追想ついそう
去年のちょうど今頃、自分は、福島に在る祖母の家に行っていた。暫く東京を離れ、子供の時分から馴染深い田園の裡に静かな時を過したいと思ったのである。行って、一週間も経ったかと思う頃、K町の家から転送された沢山の書簡に混って、一つ、私には判らない …