
『マア、左様さうで御座いますか!』と一層驚いて、『わたしもアノ、其家そこへ参りますので……渡辺さんの妹様いもうとさんと、私と矢張やはり同じクラスで御座いまして。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして平一郎が少なくともクラスの統治者であることをも彼は十分知っていたからだ。ひるむところを平一郎はもう一つ耳のあたりに拳固をあてた。
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
ある日の午後、晴天にもかかわらず、クラスの半数ばかりが教室に居残って、ストーヴ会議をやっていた。先生が廻ってきて
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
僕は落第したのだから水野、正木などの連中は一つ先へ進んで行ってしまったのであるが、僕の残ったクラスには松本亦太郎なども居って、それに文学士で死んだ米山と云う男が居った。
落第 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから一ヵ月ほどそこに滞在して帰京して間もなく、クラス会があった。私は、正月から、まだその年は一度も出席していない。余り御無沙汰になるので、雨の降る中を出かけて行った。
追想 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そしてそれから間もなくクラス中の者が、その青い眼の存在を知つてしまひました。
青い眼 (旧字旧仮名) / ギヨーム・アポリネール(著)
詩吟しぎん薩摩琵琶さつまびわ、落語、講談、声色こわいろ手品てじな、何でも出来た。その上また、身ぶりとか、顔つきとかで、人を笑わせるのに独特な妙を得ている。従ってクラスの気うけも、教員間の評判も悪くはない。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
讀んでゐる生徒の中に、私は、ヴェランダで知り合つた少女を認めた。授業の始めには、彼女の席はクラスの首席にあつたが、何か發音の誤まりか、句點くてんの不注意のためにか、いきなり末席にやられた。
このごろはクラスや学校の話ばかり出るようになった。
『まあ、左樣で御座いますか!』と一層驚いて、『私もあの、其家そこへ參りますので……渡邊さんの妹さんと私と、矢張り同じクラスで御座いまして。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
実に年寄の多いクラスだった。しかしこの北村さんは現に○○市の市会議員で鳴らしている。第一回生の錚々そうそうたるものだ。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
芳賀矢一なども同じクラスだったが、是等これらは皆な勉強家で、おのずから僕等のなまけ者の仲間とは違って居て、其間に懸隔けんかくがあったから、更に近づいて交際する様なこともなく全然まるで離れて居ったので
落第 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「——妙なもんだな。僕、クラスの奴の気持なんか、一言喋らせりゃ大抵解っちゃうんだけど——全くお嬢さんには参るなあ、妙に手応えがなくて、ふわふわで、直ぐ目から水は出すし……」
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「Mさん、貴方の方のクラスで卒業後の志望はどんなものです」
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
学校では、前にも言つた如く、ちつとも学科に身を入れなかつたから、一年から二年に昇る時は、三十人許りのクラスのうち尻から二番でやつと及第した。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「関さんは華族だってなんだって堪忍かんにんしない。このクラスのものが一番横着おうちゃくでいけないっておこっているから、花岡がいってとっつかまれば早速教員室だよ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
女らしい我ままや、おしゃれは、クラスの中で誰よりも持っていた。
追想 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
學校では、前にも言つた如く、ちつとも學科に身を入れなかつたから、一年から二年に昇る時は、三十人許りのクラスのうち尻から二番で漸と及第した。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
土曜日の晩にクラスの懇親会があった。この散歩の翌日だったように覚えているが、もっと後だったかも知れない。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
以来二十番台の牽引力けんいんりょくが強くなって、大抵十八九番に重心じゅうしんたもった。これぐらいの出来栄できばえなら人から恨まれる心配はない。もっとクラスは常に一致和合して無事平穏だった。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
中學の門と斜に向ひ合つて、一軒の理髮床があつたが、其前で何日かしら菊池君を見た……否、アレは市役所の兵事係とか云ふ、同じクラスの友人のお父親やぢの鬚だつたと氣がつく。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
中学の門とはすに向ひ合つて、一軒の理髪床とこやがあつたが、其前で何日いつかしら菊池君を見た……否、アレは市役所の兵事係とか云ふ、同じクラスの友人のお父様とうさんの髭だつたと気がつく。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
同じクラスに机を並べた村上君だった。然う別懇べっこんの間柄でもないが、野球の応援団を指導していた男だから、一種の公人として親しみを持っている。安達君と違って、万事積極的だ。
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)